元国税調査官が経費にできる「交際費」のポイントを徹底解説!

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仕事上の接待で領収書を切る。これを経理に持っていく。そこで経理にとって重要なのは、この領収書の内容が経費なのか交際費なのかという問題である。会議費などの経費として計上することができれば、この領収書は税金計算から外すことができるが、交際費となるならば課税所得として計算しなければならない。会社にとってはなるべく前者で収めたいのが、本心である。「教えて!goo」にもどこまでが経費で交際費なのか、その線引きは人なのか、という質問「これ交際費ですか?」が寄せられている。

■自社の人間だけの接待なら交際費?一人当たり5000円以上なら交際費?

質問の背景となっている、本社から来た人間に対する接待については、会議費と交際費で意見が割れた。

「『会議費』ですかね。仕事の話をしていればですけど。社内の人間の場合は『交際費』は適用されないと思います」(mnemonic29さん)

「交際費は社外の人間だけに該当するものではありません。本社の社員との飲食等は立派に交際費になる可能性があります」(guppy100526さん)

一方で、交際費か否かを一人あたりの金額で決めるという意見も見られた。その際に5000円という一つのボーダーが提示された。

「私の経験上、支払総額(税抜)÷人数で一人あたま3000円以下=会議費、3001円以上=交際費で処理しています。税務署によっては一人あたま5000円=会議費、5001円以上=交際費と言う所もある様です」(nao-t-6090さん)

「社外の人間を接待する場合にそれが一人当たり5000円未満は交際費としないと言うことになっています。又金額に係わらず会議等に伴う弁当代相当は交際費ではないとされています」(yosifuji2002さん)

税法に関する知識は複雑であることに加えて、頻繁な改正を伴うことが多いため、素人目にはなかなか判断することができません。しかし、「交際費」についての基準が明確になれば、それを目盛りとして私たちにも経費か交際費かという判断が多少なりともできるかもしれません。

■課税される「交際費」に必要な3要件!ただし実際は……?

交際費の基準であっても、税務署職員が気分で決めているわけでない。彼らも法というマニュアルに従っているのだ。すると、交際費に関する問題も彼らと同じ俎上に乗せて考える必要がある。そこで、租税法上交際費がどう定義されているのかについて、元国税調査官で税理士の松嶋洋氏に解説していただいた。

「税務調査で問題になる項目の一つに、交際費があります。交際費は、中小企業は800万円まで、大企業は原則として全額が経費にならないため、経費を制限したい国税は厳しい調査を行います。法律上交際費の要件は、以下の3つとされています。
(1)接待などのために支出されること(支出の目的)
(2)得意先など事業関係者に対して支出されること(支出の相手先)
(3)接待などの行為のために支出されること(行為の形態)」

この3要件が課税対象となる交際費を決定するためのマニュアルというわけである。しかしこの後に、松嶋氏から興味深い実務の話が続けられた。

「交際費は、上記の3つの要件に該当する費用とされていますが、実務上、(1)と(2)の要件だけで課税されるケースがあります。困ったことに、この2つの要件しか満たしていないものについて、交際費とした国税の処分を、裁判所も認めることがあります。この典型例は、株主総会の総会屋対策費用です。この費用は、国税の通達では交際費とされていますが、接待などの行為のために支出されるとまでは言えません。
このため、(1)と(2)の要件には当たるとしても、(3)の要件には当たらないと考えられます。交際費については、このように二つの要件だけで税金を取られることがあります。法律上はあくまでも3つの要件が必要とされていますので、税務調査ではしっかりと交渉してください」

国税局は経費として課税を逃れようとする金額をなるべく交際費の方へ回そうとする。その際に、要件(1)と(3)が多くの場合に連動していることを利用し、「実質的な交際費」の判断として2要件だけを見て決めてしまっているのが、実情である。しかしこれで課税額が増えてしまうようでは、会社としては堪ったものではない。松嶋氏も述べたように、交際費認定には3要件が欠かせないことを、会社側が毅然と主張していかなければならない。

●専門家プロフィール:元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は税理士として事務所を運営する傍ら税務調査対策のコンサルティングにも従事。

(樹木悠)

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