絶対に失敗できないプレゼンでベストパフォーマンスを出す方法

写真拡大

睡眠の悩みを解消するための情報は、これまでにも、さまざまなメディアでたくさん紹介されてきました。でも……。

・8時間眠りなさい
・できれば「22時」に眠りなさい
・規則正しく栄養管理の行き届いた食事を摂りなさい
・睡眠時間を確保することから1日をスケジューリングしなさい

「……いやいや、そんなの無理だから!」

そう思ったことはありませんか?

いわゆる「睡眠の常識」と、ビジネスパーソンの実態はかけ離れているのです。そこで本連載では、医師とビジネスパーソン両方の視点と経験を併せ持つ著者が、新刊『一流の睡眠』から、現実的かつ具体的な「睡眠問題解決法」を教えます。

第6回は、朝イチの勝負プレゼンに万全の体調で臨むためのコツを紹介します。

「気合いの焼肉」や「半身浴」が
逆効果になる理由

 ビジネスパーソンには、人生を左右するような「勝負時」が必ず訪れます。絶対に結果を残したいと思うあまり、前日の夜に「いつもと違うこと」をやろうとする人が少なくありません。

 「いつもより2時間多く睡眠をとって冴えた脳でプレゼンに臨もう!」
 「パワーをつけるために前日は焼肉を食べよう!」
 「ぐっすり眠るために、いつもはしない長めの半身浴をしよう!」

 気持ちは良くわかります。しかし、前日の夜にいつもと違うことをすると、熟睡できずに翌日への悪影響が大きくなるリスクが高いのです。いつもと異なるスタイルを無理に取り入れると、生活リズムが乱れます。生活リズムが乱れれば、睡眠は不十分になるという悪循環です。

 私も、コンサルタントになった駆け出しの頃、大きなイベントを前に眠れないという経験を何度もしました。

 悶々としすぎた結果、痛い目に遭ったこともあります。ある大切なプレゼンの前日、私は直前までパワーポイントのスライド構成に悩んでいました。構成変更を夜通し繰り返し、結局納得のいかない資料のままプレゼンに臨んだ結果、寝不足で頭が回りませんでした。プレゼンもしどろもどろになり、発表後の質問にもうまく答えられず、非常に恥ずかしい思いをしました。

 その失敗を経験してから、大きなイベントの前夜には、普段と異なるスペシャルなことはしないことを決めました。つとめて、いつも通りに過ごすのです。それ以来、プレゼンの成果のブレがほとんどなくなりました。

月曜の睡眠を犠牲にすると
水曜の朝が絶好調になる

 いつもと違うことの代表例が、「いつもより早く寝る」です。早めに布団に入ったものの、「早く寝なければ」と意識すればするほど目が冴えて、結局いつもより眠れなかった、という経験はありませんか?

 普段の就寝時刻より2〜3時間ほど早い時間帯は、もっとも眠りにくい時間帯です。いつも0時に寝ている人ならば、21〜22時にあたります。この時間帯に眠ろうとすることは、一番非効率なことをやっていることになります。眠れない時間が続くと、余計なストレスも生まれます。

 そこで、ちょっと発想を転換してみましょう。前日の睡眠で翌日に備えるのではなく、「2日前」の睡眠時間をコントロールするのです。

 たとえば水曜日の朝にプレゼンがあるとしましょう。多くの人は「火曜の夜さえぐっすり眠れれば」と考えます。そうではなく、少し時間軸を伸ばして「月曜日の夜」から水曜朝に備えます。つまり、月曜日の夜の睡眠を少し削り、火曜日を意図的に睡眠不足で過ごすのです。

 火曜日は、翌日を控えて嫌でも緊張感を伴うことになるでしょう。しかし、睡眠不足状態で過ごせば、いくら脳が興奮していても、いずれ自然な眠気に襲われます。火曜日の「睡眠圧※」を高めて夜に熟睡するために、月曜日の睡眠を犠牲にするのです(※自然な睡眠へ導くはたらきのこと)。

 この時に注意すべきは、前日の火曜日の就寝直前にパソコンで資料を見直したりしないことです。パソコンの光は神経を高ぶらせ、良質な睡眠を妨げます。それまでにみっちりと下準備し、前日は睡眠不足気味で過ごす。一度試してみてください。

 ただし、この方法は「肉を切らせて骨を断つ」発想です。生活リズムの面から考えれば、頻繁に実践するべきものではありません。本当の勝負時のための、とっておきの方法だと考えてください。

 勝負の日前夜の睡眠不足を避けなければいけない、もう1つの理由があります。睡眠中は脳の中で記憶の整理が行なわれます。昼間に得た情報は、一時的に脳の「海馬」に蓄えられ、睡眠中に記憶として大脳皮質に刻み込まれます。

 つまり記憶は睡眠によって脳に定着するわけですから、スラスラとプレゼンするためには、前日にしっかり睡眠をとらない手はないのです。前日にぐっすり眠ることで大切な記憶を定着させ、勝利をぐっと手元に引き寄せるのです。