背中のぜい肉

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盆と暮れ…1年のうちたった2回の辛抱だ! そう思いながらも、つい憂鬱になりがちなのが、夫の実家への帰省。姑の前で猫を被れば被るほど、後々自分を追いつめることになりかねない…。ここでは、実際に起きた嫁姑バトルを紹介。関西に住む姑と東京育ちの嫁…はたして、長きにわたる大バトルの行く末やいかに…!?

●大勢の親戚の前で嫁の体型にダメだし

「夫の実家は神社なので、それはもう、しきたりにはうるさい。まるで『渡る世間は鬼ばかり』にでも出てきそうな姑なんですよ(笑)。そもそも結婚する前から私のことが気に入らず、けっこうチクチクとやられましたからね」(Tさん 以下同)

そう語るのは、都内在住のTさん。明るくて気さくなTさんは、大手出版社で働くキャリアウーマン。初めて夫の実家を訪れたのは、結婚する2年ほど前のことだった。

「夫は、実家が神社であることを事前に知らせてくれなかったんですね。なんでも、前の彼女にそれを告げた途端“実家が面倒くさそうだから、あなたとは結婚できない”と振られてトラウマになっていたようで…。当時の私は25歳とまだ若かったし、親も都会育ちなので、主人の実家を訪れた時は驚きました。義母に普通に挨拶すれば、“3つ指をついて挨拶もできひんのか?”と嫌味を言われ、“食べた後の箸が揃っていない”“テレビを見ながらあぐらをかくとはどういうことか!”など最初から言いたい放題。そもそも私にも常識やマナーが欠けていたのは確かなんですが、そこまでボロカスに言わなくても…と(笑)。神主という職業柄、人に説教をする癖があるようなんです」

姑の性格が気になってはいたものの、Tさんは、夫の優しい人柄に惹かれてついに結婚を決意。「年に2回の帰省さえ我慢すれば…」そう甘く考えていた。

「夫は長男で、義母も高齢に差し掛かっていたので、結婚してからはお盆と暮れはもちろん、GWも返上で、1週間ずつ滞在していました。そのおかげで、長期休暇はすべて返上。大好きな海外旅行に行くこともできなくなって…。それでも、私と義母の関係は相変わらずで、帰省の度に、お供えや地蔵盆の習慣など、家のしきたりを教えられました。電気をつけっぱなしにしておけば、“Tさん は、よっぽどいい暮らしをしてきたんやな”とチクリ。知らないことだらけで私がアタフタしていると、“Tさんはな〜んも知らんのやなぁ。宇宙人やで! ホンマに!”とツッこまれたり…。関西なだけに、皮肉にユーモアだけはあるようでした(笑)」

そんななか、夫の祖父の法事が行われることに。産後でいささか太ってしまったTさんは、大勢の親戚を前にして、こんな嫌味を言われてしまう。

「その日は法事で20人くらいの親戚が集まっていました。みんな気さくないい方ばかりなのですが、お酒が入った食事の席で、私がお酌をしていると、義母がしみじみ私の後ろ姿を見て、“Tさん、肥えたな…”と大声で言うんです。“ハッ!”として私が苦笑いすると、義母は“ほれ、見てみぃ! あの盛り上がった背中の肉を! 昔はモデルみたいに、スラーッとしてたんやでぇ”と言って高笑い。さすがの私もブチギレして、“共働きだし、子どもの世話に追われてダイエットなんかする暇ないですよ! そんなお金もありません!”と言ってやりました。義母は急に青ざめて、食事の席も一瞬にして凍りつきましたね。私は捨て台詞のように言って、すぐトイレに駆け込みました」

夫にその晩謝ると、こう声をかけてくれたという。

「“たまには、あれくらい言ってやっていいんだよ。我慢することはない。1週間も帰省してるんだから、無理をしたらやってられないよ。頭に来たら、その思いをぶつけてやればいいんだ。そうじゃなきゃ、おふくろだって変わらないよ”と。もう我慢しなくていいんだと思いました。それからは、義母にああ言われたらこう返すと、私もすっかり戦闘モードに。おかげで義母とも、腹を割って話せるようになった気がします。相変わらず“宇宙人”呼ばわりされてはいますが…(笑)」

Tさんが遭遇した姑バトルについて、カウンセラーの那賀まき氏に分析してもらった。

「お姑さんはTさんを、我が家に加わった新メンバーのように感じているようです。“Tさんに我が家のやり方を仕込まねば!”という思いと、“うちの者に遠慮は無用”という思い(親密感)が歯に衣着せぬ物言いや嫌味な言い方になるんですね。こういう相手には、良かれと思って遠慮したり、気を使いすぎるのは逆効果。遠慮されたり気を使われすぎると、お姑さんは心の距離感を感じてしまうので、その距離を近づけようと、もっと無遠慮な物言いをしたり、あれこれ教えようとしてしまうのです。この場合はTさんの夫が言うように、我慢せずに言い返す、嫌なことは嫌だと伝えることが鍵。我慢より発信を心がけてみてくださいね」

思い切ってぶつかり合うことで、徐々に姑との関係性を築き上げたTさん。猫を被らず自然体で…それもまた、嫁姑の関係性を良くするひとつの心得なのかもしれない。

(取材・文/吉富慶子)