■チロル旅行のついでに山歩き

 モンブランやマッターホルン、アイガーなど4000m急の名峰が連なるアルプスに比べるとやや地味な印象ではあるが、オーストリアとイタリアにまたがるチロル地方にもトレイルが豊富。アルプス同様、日帰りハイキングから縦走、ロングトレイルまで体力や目的に応じて自在に選べるうえ、チロル地方はのんびり、素朴な雰囲気だ。

 表示板もわかりやすく、スキー場のリフトやロープウェイを利用するコースは、休日になるとたくさんのカップルやファミリーが自然を楽しみながらのんびり歩いており、30L程度のデイパックと靴があれば「旅行のついでに山歩き」ができるのが、おもしろい。

山の楽しみ方は登山だけにあらず!道ばたでアンモナイト発見!地質学ハイキング
アルペンスキーの聖地であるザンクト・アントンでは、ロープウェーを乗り継いで2811mに到達。写真は途中のガンペン&カパル山頂

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牛や羊を放牧しているエリア。この中を通る場合は、柵はきちんと閉めてから進む

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高山植物やハーブが美しい道、氷河が見られるトレイルなど絶景ぞろい。山歩きで国境越えができるトレイルもある

■海底の名残が見つかる地質学ハイキング

 チロル地方の数あるトレイルの中でも個性的なのは、ヨーロッパで一番美しい村と称されるレッヒの「地質学ハイキング」。歩きながらアンモナイトや古代のイカ、貝など周辺がかつて海底だったことを示す化石が見られるため、地質好きでなくとも興味をそそられるトレイルだ。

 コースはゴンドラのリューフィコプフ(Rüfikopf)山頂駅周辺の”Geoweg Rüfikopf(歩行時間約1.5時間)”と、バスで行くホルマリン湖(Formarinsee)の “Sea of Stone(歩行時間約3.5時間)”の2つで、どちらもゆるやかなアップダウンだから家族連れも多く訪れている。地形を眺めながら海底だったころを想像したり、どこに化石があるのか目をこらしながらの山歩きは楽しく、思っている以上に時間をかけて歩くことになる。バスは1時間に1本で、ゴンドラは30分に1本の運行なので、帰りの時間を計算して行動したい。

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ホルマリン湖は標高約1800m、リューフィコプブは標高2350mだが、約2億年前は海底だったのだとか。そのため、道の脇には海の生き物がはりついた石がゴロゴロ。やっぱり見つけてテンションがあがるのはアンモナイトだ。リューフィコプブでは火曜の朝9時45分より、ガイドツアーが行われているのでそれに参加してもいい

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国旗をモチーフとしたペイントがある。これがトレイルの目印

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短く、歩きやすいコースだが、町のインフォメーションで手に入るハイキングガイドくらいは持っておきたい

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リューフィコプフ山頂は真夏でも雪が積もることがある。積雪時は目印が埋もれるし、すべりやすいので引き返そう

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ゴンドラ山頂駅近くの丘には、小さな金属製のボックスがある。ノートとペンが入っているので、メッセージを残すことができる

■駐車場の使い方は日本と同じ
 
 地質学ハイキングのベースとなるレッヒは、各国王族が訪れる高級リゾートではあるがメインストリートは歩いて15分程度で通り過ぎてしまう小さな村。ロープウェイやバスの乗り場はすぐに見つかるだろう。

 レンタカーの場合、教会そばにある立体駐車場に止めてロープウェイやバスを利用するのだが、入り口は非常に狭く、2階、3階へと上る通路はカーブもキツイ。壁にはこすった跡がいっぱい残っているので、慎重にクルマをすすめよう。駐車場の支払いは日本と同じ。出庫の前に駐車券を精算し、そのカードをゲートに差し込めば開く仕組みだ。もちろん英語表示にできる。

 日帰りトレッキングに必要な持ち物は、水と地図(町のインフォメーションで手に入る)、レインウエア、サングラスと帽子、ライト、貴重品、フルーツやクッキーなどの行動食。足元はスニーカーでもなんとかなるが、やはりローカットでもいいのでソールが厚めですべりにくいトレッキングシューズがほしい。

 日本では本年より8月11日が「山の日」と制定され、登山への関心がにわかに高まっているけれど、頂上を目指す”登山”だけが山を楽しむスタイルではない。準備は万端に、けれどももっと力を抜いた山歩きを楽しんでみては。

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レッヒの立体駐車場は、トレッキングだけでなく、食事や買い物など半日たっぷり駐車して1ユーロ。狭い通路の走行は大変だが、良心的な値段だ。ザンクト・アントンなどロープウェイそばに広大な駐車場があればそれを利用すればいい。夏はたいてい無料だ

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雪解け、雨上がりの道はすべりやすいので、トレッキングシューズがほしい

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麓の町や、空港があるような大きな町にはアウトドア用品店があるので、トレッキングシューズとトレッキングポールを手に入れてもいい。写真はミュンヘンのアウトドアショップ

文/大森弘江