アメリカのアイオワ州などで今年6月から、セミが大発生しました。その数はなんと数十億匹!! セミの声は夏の風物詩ですが、数十億匹のセミが一斉に鳴くその声たるや、電話で話す声も聞こえないほどの大騒音だそうです。アメリカでは毎年どこかの地域でセミが大発生するそうですが、その周期は17年と13年という、なんとも「半端」な数字です。この不思議なセミの正体は…。

セミ、大量発生!!!!(でも、この子たちは鳴きません)


毎年違った地域で、17年ごと、13年ごとに大発生する「周期ゼミ」

普通のセミは地中で約7年間脱皮を重ね、その後地上に出て羽化し、交尾・産卵を経て2週間後に死んでいきます。
ところが、アメリカで規則的に大発生する「周期ゼミ」は、17年または13年もの長い間を地中で暮らします。そして、不思議なことに、常に同じ場所に同じ周期で大量に発生します。
発生する場所はアメリカの東部〜中央部の決まった場所で、ある年はワシントン、またある年はノースカロライナというように毎年違っています。17年周期は主に中東部の北側、13年周期は南側に発生し、17年周期同士、あるいは13年周期同士が、2つ以上の地域で重なることはありません。1年に発生するのは必ず1カ所です(でもたまに、17年ゼミと13年ゼミが同時に発生する年もあります)。つまり、毎年、北アメリカのどこかで、周期ゼミが大量に発生していることになります(発生しない年もたまにあります)。
今年は17年周期のセミが、オハイオ州、ウエスト・バージニア州、ヴァージニア州、メリーランド州、ペンシルバニア州で大量に発生しました。そして、これらの地域ではきっちり17年後、つまり2033年に再び大発生を迎えることになります。


北米にしか生息しない不思議なセミ。体長は2〜4僂半型

周期ゼミのうち、17年周期のセミは3種類、13年周期のセミは4種類で、すべてMagicicada属に属します。体長は2〜4僂曚匹如日本のチッチゼミよりも一回り大きいくらいです。日本にいるミンミンゼミの体長が5〜6僂覆里如△よそ半分くらいの大きさでしょうか。
このような周期的な現象が起きるのは不思議なことに、世界の中でも北アメリカの東部または中部だけです。しかし、北アメリカには周期ゼミしかいないというわけではなく、もちろん、“普通のセミ”も生息しています。


2004年は東海岸で50億匹が大発生!! うるさすぎて電話の声が聞こえない!!

周期ゼミの大量発生…、その数は50億匹とも60億匹ともいわれています。ざっと計算すると、1屬40匹以上、1つの部屋に400匹以上がひしめくことになります。そこで一斉に鳴かれたら…。想像すると、そのうるささはいかばかりでしょう。
周期ゼミの発生はとても規則的で、2004年はニューヨークやワシントンなどの東海岸が、17年周期のセミの「当たり年」でした。その数は50億匹とも60億匹ともいわれ、日本でもニュースが流れました。「ヤンキース松井選手に思わぬ敵!! 球場のまわりにセミが大発生!!」という新聞記事もありました。
日本のある研究者が1998年、セミが大発生しているミズーリ州に電話をかけると、電話口の女性に「セミがうるさくて何も聞こえません!!」とどなられたとか。また、アメリカのある教授が昔、セミの大群について調べようと群れの中で1時間ほど仕事をしたところ、その後数時間、耳が聞こえなくなったと論文に書いています。
ある人は、セミが大発生する地域とは知らずに引っ越したところ、引っ越した2年後に周期ゼミがあらわれてしまい、庭の並木が一斉に樹液を吸われ、すべて枯れてしまったそうです。引っ越す15年前まではなんともなかったところに、2年後にいきなりセミの大量発生…。不運としかいいようがありません。

セミ、うるさ〜い!!

セミ、うるさ〜い!!


なぜ長い間地中にいる? なぜ地域限定? なぜ17年と13年? 謎を解き明かしたのは…

北アメリカでは毎年毎年どこかの地域でセミが大発生しているそうです。そして、それは規則的に周期を刻むので、今年はここ、来年はあそこというように、年と地域を限定することができます。その地域の住民も慣れたもので、「今年はウチの地域か…」とあきらめ、しばし大騒音のなかで暮らしているそうです。
周期ゼミは、なぜ長い間、地中で過ごすのか。なぜ、狭い地域で大発生するのか。そして、なぜ17年と13年という半端な数の周期なのか。ある日本の生物学者が、この周期ゼミを「素数ゼミ」と名づけ、長いこと謎になっていた難問を解き明かし、生物界をはじめ世界中をアッと驚かせました。この謎解きについては、明日18日AM11時のtenki.jpサプリでご紹介しますので、ぜひご覧ください。
参考文献(1):17年と13年だけ大発生? 素数ゼミの秘密に迫る,吉村仁,2008,サイエンスアイ・新書
参考文献(2):素数ゼミの謎、吉村仁,2005,文藝春秋