SMAP解散でも功績は消えない。「SMAPを通して知ったもの」

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 各方面に大きな影響が広がっているSMAPの解散。音楽好きとして心配なのは、今後彼らの楽曲がどう扱われるのかという点です。間口の広いSMAPの曲を通じて、実に様々な音楽と出会えたのですね。

 彼らほどの存在ともなれば、それぞれに強い思い入れがあることでしょう。ですので、ここからは筆者個人の印象に残っている楽曲から、SMAPのおかげで知ることのできたソングライター、ミュージシャンを振り返っていきたいと思います。

◆ 嵬覿ノムコウ」と川村結花

 作詞のスガシカオがクローズアップされがちですが、その言葉を支えるメロディーを書いたのが川村結花でした。SMAPというグループのよるべなさが、そのまま形になったようなほの暗い曲。SMAPが「夜空ノムコウ」を歌わなければ、彼女のアルバム『Lush Life』を手にすることはなかったでしょう。
 なかでも「遠い星と近くの君」は、忘れがたい一曲。YO-KINGの詞にある<僕>という単語が嫌味なく響く点で、凡百のJポップとは一線を画しているのです。

◆◆屬蕕いんハート」とコモリタミノル

「White Christmas」の作者アーヴィング・バーリンが、作曲についてこう語っていました。「自分にはせいぜい8つぐらいしか曲のパターンがない。あとはそれをちょっとずついじって、まるで別の曲みたいに仕立て上げる。言ってみれば、家具を組み立て直すようなものだ。」

「らいおんハート」でコモリタミノルがしてみせたのが、まさにそれでした。その前年に出た三浦大知の「Everlasting Love」と続けて聴けば、よく分かるはず。当り前のことですが、全くの無から有を生み出すわけではないのだと、改めて教えられます。

◆『Smappies』と凄腕ミュージシャン

 SMAPの器の大きさ、間口の広さを考えるうえで外せないのが、海外の一流ミュージシャンによるインストアルバムを制作したことでしょう。従来のジャニーズファンはもとより、音楽好きの間でも新曲のリリースが楽しみなグループとなりました。

 親しみやすい流行歌でありながら、マニア心をくすぐる仕掛けもある。このバランスが絶妙だったように思います。“SMAPがいなければウィル・リーやブレッカー兄弟、デイヴィッド・T・ウォーカーにオマー・ハキムなんて名前は知らなかったよ”、なんて人もいるかもしれません。

 もちろん、そんな名前を知っていようがいまいが、大勢に影響はありません。でも、国民的アイドルと呼ばれた彼らが、“unsung heroes”(縁の下の力持ち)にいち早くスポットライトをあてた功績は計り知れないのです。

 というわけで、今度こそ本当に解散してしまうSMAP。関係ない話ですが、デビュー当時の映像を見ると、森くんだけ真人間だったんだなとしみじみしてしまいました。お疲れさまでした。

<TEXT/音楽批評・石黒隆之>