弁護士・柳原桑子先生が、堅実女子のお悩みに答える本連載。今回の相談者は、佐緒里さん(34歳・航空会社勤務)です。

「私には、4年前から交際していて、去年婚約した男性がいます。彼はイケメンで仕事もできて、とても優しい人なのですが、ちょっと女っぽいというか、かわいい人だったのです。その婚約者が去年から会社の命令で1年間のアメリカに留学することになりました。スカイプなどではよく話していたのですが、浮気もせず、ハードな勉強もこなし、頑張っていたようで私も応援していました。

先日、帰国したので成田に迎えに行ったら、見慣れた彼の姿はなく、代わりに目の前に現れたのは、彼によく似た女性でした。めちゃくちゃ背が高くてメイクが濃くて、違和感がたっぷりありましたが、なんと、その女性が彼だったのです。彼はアメリカで女性になってしまったのです。といっても、完全に女性として手術をしたのではなく、ホルモン投薬による女性化(胸はふくらんでいます)ということもあり、戸籍上は男性です。

実は、日本にいる頃から、彼には女性になりたいという願望があって、私も彼にメイクをして遊んでいました。私は男性っぽいところがあり、そういうところでも気持ちが通い合っていたんです。女性になったことを責めると、渡米中にお父様が亡くなったり、男性の恋人ができたりして、本格的に男性しか恋愛対象にならなくなった、と涙ながらに答えていました。また、アメリカではそういう趣味の人の集まりに参加して、心の底から楽になったそうです。

私は彼を愛していて、女性になってしまった彼と結婚したいと思います。しかし、親の反対もあるし、子供を授かる見込みもないのでどうしようか迷っています。その前に、肝心の彼にも今、男性の恋人もいて私とは友達に戻ったつもりになっています。でも、このままでは気がすみません。多少なりとも慰謝料をもらいたいのですが、この場合はどうすればいいのでしょうか。性同一障がいを盾にされてしまうと、私に勝ち目はないのでしょうか。

彼の身長は180cm。30歳を超えてから女性ホルモン剤を投入していることもあり、体格がいいメイクが濃いオバサンのように見えてしまいショックだったとか。

弁護士、柳原桑子先生の回答は……!?

婚約をした上で、単身アメリカ留学し、帰国後入籍をする予定ということだったのでしょうか?

「女性として生きたい、男性しか恋愛対象になれない、だから、あなたとは婚約を解消したい」というのが、彼の意向であるとすれば、そういう彼とやはり婚姻したいと考えるかどうか。

彼の意向が変わらないならば、彼とは別れるか、まずはあなたの意思の決断が重要です。

婚約までした以上、あなたの意思の決断のためにも、よく話し合いをするべきです。

彼があなたと婚約していながら、従前の願望を通り越して真剣に女性として生きていく決断をして、あなたと男性としての交際関係、婚姻生活はできないと考えたということ。いろいろ考え方はあるでしょうが、帰国後婚約を翻す対応をしてきた点で、慰謝料が発生する可能性もありうると思います。

法的な問題とせず、話し合いの内容として、あなたの気持ち、すなわちこのままただ別れるのでは気が済まないから、せめて金銭を支払って解決するということを提案する等はいかがでしょうか。



■賢人のまとめ
婚約までしたのであれば、慰謝料という可能性もあります。法律的に云々というよりは、話し合いと自分の気持ちを大切にしてはいかがでしょうか。

■プロフィール

法律の賢人 柳原桑子

第二東京弁護士会所属 柳原法律事務所代表。弁護士。

東京都生まれ、明治大学法学部卒業。「思い切って相談してよかった」とトラブルに悩む人の多くから信頼を得ている。離婚問題、相続問題などを手がける。『スッキリ解決 後悔しない 離婚手続がよくわかる本』(池田書店)など著書多数。

柳原法律事務所http://www.yanagihara-law.com/