リオ五輪女子バレーボールは12日(日本時間13日)、ロシアと対戦して、0−3のストレートで敗れた。これで1勝3敗となり、予選突破は14日のグループ予選最終戦に持ち越された。

 今回も元全日本で、現在は解説者の杉山祥子さんに話を伺った。

【profile】
杉山祥子(すぎやま・さちこ)
全日本のミドルブロッカーとして、アテネ五輪・北京五輪に出場。グランドチャンピオンズカップでは銅メダルを獲得。Vリーグで7度のベスト6をはじめ、ブロック賞3度、スパイク賞、敢闘賞のキャリアを誇る。スピードのある多彩な攻撃と固いブロック力に定評があった。2013年引退後は各メディアで解説をしている。


── スタートから、田代佳奈美選手が司令塔として、そしてパスヒッター(レセプションをして攻撃もするポジション)は石井優希選手ではなく、鍋谷友理枝選手がスターティングメンバーでした。

「前回の試合で、石井がサーブレシーブを狙われて乱されたというところで鍋谷のスタートになったと思います。この試合に限らず、思った通りの総力戦になりましたね」

―― 1セット目は14−25。ちょっと歯が立たない感じでした。

「そうですね。でも、ロシアのトスが高い分、ブロックはしっかり3枚つけていたのはよかったと思います。ブロックの得点もあったし、ワンタッチでそこから切り返すことができていたのはよかった。

 ただ、1セットの中で5連続失点が2回もあるんです。ロシアの13〜17点、18点〜22点まで。ここまでの試合もそうですけど、勝負どころで連続失点、なかなかサイドアウトが取れなくて離されるという場面が見られます。それではなかなかセットをものにできません」

―― 2セット目は、スタートが宮下遥選手、石井選手、迫田さおり選手に変わりました。

「1セット目の連続失点をみると、ロシアが鍋谷を徹底してサーブで狙っていたんですね。それで乱れたボールを鍋谷が崩れた体勢で二段トスを打ちにいくしかなくなり、すごく負担になっていた。ロシアの思うようにされていたので、石井選手を入れたのでしょう。

 迫田はここまで試合の途中から入って、すごくいい働きをしている。長岡(望悠)が決してスパイクが決まっていなかったわけではないのですが。迫田の一本に対する気迫がここまでチームを引っ張ってきた。そこに懸けたのでしょう」

―― 2セット目の入りはよかったですね。

「サーブポイントも出て、また、佐藤(あり紗)のディグ(スパイクレシーブ)とブロックフォローもとても上がっていて、立ち上がりはよかったですね。5−2までリードしました」

―― 最後28−30と非常に競った内容で、ここのセットを取り切れれば、また違ったのではないでしょうか。

「セットポイントを先に取られてからも、日本はあきらめず粘りました。このセットは頑張って先行して中盤までリードしていましたが、じわじわと追いつかれたのはやはり自分たちのミスが随所に出てしまっていました。アウト・オブ・ポジション(サーブ時に正しい守備位置にいない反則)もとられましたし、迫田と島村(春世)が2本目を一緒に取りに行ってしまったり。せっかく先行していい形なのに、ガタガタっときてしまうミスが響いて、追いつかれ追い越されてしまった。

 でも、20−24まで追い込まれてからの、迫田の気迫のスパイクや木村のサーブポイントなど、みんなで粘って点につなげていった。こういうバレーが見たかった、こういうバレーが日本のバレーだというプレーが多く見られました」

―― 鍋谷選手のサーブで崩してブレイクして、その次(26−25)にサーブをミスしたのも痛かったですね。

「サーブはどんな場面でも攻めて勝負にいかなければならないというのが大前提。そうは思うけど、終盤の勝負どころの1点は勝負を分けますよね。

 何といってもロシアはナタリア・ゴンチャロワというあれだけ決定力のあるエースが打ってきますので、日本はそういった大エースを抱えるチームに対して、常に先行する試合をしたいところです。

 本当に取りたかったです、このセット。本当にみんな必死にボールに食らいついていましたから。残念でした」

―― 3セット目は、そのまま流れがロシアにいってしまいましたね。

「3セット目はブレイク(サーブ権があるときの得点)が2回しか取れていないんですね。6点目と17点目の2回のみ。改めてスコアを見て、気になりましたね。あとロシアのブロックが、シャットされたのだったらあきらめもつくんですけど、フォローできるものも落としてしまいました。

 そして、荒木(絵里香)のBクイックが(21点目で)ようやく1本。試合終盤のここか......と。これまでも再三言ってきましたが、ミドルの本数をもう少し増やしたい」

―― ミドル攻撃が少ないのはなぜでしょうか。相手のブロックが高くて、怖くてトスを上げられないのでしょうか。

「確かにロシアのブロックは1枚1枚大きいので、プレッシャーはあると思うのですが、それでも使って決まらなくて、サイド一辺倒になるのならわかりますが、ほとんど使っていませんからね。特に荒木の打数は少なくて、ブロックでしか姿が見えてきません。なんとかミドルを使えるように組み立てていってほしい。

 そんな中で、迫田が前衛でも後衛でもトスを呼んで、貢献している姿が見られたのはよかったです」

―― ロシアの戦術はどう見ましたか。

「伝統的にエースはしっかり踏み込ませて思い切り打たせますね。そして、少ないながらもクイックの決定率は高いので、ミドルへのマークも外せない。ただ、サイドのトスは高いので、一度真ん中(ミドル)にマークしてからでも、サイドにブロックはつきやすいんです。ロシアはトスを速くして、ブロックを振ろうという意図は見えなかった。体勢を整えてしっかり打つという組み立てでした。そしてその狙い通りエースがしっかり決まっているから、結果を出しているのだと思います」

―― 次は日本と同じ1勝3敗のアルゼンチンと予選突破をかけての戦いです。

「予選最後の試合。勝つのは絶対条件です。目標がメダルであるわけですから、次の決勝ラウンドにつながる戦いができるか。それが次の一戦に向けての課題。どういう勝ち方をするのか。内容までこだわっていけるか、期待したいです」

―― キーマンとなる選手は誰でしょう。

「迫田。すごく気持ちが伝わってきますよね。一本一本、絶対に決めてやるという、前でもバックでもそういう気迫でチームを牽引しているので、次の試合でもチームを鼓舞してくれると期待しています」


 セットポイントを取られても粘りに粘って、逆転までした第2セットをとりきれなかったところが、今の日本の勝負弱さを表している。アルゼンチン戦(14日20時30分、日本時間15日8時30分)に、勝てばグループ予選突破が決まる。そこで流れを変えて、決勝トーナメントに臨みたい。

中西美雁●文 text by Nakanishi Mikari