「先延ばしストレス」はジワジワと体を蝕み、やがて死に繫がるという

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 過労死の被害が増え続けています。厚労省の統計によれば、長時間の労働が原因で死んだ人の数は、過去10年で10倍にもなったとか。この状況に対し、厚労省は「過労死」と認定される基準を明確にさだめています。その時間は「1ヶ月平均80時間以上の残業」というものです。

 つまり、午後9時〜5時までが定時のサラリーマンの場合は、平日に午後10時までの残業をし続けたら過労死ラインを超えてしまうことに。この程度の基準なら、すでに余裕でオーバーしている方も多いんじゃないでしょうか。

 しかも、これはあくまで「過労死」のライン。実際のところは、そのだいぶ前から確実にサラリーマンの寿命は縮まっています。

◆週の労働時間が55時間以上で脳卒中リスクが33%上昇

 2016年6月、ロンドン大学から「労働時間と病気」の関係をチェックした論文が2本出ました(1,2)。働き過ぎがカラダに悪いのは常識ですが、それでは「具体的にどれだけ働くとヤバいのか?」を調べあげた内容になっています。

 まず1本目の論文は、ヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアなどの国から約60万人分のデータを集め、「労働時間と心疾患」の関係を8年半にわたって追跡調査したものです。その結果は以下のようになりました。

・週の労働時間が40時間までなら健康への影響はなし
・週の労働時間が41〜48時間になると、脳卒中のリスクが10%高まる
・さらに週の労働時間が55時間を超すと、脳卒中リスクが33%、心疾患リスクが13%高まる

 なんと、安全ラインは1日8時間の労働を週に5日まで。この基準を超えて少しでも超えた時点から、脳卒中のリスクが高くなっていくのです。もはや大半のサラリーマンには不可能なラインでしょう。わたしも、この数字を見たときは絶望的な気分になりました。

 続いて、もう1本の論文も見てみます。こちらは、ヨーロッパやアメリカにくわえて日本人のデータ約22万件もふくめたうえで、「労働時間と糖尿病」の関係を7年半にわたって追跡調査しています。その結果は以下のとおりです。

・週の労働時間が33〜40時間までなら健康への影響はなし
・週の労働時間が55時間を超すと糖尿病リスクが30%高まる

 こちらも、週に40時間の労働が基準になっています。どうやら、厚労省の過労死ラインよりもはるかに下の段階から、サラリーマンの寿命は短くなっていくようです。

 乱れた食事や運動不足など、働き過ぎで寿命が縮む理由にはいろいろありますが、なかでもダメージが大きいのはやはりストレスです。

◆「仕事の先延ばしストレス」が臓器を破壊する

 それも、近年の研究によれば、単純に仕事が多いことによるプレッシャーよりも、ダラダラと作業を後まわしにしてしまう「先延ばし」のストレスのほうがカラダに悪い可能性が大(3)。「先延ばし」が寿命を縮めるメカニズムは、以下のようなものです。

1.仕事をダラダラと先延ばしすると、あせった脳が「なにも進んでいないじゃないか!なんとかしろ!」とパニックを起こす

2,脳の司令を受けた内分泌系が、ストレスホルモンを大量に吐き出す

3.ストレスホルモンのせいで心拍数があがり、さらに気持ちがあせり始める。やたらと心臓がドキドキするので、人によっては不安やうつ症状が出てしまうことも

4,ストレスホルモンの暴走により免疫システムも狂いはじめ、心臓や肝臓を傷めつけ始める

 つまり、「先延ばし」のストレスによってホルモンの連鎖が生まれ、結果として大事な臓器がダメージを受けちゃうわけですね。仕事のプレッシャーで心臓がドキドキし始めたら、それはカラダが壊れ始めたサインかもしれません。

 この問題を解決するには、とにかく1ミリでもいいから仕事を前に進めることです。