連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第20週「常子、商品テストを始める」第115話 8月15日(月)放送より。 
脚本:西田征史 演出:藤並英樹 堀内裕介


昭和30年8月。
未曾有の好景気、大量消費の時代を迎えていた。
「あなたの暮し」は創立9年にして、発行部数15万部を誇る人気雑誌に育っていた。

月日の流れは、水田家に子どもがいることではっきりわかる。
鞠子と水田の娘・水田たまき(稲垣来泉)はやることが常子に似ているらしい。
万華鏡に興味津々のたまき。そういえば、常子も1話で、櫓にのぼって、万華鏡で美しい風景を愛でていた。

「とと姉ちゃん」では、初期からずーっと忘れられてないことがある。
月1のおでかけでも服をたたむことでもなく、玄関にあがるとき、靴の向きを脱いだ時と反対にしてきちんと揃えることだ。おりにつけ、この描写が挿入される。これは当たり前のようだけれど、気持ちいい。

月日の流れは、五反田一郎(及川光博)も変えていた。
現代の源氏物語と評される「蒼い葡萄」が直川賞を受賞して、かなり鼻高々な感じに五反田。
テレビの取材に
「恋とはひとりで落ちるもの
愛とはふたりで育くむもの」と「依存でなく共存の美」を説く。
この考え方は、先週、花山がスピーチした、結婚とは、異なる価値観の家のもの同士が互いに理解し合って、みそ汁をつくることからはじめることとほぼほぼ同じことである。
喧嘩しないで、相手を受け容れることからはじめること。ひいてはそれが国家間の問題の解決にもつながることを信じて、ひたすら家庭生活を丁寧に行うことを描きたい「とと姉ちゃん」。

ちなみに現実では、昭和30年7月20日発表の直木賞は該当者なし。芥川賞は遠藤周作「白い人」であった。
民衆に日常生活を豊かする提案をしてきた「あなたの暮し」は、新たな課題に取り組もうとしていた。
花山(唐沢寿明)は、キッチンの研究をはじめようと提案、常子が、編集部員とカメラマンを連れて突撃取材に向かう。カメラマン役の島崎俊郎は京都育ちだからか京都ことばを使い、編集部のいいアクセントになっている。この役、「暮しの手帖」のすばらしいカメラマンさんがモチーフなのだろうか。白背景に豆腐を際立たせるエピソードやってほしい。

常子が取材先で出会った、大樹と青葉という子どもたちの家には「星野」という表札が。
その前に、常子が近所のおうちの花に惹かれるところもまた、誰かを思い出させるのだった。
(木俣冬)