体操・白井健三が跳馬で新技に成功 見えてきた金メダルの可能性

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日本の白井健三さんが、リオ五輪体操男子種目別跳馬決勝にて、銅メダルを獲得しました。前日には得意のゆかでメダルを逃していた中で、他選手との比較では不利と目されていた跳馬にてメダルを獲得できたことには、この試合で発表した新技が大きく貢献しています。

予選や団体決勝で跳んだ技、シライ/キム・ヒフンという自身の名がついた「ユルチェンコ跳び3回ひねり」をさらにひねり、「ユルチェンコ跳び3回半ひねり」という新技に挑み、成功させたのです。

技の難易度を示すDスコアはシライ/キム・ヒフンが6.0で新技「ユルチェンコ跳び3回半ひねり」は6.4。白井さんと4位の選手は、2本の跳躍の平均値で同点でした。もしこの0.4点の上昇分がなければメダルには届かなかったことになります。本番でのビッグチャレンジが呼び込んだメダルでした。

そして、この新技の成功によって、白井さんは跳馬でも世界のトップに立てる可能性が出てきました。

予選で跳んだ2本は「シライ/キム・ヒフン(Dスコア6.0)」と「ドリッグス(Dスコア5.6)」の2本でした。これは跳馬のスペシャリストとの比較では大きく見劣りするスコアです。シライ/キム・ヒフンは標準的なDスコアとしても、ドリッグスは種目別跳馬のメダルを争うには物足りない。

ドリッグスは「伸身カサマツ跳び1回半ひねり」という技で、跳馬のスペシャリストはこれよりさらにひねったロペスという技、「伸身カサマツ跳び2回ひねり(Dスコア6.0)」を標準的な技として跳んできます。リオ五輪の種目別決勝でも2人の選手が跳んでいました。

ひねるだけなら白井さんにもすぐできそうなものですが、実は「シライ/キム・ヒフン」と「ロペス」は跳馬に手をついて以降の動きが伸身後方宙返りをしながらひねりを加えるというもので、動きや全体のひねり度合いが同程度であることから、「似た技である」として同じ選手が跳ぶのはダメとされています。現行のルールでは大きな減点がされ、その時点で勝負にならなくなってしまう。そこで仕方なく、ひねりの回数を減らしたドリッグスを「違う技」として2本目に跳んでいたわけです。

2015年の世界選手権種目別決勝では、「シライ/キム・ヒフン」のひねりが不足し、ひねり回数が少ない「シューフェルト(ユルチェンコ跳び2回半ひねり)」になってしまったことがありました。この場合、予定していたドリッグスとひねり回数が近くなってしまうため、白井さんはさらにひねり回数を減らした「アカピアン(伸身カサマツ跳び1回ひねり(Dスコア5.2)」を2本目に跳ぶことになったのです。その影響もあって白井さんは8人中の7位と下位に沈みました。

今回、トップ選手と肩を並べるDスコア6.4の新技を使えるようになったことで、2本目の跳躍もドリッグス(Dスコア5.6)からロペス(Dスコア6.0)に上げることが可能となりました。Dスコアが0.4点上がれば、2回の跳躍の平均値は単純計算で0.2点上がります。金メダルのリ・セグァンの平均値が15.691点で、白井さんの平均値が15.449点ですから、0.2点上げれば限りなく肉薄する格好。

ゆかだけでなく跳馬での金メダルも視界に入れる新技の成功。

ゆかでのまさかのメダル逸を十分に補う、素晴らしい締めくくりだったのではないでしょうか。

(文=フモフモ編集長 http://blog.livedoor.jp/vitaminw/)