猫ギライに朗報!? 野良猫も減って街もキレイに…話題の「地域猫」とは

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2016年も雑誌『anan』(マガジンハウス)で「夏のにゃんこLOVE特集」号が出たり、テレビ番組『岩合光昭の世界ネコ歩き』(NHK・BSプレミアム)などが放送されたりと、猫好きにはありがたいコンテンツが巷に溢れており、ネコノミクスはいまだ続いているようです。

しかし、街にいる猫にひっかかれたり、車に傷をつけられたりして迷惑している方もいるでしょう。そんな被害を受けたとき、その責任は誰に取ってもらえばいいのでしょう?

そこで今回は、そんな“地域猫問題”についてアディーレ法律事務所・パートナー弁護士の篠田恵里香さんにお話を伺いました。

■“地域猫”って知ってる? 猫が問題を起こしたら責任は誰にあるの?

みなさん、“地域猫”ってご存知ですか? “地域猫”とは、一般に野良猫が住みついている各地域で、管理されながら餌をもらって生活している猫のことを指します。

増えすぎた猫を抑制するために、地域のボランティアや住民たちで去勢手術を行い、糞の清掃や衛生管理なども行われています。誰も管理していない野良猫とは区別される存在なんです。

野良猫ではないため、篠田さん曰く

「“地域猫”の管理の実態によっては、特定の団体や人物が“所有している”、“管理している”と評価される可能性があり、飼い猫と判断される場合もありえます」とのこと。

そのため、“地域猫”が他人に迷惑をかけた場合は、その所有者・管理(占有)者が責任を負うこともないとは言えないそう。つまり、保護団体主催で保護しているのであれば保護団体に責任を追及できるのです。

■猫を守る法律もあれば、管理者に賠償させる法律も

では“地域猫”を守るような法律はあるんでしょうか?

「“猫を守ろう”という法律として、“動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護法)”があります。

動物愛護法では、飼い猫と飼われていない猫についての扱いは多少異なりますが、少なくとも、動物を殺傷する行為、餌や水をあげない、といった虐待行為は、この法律により処罰されます」

管理者になったからには餌や水を与える義務が発生するのですね。

「そうです。飼い猫に関しては、仮に“他人の飼い猫を怪我させた・殺した”というような場合、器物損壊罪に当たります。また、間違えて飼い猫を去勢させてしまった場合、民法709条の不法行為として損害賠償請求の対象となる可能性があります。

逆に、飼い猫が他人に怪我をさせた、他人の車に傷をつけたという場合は、民法718条により動物の所有者や管理者が責任を負うことになります。この場合、怪我の治療費や慰謝料、車の修理代を原則として支払わねばならないことになります」

飼い猫であろうと、地域猫であろうと、猫を殺傷するような行為は法律で許されていません。

■地域猫の飼い主は誰? 個人に賠償命令が出た判決も

しかし、“地域猫”の管理者が誰なのかを決めるのも難しそうですね。

「“地域猫”の飼い主が誰になるかは法的にもとても難しい問題です。仮に、“地域猫”のせいで誰かがケガをした、騒音や臭いで迷惑しているという場合、誰が責任を負うのかの問題と大きくかかわります。

法的には、“その動物を管理している”と判断される主体が基本的には責任を負います。

例えば、家の前に自然に集まってくる猫たちに、毎日餌をあげているおばあちゃんがいた場合、“飼っていない”とおばあちゃんが言い張っても、“おばあちゃんが管理している猫”と判断されるのが通常です。

これらの猫が悪臭を放ったり他人にけがをさせた場合、慰謝料等の支払い義務はおばあちゃんが負うのです。過去には、野良猫への餌やりで近所に迷惑をかけた男性が約200万円の賠償命令を出された判決も存在します」

『アウト×デラックス』(フジテレビ系)で有名な将棋棋士・加藤一二三が猫の餌付けで訴えられ賠償金を払った事件は有名ですね。

加藤一二三が「猫の命を大切にする訴えは認められたから」と控訴しなかったというエピソードには、本物の猫好き魂を感じます。

■現状、責任の所在はケースバイケース

餌やりや清掃をルール化している地域と個別の団体が管理している地域とでは、“地域猫”とひとまとめに言っても管理者を特定することが難しいケースがありそうですね?

「管理団体や自治体が“地域猫”を管理している実態があれば、管理団体や自治体に責任を問うことになるでしょう。ただ実際に、“この猫の管理はこの団体がしている”という特定はなかなか難しいと思われます。

仮に、行政の怠慢によって猫による被害を受けたのであれば、地方公共団体に対する賠償請求も考えられますが、現状、猫による被害が起きた場合の責任の所在はケースバイケースと言えるでしょう」

“地域猫”という存在がまだ新しいため、法律的にも状況を見て判断される側面が強いようですね。

「動物をめぐるトラブルは、とても多いです。“可愛いから、可哀想だから”と動物を飼育することは微笑ましいことですが、“飼育する以上は責任が発生する”ということをしっかり肝に銘じることが大事ですね」

と、最後に篠田さんは締めくくられました。

いかがでしたか? 野良猫に被害を受け、「野良猫なんて超迷惑!」と思っている人にとって、猫に餌を与える代わりに猫の去勢をして繁殖を防ぎ、清掃にも参加する“地域猫活動”は、とても有意義な活動かもしれませんね。