『人望が集まる人の考え方』(レス・ギブリン著、弓場隆訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、「よい人間関係とは、自分が求めているものを手に入れるのと引き換えに、相手が求めているものを与えること」だと主張しています。

そこで本書では、相手が求めているものを与えることによって、自分が求めているものを手に入れるための方法を説いているのです。

それは、きわめてフラットな考え方。

自分が求めているものを相手から奪い取るのではなく、ましてや与えてもらうために媚びを売るのでもなく、あくまでもギブアンドテイクの精神で「公平な交換を行う」ということなのですから。

心理カウンセラーで、なおかつ累計500万部突破ベストセラー作家でもある著者は、よい人間関係を築くためには、人間の習性についてしっかり学ぶことが大切だとも主張しています。

そして、そのためには人間の理想の姿を追求するのではなく、人間の現実の姿を究明する必要があるのだとも。

人間の習性をよく理解して初めて、成功と幸福を手に入れるきっかけをつかむことができるということなのかもしれません。

たとえばそのひとつが、「人々を引きつける3つの条件」。あるいは、「友情をはぐくんで相手を味方につけるための3つの条件」といいかえてもいいのだといいます。

その内容をよく理解したうえで活用すれば、多くの人のことを引きつけることができるというのです。それぞれを確認してみましょう。

■人々を引きつける3つの条件とは?

(1)相手を受け入れる

人間は誰しも、あるがままの自分を受け入れてほしいと強く思っているものです。しかしその一方、現実的には人前で自分を曝け出すだけの勇気を持っている人はほとんどいません。

そこで私たちは、一緒にいて自分らしくいられる相手を求めるものだというのです。なぜなら、そういう人といると、ありのままの自分を受け入れてもらえるように感じるから。

逆にいえば、絶えず人のあら探しをし、そればかりか欠点をなおすためのアドバイスまでするような人は、親友を見つけることができないわけです。

だから、「他人がどう振る舞うべきか」について厳格な基準を設定してはいけないと著者はいいます。大切なのは、自分らしく振舞う権利を相手に与えること。

その人が少し変わっていたとしても、それは否定すべきではない。

むしろ、相手が自分と同じように振る舞い、自分と同じものを好きになるように主張してはいけないといいます。そこで一緒にいるときは、相手がくつろげるように気を配るべきだというのです。

相手をあるがままに受け入れて好きになる人こそが、相手の行動を改善するだけの影響力を持つのだと著者はいいます。

他人を変える力を持っている人はいないけれども、相手をあるがままに受け入れると、自分を変える力を相手に与えることができるというのです。

(2)相手を認める

当然ですが、すべての人が自分を認めてほしいと強く思っています。人はみな、「承認願望」を持っているものだから。

そして相手を認めることは、相手を受け入れることよりもさらに進んだものだと著者は主張しています。

相手を受け入れることは、「欠点があるけれども受け入れる」という意味なので、ややネガティブ。

一方、相手を認めるということは、相手の欠点を辛抱することを超え、積極的に長所を見つけることだからポジティブなのだという考え方。

誰にでも相手のなかに「認めるべきもの」を常に見つけることができるし、「認めるべきでないもの」も見つけることができるもの。

そして、それは「なにを探し求めるか」によるといいます。もしネガティブな性格なら、相手の欠点を絶えず探し求めるだろうし、ポジティブな性格であれば、相手の長所を常に探し求めるということ。

ネガティブな人は相手の欠点に焦点を当てるため、相手のなかにある最悪のものを引き出してしまいがち。

しかしポジティブな性格の人は認めるべきものに焦点を当てるので、相手の長所を引き出すことが可能。

そして人々は他人に認めてもらうと気分がよくなり、さらにいい気分になるために他の資質も伸ばして「もっと認めてもらおう」と努めるものだといいます。

(3)相手を尊重する

すべての人は、自分を尊重してほしいと強く思っているもの。この「尊重する」とは、相手の価値を高く評価するという意味だといいます。

だからすべての人は、自分の価値を高く評価してくれる人を常に探し求めているというわけです。

だからこそ、相手の価値を高く評価していることを伝えることはとても大切。相手に感謝し、相手を待たせず、相手を特別扱いすることが大切だというのです。

■相手を尊重していることを示す方法

このような考え方を軸に、著者は「相手を尊重していることを示す方法」についてまとめています。

(1)できるかぎり相手を待たせない

(2)すぐに面会できない場合、来訪を確認していることを知らせ、なるべく早く面会する

(3)相手に感謝する

(4)相手を特別扱いする

人がもっとも「軽んじられた」と感じるのは、ぞんざいな扱いを受けたとき。繰り返しになりますが、すべての人は自分の価値を認めてもらい、自分を特別扱いしてほしいと思っているもの。

そこで、これらを踏まえて相手と接すれば、関係はよりよいものになっていくというわけです。

(文/作家、書評家・印南敦史)

 

【参考】

※レス・ギブリン(2016)『人望が集まる人の考え方』ディスカヴァー・トゥエンティワン