消えた「MH370」を探すためのアルゴリズム

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2014年3月に、乗客乗員239人を乗せたまま失踪したマレーシア航空370便(MH370)。この航空史上最大のミステリーを解明すべく、イタリアの研究者たちは、機体残骸の場所を特定するための「最も正確なシミュレーション」をつくり上げた。

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マレーシア航空「MH370」がほとんど跡形もなく消滅して2年以上が経ったいま、研究者たちはついに、墜落機の残骸の位置を特定することができるかもしれない。

発見されているMH370の残骸の位置情報と海洋データを用いて、イタリアの欧州地中海気候変化センターのチームは、その旅客機が墜落した場所、そして今後更なる残骸が見つかるであろう場所を特定するためのコンピューターモデルとシミュレーションを開発した。

「わたしたちの研究結果は、すでに発見されている5つの残骸すべてに一致する動きを、初めて計算によって説明したものです。これは、(まだ見つかっていな残骸についても)最も正確に予測することができるモデルです」と、この研究の筆頭著者エリック・ヤンセンは言う。

彼のチームは、EUのコペルニクス海洋環境監視サーヴィス(CMEMS)の海洋データを用いた。このデータは、過去2年間の地球規模の表層海流と風のデータを含んでいる。シミュレーションの正確性をさらに向上させるために、チームは発見されている5つの残骸の位置データを用いた(モザンビークで2カ所、レユニオン、南アフリカ、ロドリゲス島(モーリシャス)で各1カ所ずつ)。

研究グループは、海上にたくさんの仮想粒子を配置することでコンピューターシミュレーションを開始し、墜落後の海流と風に基づいて、その仮想粒子がどこへ移動するかを調査した。

正確な墜落位置と、風がどれほど影響を与えたかについては不明なので、研究者たちは違うシナリオを用いてシミュレーションを行った。シミュレーションを組み合わせる、いわゆる「スーパーアンサンブル」という手法によって、これまでで最も正確に残骸の位置を表すモデルをつくったのだ。

結果の違う天気予報のどれを信じるか?

2014年3月、MH370便は239名の乗客・乗員を乗せたまま姿を消した。旅客機が墜落したと考えられるインド洋南部で広範囲な調査が行われたが、いまだ機体本体は見つかっていない。残骸の破片が、アフリカの東海岸とインド洋の島に流れ着いただけだ。

このシミュレーションの最初の段階で、コンピューターモデルは残骸が漂流するであろうさまざまなパターンを予測する。そして可能性のある漂流コースとこれまでに発見された残骸の位置データを組み合わせ、最もありうる残骸の漂流コースを見つけ出す。コンピューターモデルの最初の段階が実施できれば、新しい残骸のデータを組み込むのは簡単だ。

「明日の天気を知りたいけれど、いくつかのウェブサイトが異なる情報を表示している場面を考えてみてください。どのウェブサイトを信用したらいいのでしょうか? ウェブサイトが予想している今日の天気を確認してみて、正しかったウェブサイトをより信用し、間違っていたものを信用しないものです」とヤンセンは説明する。

「これは多かれ少なかれ、わたしたちがMH370に対して行なっていることと同じです。つまりわたしたちは、この飛行機に関してわかっている情報を考慮しながら、多くのシミュレーションを実施しています。こうしたシミュレーション結果をまとめるとき、すでに発見されている残骸の位置を正確に予測したモデルをより重視するのです」

残骸はここで見つかるはずだ

この新たなシミュレーションによれば、これまでに発見された残骸は、波に流される前にオーストラリア沖にあった可能性が高いという。

「しかしわたしたちのシミュレーションでは、残骸が、最大でおよそ500kmまで北側にあった可能性も示しています」とヤンセンは言う。「もし現在の調査地域で何も発見されないようであれば、北方向に調査を拡大させる価値はあるかもしれません」

シミュレーション結果によると、マダガスカル島、レユニオン、モーリシャス、コモロ、タンザニア、モザンビークで今後流れ着く残骸を発見できる可能性が高いという。機体の本体は、南緯28〜35度のエリアで見つかる可能性が高い。

「MH370便の消滅はおそらく、現代史のなかで最も奇妙な事件のひとつでしょう。事件に巻き込まれた人々のために、そして航空機全般の安全のために、何が起きたかを理解することが重要です。たとえわたしたちの調査が、非常に複雑なパズルの小さな1ピースに過ぎないにしても、謎の解明に役立つことを望んでいます」

この研究は、欧州地球科学連合による『Natural Hazards and Earth System Sciences』で発表されている。

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