進む牛乳離れ、お腹ゴロゴロ防止には「水素」がカギに!

かつては朝、冷たい牛乳を飲むシーンは、日本の朝食風景の定番だった。しかし、今はライフスタイルや食生活が多様化し、飲料も豊富にある。その中で、あえて牛乳を好んで飲むビジネスパーソンは今、どれくらいいるだろうか。

また、中には牛乳を飲むとお腹の調子が悪くなることを理由に避けている人もいるだろう。そんな人は、お腹ゴロゴロやお腹ピーピーになりにくい牛乳の飲み方を知っておくと、通勤中、慌てて駅のトイレに駆け込むこともなくなるかもしれない。

そこで、牛乳によるお腹ゴロゴロやピーピーの原因や、一緒に飲むと良い飲み物になど探ってみよう。

■進む「牛乳離れ」…飲まない理由は「習慣がない」「お腹ゴロゴロ」

進む牛乳離れ、お腹ゴロゴロ防止には「水素」がカギに!

先日、森永製菓が行った「牛乳とココアの消費調査」で、調査対象の6503名中、牛乳を「ほとんど飲まない」「全く飲まない」と答えた人は39.5%と、約4割にも上った。

かつては、「牛乳を飲むと背が伸びる」「カルシウムが豊富で骨を強化できる」といわれ、朝食や風呂上がりには欠かせない飲み物だった牛乳も、今では影を潜めている。

年代別に見ると、牛乳を飲まないのは、20代の若者のほうが、60代以上のシニア層よりも多いことが判明した。この若者の牛乳離れの理由としては、飲料の多様化により、そもそも牛乳を飲む習慣が失われていることが大きいようだ。

実際、牛乳を飲まない理由として、一番多かったのは「飲む習慣がない」で、約半数の人がそう答えた。そして、5人に1人は、おなかの不調を理由に牛乳を避けていることが分かった。

■お腹ゴロゴロの原因と対策は?

牛乳を飲むと、お腹がゆるくなったり、痛んだり、ゴロゴロしたりする原因は、腸内における「乳糖」に対する耐性が低いことにあるといわれている。牛乳に含まれる「乳糖」は、小腸で「ラクターゼ」という酵素によって分解され吸収されるが、このラクターゼ酵素がもともと少ない人は、小腸をスルーして大腸まで到達する。すると、大腸で水素などのガスが発生し、お腹の不調が起きやすくなるといわれているのだ。

一般社団法人 Jミルクの「牛乳乳製品に関する食生活動向調査 2013」では、「冷たいまま飲んだとき」、「起床時や朝一番に飲んだとき」、「多い量を飲んだとき」にお腹の調子が悪くなる人が多かった。

全国牛乳商業組合連合会は、お腹の調子が悪くなるのを防ぐ牛乳の飲み方の工夫として、次のことを挙げている。

●人肌程度に温めて飲む
●ゆっくり飲む
●少量から飲み、少しずつ増やす
●一日に何回かに分けて飲む
●コーヒーや紅茶などに混ぜて飲む

■「牛乳×ココア」の実験で分かったココアの働き

Jミルクによれば、他の飲料と混ぜて飲む場合、コーヒーや紅茶のほか、ココアで飲むのも良いという。

そこで、牛乳とココアを一緒に飲んだときの、腸内の変化について実験を行った、埼玉医科大学医学部の澤野誠准教授に、ココアが大腸でどのように働くのかを教えてもらった。

森永製菓と共同で行った研究では、乳糖の耐性が低い状態に対して、ココアがどのように作用するかを、「牛乳」と「牛乳+ココア」それぞれを飲んだ後の呼気中に含まれる水素の量で比較しました。

結果、牛乳を飲むと水素が発生しやすい、乳糖の耐性が低い人ほど、ココアと一緒に飲んだ時に水素の過剰な発生が抑えられる傾向が出ました。また、最も水素が発生しやすい被験者の場合は、水素が約3分の1に抑えられることが分かりました。

乳糖耐性が低い人は、乳糖とココアが一緒に大腸に到達することで、過剰な水素発生が抑えられ、お腹の不調が起きにくくなったと考えられます。

ココアは、乳糖よりも水素を生み出す力が劣るため、ココアの存在により、乳糖が大腸で水素を生み出す力が抑制されるのではと予想しています。

逆に、牛乳を飲んでも水素産生が少なく、乳糖耐性が高い被験者の場合、ココアを摂取すると水素産生を増強し、水素の抗酸化効果が期待されることが明らかになりました」

牛乳は、必ずしも飲むべきというわけではないが、現代日本人に指摘されているカルシウム不足を補う意味でも、牛乳と美味しく付き合う意味でも、飲めるようになることに損はない。

牛乳を飲むとお腹ゴロゴロ・ピーピーになるという人は、人肌程度に温める、コーヒー、紅茶、ココアに混ぜるなど工夫して、大腸内での水素ガスの発生を抑えながら飲んでみてはいかがだろうか。

澤野 誠さん
埼玉医科大学医学部准教授、中部大学生命健康科学部教授、日本安定同位体・生体ガス医学応用学会理事

取材・文/石原亜香利