前回のコラムでは、中国のサッカーが弱い理由について、日本人なりの分析を紹介した。では当の中国人たちは、どう考えているのだろう。写真は南京のサッカーチーム。

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前回のコラムでは、中国のサッカーが弱い理由について、日本人なりの分析を紹介した。では当の中国人たちは、どう考えているのだろう。

ロンドン五輪が開催された2012年に大連の大学で日本語を教え始めた私は、ある日の講義で、元日本代表監督の岡田武史氏が中国のプロリーグの監督に就任したことを紹介し、「中国のサッカーはなぜ弱いか」というレポートを100人の学生に書いてもらった。

学生の“解”は多種多様だったが、共通していた指摘は、私たち日本人には全く想像がつかないようなものだった。

「中国のサッカーが弱いのは、腐敗が原因だ」

当時はまだ習近平が国家主席として反腐敗活動に取り組む前で、国の腐敗も今ほどはクローズアップされていなかったこともあり、私は学生たちのレポートを見て、「これが中国人の思考回路か!」と衝撃を受けた。

レポートでは、腐敗の具体的な内容として以下のような例が挙げられていた。
・サッカーは賭博の道具であり、試合が操作されている。
・監督が上海出身なら、上海出身の選手が選ばれる。どんなに能力があっても朝鮮族はレギュラーになれない。(これを書いた学生は朝鮮族だった)
・金を払わないと試合に出られない。
・試合以前に、ユースのクラブに入れるのは金持ちだけだ
・中国は学歴社会であり、勉強ができない子供に、仕方なくスポーツをさせる親が多い。
・サッカー協会が腐敗しているので、何をやっても無理。

どこまで本当かは定かではないが、少なくとも中国の若者は、自国のスポーツには“スポーツマンシップ”や“フェアプレー精神”は存在しないと考えている。しかし同時に、中国ではサッカーは卓球やバスケと並ぶ人気競技であり、彼らは欧州の試合を大声上げながら観戦しては、「なぜ中国のサッカーは弱いのか」と不満を高めるのである。

もちろん日本のスポーツ界にも八百長も賭博もあり、時々大きなニュースになる。

しかし、日本人はスポーツの腐敗を目にしたとき、「けしからん」と拒絶反応を示すのに対し、中国人は「やっぱり」とどこか受け入れているように見える。

中国人にとって、腐敗というのは良くも悪くも、国の隅々まで浸透した文化なのだ。

■筆者プロフィール:浦上早苗
大卒後、地方新聞社に12年半勤務。国費留学生として中国・大連に留学し、少数民族中心の大学で日本語講師に。並行して、中国語、英語のメディア・ニュース翻訳に従事。日本人役としての映画出演やマナー講師の経験も持つ。