引越会社、印刷会社、飲食店という、市場の縮小や価格競争が激化する業界にあって、大きな値引きを行わないにもかかわらず好業績を上げ続けている企業があります。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』では、「値引きは悪と考えよ」とした上でその3社が行っているオリジナルな戦略を紹介、さらにそこから学ぶべき「独自価値で戦うための3つのポイント」を提示しています。

【引越業界の場合】差別化より独自化の製品サービス開発 〜愛知県引越一番のおもてなし

自社だけのユニークな強みを提供することは、何も大企業だけに必要なわけではない。弊社のクライアントで、愛知県で頑張る中堅規模の株式会社引越一番という企業がある。

中堅企業である引越一番が、大企業である競合他社の思い切った値下げ価格や、広範囲にわたるサービス網に正面切って挑んでいくことは容易ではない。どうしても値引き合戦になりがちで、収益を悪化させてしまうことにつながる。いわゆる「営業利益」が下がるのだ。

さらに、価格を下げるとブランド・マネジメント上重要な「見た目の価値」が下がってしまう。戦略なき値引きや低価格に「いいことは少ない」のだ。

引越一番の独自な顧客価値は、「懇切丁寧な引越」を提供することにある。大企業の引越しサービスも丁寧なのだろうが、さらにその上を行く配慮をされている点が顧客に支持を得ている。

新築のお宅にはいる時には、それまではいていた靴下を履き替える。それだけにとどまらず、絶対に間違えないように、それまでの靴下と「違う色の靴下にはき変える」ことで、絶対に間違えないように、ヌケモレを防止する努力をされているのだ。

また、不満足度アンケートというものをとっている。お客様が「不満足だ」と感じたことを、翌日の朝礼で全員に通達し、全員で改善に取り組む。それほど、お客様に対しての細部にわたってまで気遣いを欠かさないのだ。

このおもてなしの心で、「また引越一番さんにお願いしたいです」と、お客様からわざわざ電話がかかってくるほどである。

事業の定義をはっきりさせる

引越一番は自社の事業を「運輸業」ではなく「お客様が幸せを感じる本物の引越し」を提供することとしている。この細部にわたる気遣いと、丁寧な作業が、「新居に引越した時の幸せ感」につながる。それこそが、他社と比較した場合の、ユニークな顧客価値になる。

こうなると、「価格の安さ」という土俵での競争ではなく、「どれだけいい引越か」でお客様に比べられ、「安い方がいい」という値引き合戦に巻き込まれることなく、まったく別な土俵で戦うことができるのだ。

【印刷業界の場合】しあわせきり絵展〜印刷業が生き残るために必要な戦略と仕組み

鈴木紙工所さんのKirieFabbrica「しあわせきり絵展」に行ってみた。この企業は、とても美しい切り絵を機械加工で創り出すことができるのだ。

この個展では、素晴らしいきり絵を多く観ることができた。中でも、素晴らしいのはメモリアルきり絵。結婚式のウエルカムボードや、出産、追悼のときの思い出に、写真なども元にきり絵にしてボードに入れてくれる。

競争が激しい業界では何をすればいいのか?

印刷関係の方々からは、多くの講演依頼や相談をいただく。クラウドソーシングなどの影響で、価格競争に巻き込まれたり、「そもそも紙の印刷が不要になってしまい仕事が減っているのです」と経営者の方々はおっしゃる。

実はそうではないのに。

鈴木紙工所さんのように、技術を活かした「独自価値」を出すことで十分戦えるのだ。そこにもう一つ「仕組み=ビジネスモデル」があればなお強い。なぜなら収益を上げてなんぼ、だからである。

【飲食業界の場合】とんかつ比呂野はなぜリピートしたくなる飲食店なのか?

名古屋で有名なとんかつの店「比呂野」は、リピートしたくなるお店だ。ランチで出ている「ミックスフライ」は、ヒレカツ、白身魚、海老のカツに、お惣菜1品とサラダ、そして赤出しの味噌汁というメニュー。評判のヒレカツランチもあるが、いろいろと食べたいボクは、ミックスフライをよくいただく。

カウンターに座ると「お荷物はこちらにどうぞ」と、女性の店員さんが柔らかい笑顔で。これだけでその日が楽しくなりそうである。次に大将らしき方に「味噌はかけてもよいですか?」と聞かれる。ボクがきょとんとしていると、「では、別皿でお出ししますね」とのこと。

ここでは、カツにつけるものが、塩、ソース、味噌の3種類ある。塩で食べる豚カツも珍しく、説明書きのPOPが用意されているのも親切だ。Foursquareでチェックインすると、味の薄い順につけていくのが通とのこと。塩をつけて食べるとんかつ店は限りなく少ない。

そして店をでる時には、隣にある喫茶店で使える珈琲の割引クーポンもくれる。

自社だけの価値が生み出すこと

引越会社、印刷会社、飲食店の3つの事例を見てきた。どの業界も、市場が小さくなったり、価格競争になっている、厳しい業界である。そんな中で、企業のマーケティング活動として何が重要なのか? まずすべきことは、以下の3点の見直しである。

事業の定義〜顧客に価値を提供できているか?差別化よりも独自化〜安さだけに頼っていないか?収益向上のビジネスモデル〜リピートの仕組みはあるか?

「何を、誰に、どうやって」買ってもらうかを突き詰める中で、自社プロダクト(製品、商品、サービス)は、すべての起点になるのだ。

image by: 引越一番公式HP

 

『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』より一部抜粋

著者/理央 周(めぐる)

あのヒット商品はなぜ「ヒット」したのか?あのレストランの予約は、なぜいつも取れないのか?世の中で「売れているモノや人気者」はなぜヒットするのでしょうか?毎号実際の店舗や広告を取り上げ、その背景には、どんな「仕掛け」と「思考の枠組み」があるのかを、MBAのフレームワークとマーケティングの理論を使って解説していきます。1.「中小企業経営者・個人事業主」が売り上げを上げる 2.「広告マン・士業」クライアントを説得する 3.「営業マン」が売れない病から脱するためのメルマガです。

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出典元:まぐまぐニュース!