リオ五輪:レスリング競技の基礎知識

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オリンピックで行われる競技「レスリング」および、種目「フリースタイル」「グレコローマンスタイル」についての基礎知識を紹介します。

■ どんな競技?

◎ 試合人数

1対1の計2名で行われる競技です。

◎ 概要

マット上にある直径9mのサークル内で、2人の競技者が、素手で攻防する競技です。タックルや投げ技、両者が伏せた状態での攻防を行います。レスリングは人類最古のスポーツと呼ばれ、紀元前3000年以前より競技として存在していたと推定されています。紀元前776年にアテネで始まった古代オリンピックでも主要競技のひとつでした。敗者復活戦を伴うトーナメント方式で開催され、各階級ごとに銅メダリスト(3位)が2人になるのが特徴です。

◎ 主なルールと禁止行為

試合は、1ピリオドにつき2分間ずつ、計3ピリオドで行われます。打撃技、関節技、かみつき、指を折り曲げる等の行為は反則となります。

■ 勝敗の決着方法

◎ 勝敗の判定

2分間×3ピリオドの試合の中で、相手の両肩を1秒以上マットにつける「フォール」をするか、決めた技によって与えられるポイント判定で勝敗が決まります。3ピリオドのうち、2つのピリオドを取った(勝利した)選手が試合の勝者となります。

・ フォール
相手の両肩を1秒以上マットにつけることを「フォール」と呼びます。試合中にフォールが決まった場合、どんなシチュエーションであっても、その時点でフォールを決めた選手が試合の勝者となります。

・ ポイント
フォールがない場合、各ピリオドが終わった時点でポイントの多い選手が、そのピリオドの勝者となります。ポイントは、相手の両手両ひざのうち三点をマットにつけた状態で相手の背後に回って動きを制した時、グラウンド状態から技を仕掛けて相手の体を90度以上返した時などで加算されていきます。

◎ 競技の流れ

・トーナメント
全選手は2つのブロック(A・B)に分けられます。各ブロックごとにトーナメント方式で試合を行い、決勝へ進出する2名の選手を決定します。

・敗者復活戦
決勝進出の選手が決定した時点で行われます。決勝に進出した選手2名と直接戦って敗れた選手が出場できます。各ブロックごとにトーナメント方式で試合を行い、それぞれのブロックで勝ち上がった計2名の選手が3位(銅メダリスト)となります。敗者復活トーナメントの最終戦を「3位決定戦」と呼びます。

・決勝戦
トーナメントを勝ち上がった2名の選手で決勝戦を行います。勝った選手は1位(金メダリスト)、敗れた選手は2位(銀メダリスト)となります。

■ 種目

◎ グレコローマンスタイル

グレコローマンスタイルでは、上半身のみで攻防を行います。脚を使って攻撃したり、守ったりすることは禁止されています。反則は1回目が口頭注意、2回目は警告に加えて相手に2点が加算されます。

各ピリオドの最初の1分30秒は両者が立った状態で行うスタンド・レスリング、続く30秒が伏せた状態で行われるグラウンド・レスリングとなります。

◎ フリースタイル

フリースタイルは、全身のどこを攻め、どこを使って守ってもよいルールです。

◎ 階級

レスリングは、体重別の階級制で行われる競技です。2014年1月からレスリング新階級が採用され、オリンピックでは以下の階級で試合が行われます。

・男子フリースタイル
57kg級、65kg級、74kg級、86kg級、97kg級、125kg級

・男子グレコローマン
59kg級、66kg級、75kg級、85kg級、98kg級、130kg級

・女子フリースタイル
48kg級、53kg級、58kg級、63kg級、69kg級、75kg級

■ 日本におけるレスリング

日本でのレスリングの競技人口は、他の競技に比べて少ないものの、オリンピックでは驚異的なメダル獲得数を誇っています。男子は、1980年のモスクワオリンピックをのぞく1952年のヘルシンキオリンピック以降、また女子はオリンピックに競技採用された2000年のアテネオリンピック以降、それぞれ全ての大会でメダルを獲得しています。ロンドンオリンピックでは、男子グレコローマンスタイル60kg級(当時)の松本隆太郎選手が銅メダルを獲得し、2000年のシドニーオリンピックの永田克彦選手以来、3大会ぶりの男子グレコローマンスタイルでのメダル獲得となりました。

また、近年は女子の活躍も目覚ましいです。女子フリースタイル48kg級(当時)の小原日登美選手がこの階級では初の金メダルを獲得。同じく63kg級(当時)の伊調馨選手、55kg級(当時)の吉田沙保里選手が共に、2004年のアテネオリンピック、2008年の北京オリンピック、2012年のロンドンオリンピックと3大会連続で金メダル獲得という偉業を達成しています。

■ 世界のレスリング

レスリングはヨーロッパ発祥の競技で、現在は世界中で行われているスポーツです。ロシア、日本、トルコ、アメリカ、イランなどが強豪国と言われています。階級制をとっているため、単純な体格に左右されず、地域や人種を問わず活躍する選手が多くいます。また、女子レスリングは1970年代に欧州で始まり、1987年から世界選手権、2004年からオリンピック種目に追加されました。「女子レスリング」という種目としてはまだ歴史が浅く、今後も普及・発展する余地のある競技です。

■ リオ五輪の注目選手

リオ五輪、日本勢は女子のみの出場となったレスリング。とはいえ注目選手は金メダル候補ばかりなので期待大です!

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◎ 登坂絵莉(とうさか・えり)

かわいい顔して筋肉バキバキというギャップが素晴らしい登坂選手。父親がレスリング選手だったこともあり、その影響でレスリングの道に進みます。中学時代からメキメキと頭角を現し、レスリング全国中学生選手優勝、全国高校女子選手権2連覇、全日本レスリング選手権大会準優勝、世界選手権3連覇というものすごい活躍を見せます。現在、連勝記録は59連勝!2012年の世界大会以来負けなしということですから、初オリンピックでの活躍も十分期待できそうです。

◎ 川井梨紗子(かわい・りさこ)

元レスリング選手の両親のもとに生まれた川合選手は、まさにサラブレッド。試合になると目つきが変わります。金メダル候補が跋扈する日本女子レスリング界。川合選手はもともと58kg級の選手でしたが、そこには女王である伊調馨選手が君臨していました。周囲のすすめもあり、63kg級に出場することで見事五輪代表選手に!63kg級での世界ランキングは2位と、メダル圏内。階級を変える前は悩んでいたようですが、今は「得意の組手からタックルに移行してポイントを取るスタイルと、計量選手ならではのスピード感を武器に攻めることに手ごたえを感じている」とのこと。大きな決断を乗り越え、レスリングに邁進してきた彼女には、ぜひ栄光を手にして欲しいものです。

■ その他、レスリングの日本代表選手

◎ 金メダル候補のベテラン2人

若手選手だけではなく、吉田沙保里選手や伊調馨選手といったベテラン選手も出場します。3大会連続金メダルを獲得してきた彼女らに、次は4大会連続の金メダルという期待がかかっています。

■ 参考

・Japan Wrestling Federation - 日本レスリング協会公式サイト - JWF
・アマチュアレスリング - Wikipedia
・JAPAN WRESTLING FEDERATION 日本レスリング協会公式サイト「【重要】2015年 UWWルール変更について・追加(日本協会・審判委員会)」

(image by photo AC)
(著&編集:nanapi編集部)