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地方創生政策の一環として、政府が消費者行政を担当する消費者庁、国民生活センターなどの機能を徳島県に移転することを検討している問題で、移転に反対する日本弁護士連合会は8月8日、7月末まで行われていた移転の試行勤務を検証するシンポジウムを開催した。

●移転の判断は、3年後に先送り

消費者庁は、徳島県への移転の課題を探るため、7月末まで約4週間の試行勤務を実施。板東久美子・消費者庁長官(当時)は7月27日の記者会見で、「行政、事業者、教育学術機関などとの継続的な協力が得られれば、新たな施策を創出していくことができる可能性も強く感じた」と一定の手応えを示していた。

一方で、移転するかどうかについて、政府は当初8月末をめどに判断を下す予定だったが、河野太郎・消費者担当相(当時)が7月29日の会見で、3年後に先送りする方針を示した。

●「移転はただちに断念すべき」

日弁連・消費者問題対策委員会幹事の鈴木敦士弁護士は、「(徳島移転は)地方全体を考えたとき、各地域からの消費者庁へのアクセスが悪くなる」「消費者庁には、関連産業があまりない。消費者庁が移転すれば関連産業が移転して、その地域が活性化するという関係にはない」として、そもそも地方創生のための施策として不適切だとする考えを示した。

また、徳島県は、テレビ会議システムを用いて距離的な障害を克服できるとしていたが、鈴木弁護士は、「立法作業を進める上で、日常的な接触と対面での話し合いが必要。こうした意識は環境が整備されても変わらない」とテレビ会議では対応できない場面があることを指摘。「移転はただちに断念すべきだ」と結論づけた。

●「商品テスト、仮の施設では不十分」

議論は、同じく移転の検討が続いている国民生活センターについても及んだ。全国の消費生活センターなどで受け付けた商品の苦情相談を解決するために、国民生活センターでは、X線分析や温暖・寒冷環境テストなどの商品テストを行っている。商品テストは、神奈川県・相模原の施設で行われていたが、5月から徳島で試験実施している。

日弁連・消費者問題対策委員会副委員長の山崎省吾弁護士は、商品テストを実施する国民生活センターは「(消費者庁以上に)もっとも移転してはならない機能」と強調した。

「(商品テストには)危険を伴う爆破テストや、機械を改造してようやく行うことができるテストもある。『本来あってはならないものがあるかどうか』を確かめるために慎重に実施するのが商品テスト。(徳島の)仮のテスト施設でそんな精密なテストを実施することできない」と語った。

(弁護士ドットコムニュース)