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「プレゼンテーションは、聞き手をまんべんなく見渡して実施することが大事です。Zの文字を描くように、ジグザグに視線を動かして、四隅の聞き手に訴えかけるのです」……プレゼンテーション研修で、講師がレクチャーする「ジグザグ視線」のフレーズだ。

 実はこの「ジグザグ視線」、プレゼンテーションの場でやめたほうがいい理由がある。

◆目も当てられないジグザグ視線

 読者のみなさんも、冒頭のような意味のフレーズを耳にしたことがあるに違いない。私が実施する分解スキル・反復演習の参加者に聞くと、ほとんどの人が習ったという。そこで、実際に、「ジグザグ視線」を実施していただくと、多くの人が、見たり聞いたりすることに耐えないジグザグ視線を披露することになってしまうのだ。

 どういうことかと言うと、まず、視線のみのジグザグだ。ジグザグ視線と習っているので、目だけがジグザグに動かしているつもりになっているパターンだ。話し手の本人はジグザグに横に視線を動かしているつもりなのだが、そこに、話し手の普段の、上や、斜め横や、下などの視線の外し方が混在してしまうので、目があちこちに動くという目もあてられない視線の動きになってしまう。聞き手は、それに疲れて、話し手を見なくなる。ましてや、視線を横に動かしたら、聞き手にはノーのボディランゲージが伝わってしまう。得策ではないのだ。

◆ジグザグ視線で車酔い?

 次によくあるパターンが、動き続けるジグザグ視線だ。ジグザグに視線を動かしましょうと習っているので、一生懸命になるあまり、首と体を動かし続けるパターンだ。これは、まるで、一時停止なしで動き続けるビデオ録画を再生しているようで、聞き手からは、「まるで車酔いになってしまうように感じてしまいました」というフィードバックさえ出てくる。

 さらに、よくあるパターンが、リズム感なしのジグザグ視線だ。「プレゼンテーションにリズム感?」と思う読者もいるに違いない。そうなのだ。リズム感が大事なのだ。しかし、ジグザグな動きをするあまり、プレゼンテーションそのもののリズムが、ぎっこんばったん、ぎくしゃくしていまい、中には、聞き手の気分を害してしまいかねないプレゼンテーションも生じてしまう。

 こうした状況を解決すべく、演習に参加したビジネスパーソン自体のスキルを観察しながら、身に付けるべきスキルを分解して、キーとなるスキルを見い出して反復演習するプログラムを実施したところ、話し手が聞き手を引き付けるレベルが飛躍的に向上した。そのスキルとは、「1人に対してワンセンテンス」のスキルだ。

◆「1人ワンセンテンス」で惹きつける

「1人に対してワンセンテンス」、すなわち話し手が、例えば20名の聞き手に対してプレゼンテーションをするとしよう。まずは、左奥の人にアイコンタクトする。アイコンタクトは縦の動きだ。そして、ワンセンテンスを話す。再びアイコンタクトする。

 それから、左奥から右奥へ、体の軸を動かしながらターンする。このように、アイコンタクト、1人対してワンセンテンス、アイコンタクト、ターンの4つに分解されたスキルを反復演習により体得すると、実にキレのある、聞き手を引き付けるプレゼンテーション表現力が発揮できるようになるのだ。表で説明すると次のようになる。

◆行動を分解して理解し、反復演習すべし

 実は、「プレゼンテーションでジグザグ視線をしましょう」とレクチャーされている内容で、期待されていることは、これらの4つのスキルを発揮することなのだが、レクチャーする側は漠然とジグザグ視線と言う表現で教えているので、聞き手に全く伝わらないどころか、冒頭のような目もあてらない事態が生じてしまっているのだ。