これが五輪感!白井健三さんが絶対確実と思われた「金」のかわりに、五輪の重さを実体験する貴重な収穫を得た件。
「田中」はなくとも魔物は死なず!

そうか…「田中」と魔物は別枠だったのか…。改めて突きつけられた現実に、僕は愕然としました。15日未明、絶対に確実な「金」としてカウントしていた種目が惨敗のうちに終わりました。体操男子種目別ゆか、白井健三。圧倒的なチカラ、異次元のチカラを持つゆかの絶対王者がまさかの失敗の連続。8人中4番目という順位で、金はおろかメダルさえも逃しました。

「田中」はスタンドで観てるだけなのに、何故だ!

そこにいたのは五輪の魔物(※五輪会場どこにでもいるヤツ)でした。そして、気づいたのです。今までそれを片手で一発殴るだけで蹴散らしてきた、内村航平さんがいかにすごかったのかということを。全種目に登場し、全種目の魔物と戦い、勝利したからこそ内村さんは真のラスボスステージにまで到達していたのだ。「魔物」⇒「中国」⇒「田中」⇒「じゃがりこ(この敵の正体はキミの目で確かめよう/まさか、あの親友が…)」という連戦のうち、一瞬で終わるステージがあっただけなのだ、と。

種目別決勝・ゆかには内村さん、白井さんを含め8人の選手が登場。内村さんが最初に演技を行ない、白井さんは7番目の登場。内村さんはギックリ腰を発症しているということで、出場自体が危ぶまれる状況でしたが、強行出場してきました。五輪だからということもあるでしょうが、何よりも白井さんがそこにいるから無理を押してきたのではないか。彼と一緒に表彰台に立ちたい、何となくそうしなければならないという気持ちがあったのではないか。そんなことを思います。

始まった演技。やはり内村さんは状態がよくない模様。最初のタンブリング、後方伸身宙返り3回半ひねりから前方伸身宙返り1回半ひねりの連続技で、一歩、さらに大きく一歩動きます。珍しいラインオーバー。0.3の減点となる過失が出る苦しいスタート。それでもラインオーバー以外はしっかりと決め、Dスコア6.900、Eスコア8.641は予選のスコアを採点的にはわずかに上回るもの。本当にラインオーバーの一本だけでした。

つづくブラジルのイポリトは屈伸アラビアンダブルからの連続技など見た目にも面白い演技を乱れなく決め、内村さんを早速上回ります。そして、イギリスのウィットロックも美しい演技で高いEスコアを出し、内村さんを上回る暫定1位に。何と、3人が演技を終えた時点で早くもダブル表彰台の夢は潰えてしまいました。さすが種目別の戦い、高いレベルでの競り合いです。さらに内村さんはブラジルのマリアーノにも抜かれ、暫定4位まで後退。メダルの可能性もなくなります。

それでも日本には白井健三がいる。むしろ、こういう状況をこそ待っていた。内村さんとて永遠に体操をやるわけではないのですから、誰かがそのあとを引き継いでいかないといけない。すでにこの種目ではチカラで完全に上なのですから、やらないといけない。何の問題もありません、Dスコア7.6はほかの選手を0.7〜1.0ほど上回る圧倒的な構成。普通にやりさえすれば、誰もついてこれるものはいません。相手ではなく自分に勝てば「金」です。

↓しかし、白井さんは着地でのミスが続出!ガチガチの演技で出場選手中最低のEスコアを叩きだす!


粘って倒れなかった、けれど大きくグラついた!

Dスコアの差をすべて吐き出す出来栄え!

ブラジルブラジルの大声援がやかましい!

「田中」じゃないよ、これが「魔物」だよ!

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僕はこうした恐るべき「魔物」にこそ五輪を感じます。もちろん競技性…肉体の限界に挑むような競技性も重要ですが、何よりもこの一戦に懸ける想いの大きさ、重圧の大きさこそが五輪感の正体であろうと。勝利したときに感じる「今まで生きてきた中で一番幸せです」という感慨。敗れたときの「五輪の借りは五輪でしか返せない」という雪辱への想い。すべてを懸けてくるからこそ、素晴らしさもあるし、魔物とも出会う。自分はそんなつもりがなくても周囲すべてがそうなっていることで、巻き込まれてしまう。それが「五輪感」だろうと。

その意味では、サッカーなどのような出ている選手も見ている観衆も「本当の戦いは別にある」と思っている競技よりも、この戦いこそがすべてであるという競技にこそ五輪の真髄がある。人気の有無や競技人口の多寡ではなく、五輪を特別なものにさせている理由がある。勝ったときも、負けたときも、「すべて」であるからこそ美しく、取り返しのつかない戦いであるからこそ何もかもが現実となる「重さ」がある。

今回、白井さんはその重さに敗れました。相手に負けたのではなく、自分に負けました。いかに内村さんが凄まじかったか。あん馬、平行棒、鉄棒などの大過失が待つ種目に何度も挑み、勝ちつづけてきた。失敗が許されない演技で、大成功を決めてきた。勝つと思われている選手が実際に勝つことがどれだけ難しいか、白井さんも改めて実感したに違いありません。

今後はそれが自分に求められてくる。東京では間違いなく日本体操の中心となる選手に、それを感じてもらえてよかった。リオでの金を逃したぶんに見合う、大きな経験を手にすることができてよかった。「自分に負けた」状態の白井さんでさえ、順位は内村さんより上だったのですから、それはもう「頼むぞ」ということなのです。内村さんもそれを伝えたかったのかもしれません。

表彰台のてっぺんに立つ白井さんと、それを下から眺める内村さん。もうお前たちの時代だぞ、と。自分もそこそこはやれると思うけど、絶対に決めなければいけない一本を決めるのはお前たちの仕事だぞ、と。表彰台の上で「託す」ことはできませんでしたが、ふたりが予定通りの順番で並ぶことはできた。その意味を、しっかりと噛み締めながら次の4年を過ごしてほしいもの。内村航平が背負ったモノをすべて引き受ける気持ちで…!

↓今大会の演技を終えた内村さんは、それでも「満足」と笑顔で総括!

<内村航平さん種目別ゆか決勝後インタビュー動画>

http://www.gorin.jp/video/5082830595001.html

内村さん:「自分の演技ができなかったこと」
内村さん:「それが一番悔しいところで」
内村さん:「腰の状態も悪くて」
内村さん:「出れるかどうかもわからないところから」
内村さん:「これだけ演技ができたことは」
内村さん:「そこはよかったところかなと思います」
内村さん:「(欠場は)一瞬、頭をよぎったんですけど」
内村さん:「自分で権利を勝ち取って」
内村さん:「オリンピックの舞台でそういうこと…」
内村さん:「していいんだろうか?っていう風に思って」
内村さん:「出れるんだったら、やっぱり」
内村さん:「自分で勝ち取ったものなので」
内村さん:「出たほうがいいだろうと思って」
内村さん:「腰が壊れても出てやろうっていう気でいました」
内村さん:「(リオは)ただただ、結果が」
内村さん:「目標としていたものが取れたので」
内村さん:「もう、満足という以外はないです」
内村さん:「たくさんの応援をしてもらって」
内村さん:「たくさんの期待をしてもらって」
内村さん:「その期待に自分が応えられたかはわからないですけど」
内村さん:「本当にみなさんに感謝しています」

期待を背負い、腰を壊し、それでもやる!

それがエースというものだ!


↓4年後は「ゴメン」で済まない、さらに重たいものがのしかかってくるぞ!


内村さんの強さを頼ってはいけない!

加藤さんの安定感を頼ってはいけない!

山室さんの生み出すリラックスムードを頼ってはいけない!

田中さんの「先にやらかしてくれる安心感」を頼ってはいけない!

キミが内村さんの後継者となって、「田中」の後継者のぶんまで2倍働くのだ!

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ギックリ腰の先輩のため、リアル荷物も今日から背負ってあげよう!