リオ五輪バレーボール、全日本女子は14日(日本時間15日)、予選突破をかけてアルゼンチンと対戦。3−0のストレートで勝利しグループ4位となり、何とか決勝トーナメントに駒を進めた。これにより準々決勝でアメリカに挑戦することになる。

 今回も元全日本で、現在は解説者の杉山祥子さんに全日本の戦いぶりを聞いてみた。

【profile】
杉山祥子(すぎやま・さちこ)
全日本のミドルブロッカーとして、アテネ五輪・北京五輪に出場。グランドチャンピオンズカップでは銅メダルを獲得。Vリーグで7度のベスト6をはじめ、ブロック賞3度、スパイク賞、敢闘賞のキャリアを誇る。スピードのある多彩な攻撃と固いブロック力に定評があった。2013年引退後は各メディアで解説をしている。


―― 1セット目は相手に先行されて、ハラハラする展開でした。

「自分たちのいい展開に持っていきたいんだけど、相手とシーソーゲームになっていました。その中で、相手のミスに助けられている場面がよく見られました。なかなかラリー中に決められなかったシーンは、今大会の試合で何度もありましたが、チャンスボールをものにできていないです。今のはAパス(セッターが動かずトスが上げられる位置へのパス)で返してほしいというのがそうなっていない。ブロックされているというところに目がいきがちなんですけど、その前のトス、 その前のチャンスボールの返球まで見返すと、そこがちゃんとAパスで返せていな いため得点につながっていません。

 最後代わって入った迫田(さおり)のサーブ、宮下(遥)のブロックもあって1セット目をとりきることができました」

―― 杉山さんが前回言われたように、迫田選手がカギになっていましたね。

「そのまま2セット目も迫田がスタートからいきましたが、2セット目は迫田に限らず、宮下や荒木(絵里香)もいいサーブを打ってポイントを取っていましたね。手元でぐっと落ちるサーブです。その点はすごくよかったです。

 あとは石井(優希)が素晴らしい活躍をしていました。レセプション(サーブレシーブ)が返ったときの切り込むスピードとキレがありましたし、パワーもあった。コンビでの攻撃も動きがすごくよかったし、難しい2段トスも決めて、彼女の活躍が光るセットでしたね」

―― そのよい流れのままいくかと思われた3セット目ですが、またしてもシーソーゲームになりました。

「そうなんですね。アルゼンチンにクイックをうまく使われていたのと、宮下の ツーアタックが拾われている点が気になりました。あまり有効なツーアタックに なっていないので、アタッカーを使ってもよかったのではないでしょうか。

 ミドルをもっと使わなければ、という意識は感じられたし、決まっているものもありました。ただ、トスが低くてヒットできてないので、もう少しトス を高くした方がよいように見えました」

―― アルゼンチンはどういうチームだとご覧になられましたか。

「攻撃力はありました。ブロックの上から打っているスパイクが何本かありましたし、正面にレシーバーが入っているのに、はじいてしまっていたものも何本かありました。相当な威力があるんでしょう。予選を勝ち抜いてきただけの力はありました」

―― 日本のブロックは、アルゼンチン戦も機能していなかったように見えました。

「3枚ブロックがついて、コースが絞られ、その脇を抜けているのにレシーブは上がってないというのが気になっています。前のロシア戦の時は相手のトスが高かったので、しっかり関係性ができていた。ブロックとレシーブの関係性をもう一度見直してほしい。荒木はコンスタントに今大会ブロック得点をしている一方、もうひとりのミドル、島村(春世)のブロックがもう少しほしいなと思います」

―― 準々決勝の相手は世界ランク1位のアメリカになります。

「言わずと知れた優勝候補のチームですから力がありますし、予選は全勝。本当に厳しい戦いになると思います。その中でいかに勝機を見いだすのか。現状では対策を練るより、自チームの中のことを見直すことが先決ですね。

 たとえば3セット目の最後。24−18になり、ここで気持ちよく決めて次の試合につなげなければならないところで、ミスから追いつかれ、デュースになって後味悪く終わってしまった。すごく心配ですね。

 その試合その試合ですごく好調な選手は絶対います。アルゼンチン戦だったら、 迫田だったり、石井だったり。その選手の勢いに乗っていきたい。次の大きな試 練を乗り越えなければメダルはないですから、もう一回一人ひとりが覚悟を持っ てコートに立つ。日本のチーム力をもう一度結集しないといけません。そのため には、これまで数々の窮地を救ってきた木村(沙織)に最高のプレーを出し切っ てほしいです」

 アルゼンチン戦ではブラジルの観客が日本の応援をしてくれた。試合後、迫田選手は「ほっとしています。アメリカ戦は支えてくれた方たちに感謝を持って戦いたい」と語ったが、準々決勝でも力を出し切って、アメリカの壁を破ってもらいたい。前回ロンドン五輪を思い返すと、優勝したブラジルも予選は4位通過だった。日本も準々決勝で格上の中国に対し、木村沙織が攻守にフル回転し、接戦をものにした。リオで、その再現はあるだろうか。

 準々決勝は16日14時(日本時間17日午前2時)、アメリカと対戦する。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari