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ちょっとの間だから…。東京都在住のクミコさんは、愛犬のパグと散歩することが日課です。買い物や銀行のATMなどちょっとした用事があるときは、散歩のついでに、店舗の前に犬をつないで済ませることも少なくありません。ただ、その「ちょっとの時間」に不安を感じています。

クミコさんのパグはひとなつっこい性格で、近寄ってくる人がいると、嬉しくて興奮してしまうことがあります。「人を噛むことはないようしつけていますが、万が一のことを考えると不安です。ただ、日本はペットを連れて入れる店は少ないので、急ぎのときはどうしても店の前につないでおいてしまいます」。

犬を店の外につないでおいて、他の人に噛み付いてケガをさせた場合、飼い主はどんな責任を負う可能性があるのでしょうか。鈴木智洋弁護士に聞きました。

 ●飼い主には、ペットをきちんと監視する責任がある

動物の飼い主は、その動物が他人の生命身体などに危害を加えないように努めなければならないとされています(動物愛護法7条1項)。

また、動物の飼い主はその動物の種類や性質に従って相当の注意をしていない限り、その動物が他人に負わせた損害を賠償する責任を負うとされています(民法718条)。

本件では、クミコさんは、パグ犬を通行人が多数いるであろう店の外に繋いでおいたままにし、きちんと監視等もしていないようです。他の人に噛みついてケガをさせた場合、相当の注意をしたとはいえず、飼い主は動物の占有者として被害者が被った損害を賠償する責任を負い、治療費などを支払う必要があると思われます。

 ●他人から犬に近づいた場合は?

そのことは、他人が自分から近づいてきて、犬を撫でようとして噛みつかれた場合も、通りかかった人に突然噛みついた場合も、基本的には変わりません。

ですから、「あなたが近づいて私の犬に触れようとしなければ、ケガをすることはなかったのだから、あなたの責任だ」と主張して責任を免れることは難しいと考えてください。

もっとも、他人が自分から近づいて、犬を撫でようとして噛みつかれた場合には、そもそも近づいて行かなければ噛みつかれることもなかったとも考えられますので、近づいて撫でようとした人にも事故発生の責任が認められます。

したがって、この場合には、過失相殺といって、損害額が減額される場合があります(民法722条2項)。

 ●刑事責任を問われることも

飼い主は、犬が他人に危害を及ぼすことを未然に防止する義務があるにも関わらず、これを怠ったとして、場合によっては重過失致傷罪(刑法211条1項後段)、過失致傷罪(刑法209条)などの刑事上の責任を負うこともあり得ますので注意が必要です。



【取材協力弁護士】
鈴木 智洋(すずき・ともひろ)弁護士
鈴木 智洋(すずき・ともひろ)弁護士
専門は労働法(使用者側限定)、行政法(行政側限定)、動物法・ペット法。動物法・ペット法に関しては、ペット法学会に所属する他、国立大学法人岐阜大学応用生物科学部獣医学課程の客員准教授も務めている
事務所名:事務所名:後藤・鈴木法律事務所
事務所URL:http://www.gs-legal.jp/index.html