逃げるリネールを寄り切れ!「技」で勝てない場合に備えて東京五輪柔道重量級代表に稀勢の里を推挙するの巻。
よーし、わかった稀勢の里だ!

何とも不満足な決着でした。大活躍がつづく日本柔道勢、今大会最後の戦い男子100キロ超級。北京大会の石井慧さんの金以来、世界選手権を含めても日本勢には「金」がない苦戦の階級。2011年から2013年まではメダルすらありませんでした。「そもそも、ちっちゃいからね…」という体格差への限界を感じることは、柔よく剛を制すの精神ごと引っくり返してしまいそうなものでした。

男子柔道を立て直す、特に重量級を立て直す。

そのために監督に就任した井上康生さんであり、そのためにコーチに指名された鈴木桂治さんだった。栄光と挫折を両方知る重量級最後の猛者たちがタッグを組んで、本腰を入れた。ここまでの6階級すべてでメダル獲得、しかも金2つというのはお家芸復活大成功の太鼓判を押してもいいもの。しかし、世間の太鼓判など関係なく、重量級でやらねば成功などない。そんな強い決意で臨んだ最後の戦い。

立ちはだかるはフランスのリネール。2010年の世界選手権無差別級で上川大樹に敗れて以降、連勝をつづける絶対王者です。現役時代の井上康生さんとも戦い、勝利し、今も王者に君臨しつづけるなど、100キロ超級=リネールと言える象徴的な存在。リネールに勝つことがこの階級の金であり、勝たなければ金はない。

ドデカイ内股や、鋭い踏み込みで浴びせ倒す大外刈り・大内刈り、背中を持っての隅返し。技の強さはもちろんであるうえで、その勝負に徹する姿勢もまた一流。相手の手をつかんで組まないという組手争い、投げるふりをしての防御、優勢になればバックステップして逃げに徹するなど、JUDO-KAらしいJUDO-KAでもある。

今大会、リネールに挑むのは原沢久喜。2014年、2015年の世界選手権でこの階級の銀メダルとなった七戸龍ではなく、急成長の新鋭を送り込んだ日本柔道。原沢さんは初戦を相手の罰則負けで抜けると、2回戦は大内刈り一本勝ち。準々決勝では組手を嫌がる相手に指導4枚が与えられての一本勝ち。さらに準決勝も有効のポイントをリードしつつ、最終的には相手に指導4枚が与えられての一本勝ち。決勝にいたるまでの4試合で10枚の指導を奪う、指導王のような存在感を見せつけ、リネール挑戦権を獲得します。

そして迎えた決勝。まずはリネール得意の横から相手の奥襟を取る形に。この形になると、まずは危険回避ということで原沢さんは腹ばいになって逃れますが、一発で指導が飛んできます。同じ形から指導をもらうこと2回。これによってリネールは十分な余裕を持って戦うことができるようになりました。万全の組手になるまで無理はしない、リネールが組手を嫌う場面が目立ちます。

もしここで原沢さんの技がもっと出ていれば、相手に指導も…という展開でしたが、それもまた難しい。一番惜しかったのは残り1分37秒で、背中を持ったリネールが、まわり込んだ原沢に逆に背中に張りつかれたところで、自ら手を放して腹ばいになった場面。先ほどの原沢さんは同じような格好で一発で指導が飛んできたのですが、ココがスルーされてしまいます。

残り33秒、守って逃げるリネールにもようやく指導が与えられますが、リネールは強引な隅返しで時間を消化し、試合時間は残り8秒に。こうなればもう、あとは逃げの一手。組み際の技を与えないようバックステップで距離を取り、試合をクローズ。柔術の国ブラジルのファンから大ブーイングを浴びながら、絶対王者が金メダルの持ち逃げに成功しました。

↓技の差に持ち込む以前に、指導の差で敗れた!


勝負の第1段階で終わってしまったな!

序盤簡単に指導2つを与えたのが痛かった!

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これはもうお互い様というか、あの形で指導が飛んでくるのは当たり前であり、序盤に簡単に同じことを2回やらせてしまった原沢さんの側のミスでした。効果がなくても袖でも握ったまま、「投げるっぽい姿勢」で逃げていれば、あれほど簡単に指導をもらうことはなかったでしょう。外国勢などは、無意味な投げを打ちつづけることで、逆に相手に「何もすることがないので結果的に消極的になってしまう」ことでの指導を与えるという戦略を実行するものもいます。防御のための投げ、という技術はある。その点で、原沢さんは少しピュアな戦いをしてしまった。

リネールが腹ばいになって逃げた場面で指導があれば…とは思いますが、それ以上に原沢さん側からの積極的な仕掛けがほしかった。絶対王者に勝って時代を変えようというのであれば、それはハッキリとした技のポイントが必要なのは当然のこと。技のポイントがないまま、指導の取り合いで勝つという柔道はしていないわけですし、それで勝っても日本柔道の勝利とは言えないでしょう。リネールの態度はイラッときますが、慌てさせるところまで追いつめられなかったのも事実。「さすが、強いな」と負けを認めるしかありません。

それでも五輪での銀メダル。男子は全階級でメダルを獲得し、いろいろと騒動のあった女子も金を含む5個のメダルを獲得しました。ほぼフルマークでのメダル獲得は、お家芸復活と胸を張っていいものでしょう。やはり日本選手団として、柔道の活躍は欠かせないもの。日程的にも初日から金が狙える種目があるというのは、期待感もわきますし、勝っても負けても盛り上がる。

東京五輪では今回以上の活躍で、日本をドーンと盛り上げてもらいたいもの。そのためには「技」の追求しかありません。金メダルに届く選手は、一本で勝つチカラがある。技のポイントで勝つチカラがある。そういう精神の柔道を愛し、一本を好む国で育つのですから、そういう戦いに持ち込まなければ、そもそも土俵が違う。指導差での負けは悔しいですが、技のポイントがあれば指導は関係ありません。技を決めればいい。

もし、技で倒すことを諦めて、とにかく指導でも何でもいいから勝とうというなら、稀勢の里をお貸し出しします。立ち合いドーンと当たりまして、ガッチリと左四つに組み止め、強烈な右のおっつけから最後はジワジワと圧力をかけて相手を場外に押し出します。ドーンと押し出せばコッチに指導がくるでしょうが、ジワジワやります。リネールと言えども、稀勢の里のジワジワを耐えることはできないでしょう。4回寄り切れば勝ちということであれば、まぁまぁイケるんじゃないかと思います。柔道で勝つことを諦めた場合は、ぜひご一報ください。めっちゃ勝負弱いですけど、チカラは十分にありますので…。

↓こんな感じで寄り切ればいいんですね!イケると思います!
<場外指導で無念の負けとなった柔道女子63キロ級準決勝動画>

http://www.gorin.jp/video/5077325785001.html

試合時間残り40秒でこの指導は厳しい!

しかし、これでいいんなら5秒×4で20秒もあれば稀勢の里の勝ちだ!

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リネール130キロ、稀勢の里180キロ、この程度の小兵なら問題ありません!