中国ではしばしば、日本の技術力の高さについて「匠の精神」という観点から語られる。往々にして製造業における「匠」がその例として示されるのであるが、日本人の食に対するこだわりにも「匠」の精神は生きているのである。(イメージ写真提供:123RF)

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 中国ではしばしば、日本の技術力の高さについて「匠の精神」という観点から語られる。往々にして製造業における「匠」がその例として示されるのであるが、日本人の食に対するこだわりにも「匠」の精神は生きているのである。

 中国メディア・環球網は13日、日本を代表するパティシエで、このほど北京にも店を出した鎧塚俊彦氏の、仕事に対する姿勢について紹介する記事を掲載した。記事は、パティシエになって28年という鎧塚氏が自身の強みについて「失敗しないこと」と語るとともに、その「こころ」について「何をするにも成功するまでやり続ける。成功した瞬間、それまでの失敗は消えてなくなる。もし失敗して諦めてしまえば、本当の失敗になる」と説明したことを伝えた。

 また、スイーツの制作は「全てが一連の動きになっていて、1つの動きで勝負が決まる。感覚に頼るしかない」とするとともに、「感覚」を身に付けるには「日々の苦しい鍛錬しかない」と話したことも紹介。弟子の育成にあたっても妥協することはなく、最初に2年間は雑用を命じ、それからようやくプリンなどの制作を許すことなどを説明した。

 具体的な例として、スフレ作りは修行開始から5年でようやく許され、そこからだいたい1年で基本的な作り方が身につくが、良いものを作れるようになるには「早い人で2-3年。何年たってもできない人もいる」と紹介している。

 記事はさらに、北京への出店について鎧塚氏が「日本よりレベルの低い店にはしたくない。北京だから味わえるスイーツを作りたい」とし、中国ならではの食材を見つけたり、将来的に中国で農場を所有する構想を持っていることを伝えた。

 最後に、祖父と父が家具職人、兄が庭職人という職人一家の一員である鎧塚氏が日本の「匠の精神」に共感を示すとともに、「天性のセンスがモノを言うというのは誤解であり、それは最もどうでもいいこと。若い人はすぐに結果を求め、2-3年やってダメだと才能のせいにする。ひとつのことを30-40年やり続ければ、必ずやいい結果が出るのだ」と語ったことを併せて紹介している。

 鎧塚氏へのインタビューは、中国への進出に合わせて行われたものであるが、その中で得られた言葉には、中国の製造業のみならず様々な業界に対して重要な意味を持っているものが多分に含まれているように思える。特に「すぐに結果を求める」姿勢については、大いに考えなおすべき問題ではないだろうか。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)