神仏習合、滅びの美学、自然と一体……アンコール遺跡群に感じたこと

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世界最大の旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」による2015年世界ベストディスティネーションで1位に輝いた世界遺産「アンコールワット」。「教えて!goo」でも「アンコールワット」をはじめ、質問がたくさん寄せられている。シェムリアップ中心部に集まり、カンボジアが世界に誇るアンコール遺跡群を訪れた。

■いつまであるか分からない……

午前5時半頃、アンコールワットの日の出スポットとされる聖池に陣取る。既に大勢の観光客がカメラ、スマートフォンを手に待ち構えていた。土産用の絵画が売られていたりと夜明け前とは思えないにぎわいを見せている。

日が昇り始めた。尖塔のシルエットがくっきりと浮かび上がり、目の前の水面に逆さまのアンコールワットが映り始める。ベストショットを収めたことに安堵した。再訪まで遺跡がそのまま残っている保証はない。

アンコールワットを含む遺産群は紛争が長く続いたことで荒廃の一途をたどり、世界遺産となった1992年、緊急な救済措置が必要とする危機遺産のリストにも同時登録。2004年に危機遺産の対象外となったが、大気汚染と酸性雨の影響で現在も劣化が著しい。

戦闘場面や神話を描いた絵巻物のようにスケールの大きなレリーフや、女神像など見事な彫刻を随所で見ることができるが、雨ざらし部分の彫像は形を失って痕跡しかないところも。「いつまであるか分からない」「行くならできるだけ早く」。そんな言葉にあおられてか、訪れたい世界遺産ランキングの上位に常に顔を出す。

■劣化激しいバイヨンの四面塔

「アンコールトム」の中心寺院で、巨大な顔を彫った50以上の四面塔が建ち並ぶ「バイヨン」も傷みが激しい。成長の早い熱帯植物が根を張ったためか、石材がズレて穏やかな笑みをたたえた顔面が歪んでしまっている。酸性雨で溶け出したのか、凹凸がなく表情がのっぺりとした顔も。いずれ塔自体が崩れてしまうのではないかと心配になる。

修復した像も散見するが、意匠を簡略化したようにも見え、これはこれで興ざめしてしまう。修復保存に携わる関係者もさぞかし悩ましいだろう。

巨大なガジュマルに侵食されたままの状態で公開されているタプローム遺跡は、映画『トゥームレーダー』のロケ地としても知られ、アンコールワット、バイヨンに並ぶ人気を誇る。

樹木の繁殖力に負けて建造物が崩れてしまいそうだ。入り口につっかえ棒をかまして遺跡を守る一方、石材の重みに耐え切れない樹木を補強している個所も。歴史と自然を同列に扱う謙虚さを感じる。

カンボジアでは、仏像がヒンズー教の魔除けである蛇神ナーガに守られていたり、神仏習合が進んでいる。為政者がヒンズー教と仏教の双方を信奉している時代もあった。

仏教徒が大半を占めるカンボジアだが、少数派のイスラム教徒、キリスト教徒とも共存し、宗教テロとは無縁と聞く。このおおらかさこそが、スリやひったくりが多いわりに殺人、強盗といった重大犯罪が少ない理由かもしれない。

【カンボジアへのアクセス】
日本から直行する定期便はないものの、ベトナムのハノイ、ホーチミンで乗り換えれば7〜9時間でシェムリアップに到着できる。(取材協力:ベトナム航空)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)