あんなところもポケストップに! 「ポケモンGO」の列島上陸日記

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Photo via Visualhunt.com

『ポケモンGO』は、日本でも歓喜と衝撃と動揺をもたらした。

今や全国主要都市の駅前は、ポケモントレーナーのテリトリーとなっている。名の知れたスポットは、軒並みポケストップになった。また、このゲームはユーザーが実際に歩くことを前提にしているから、「ポケモンGOのおかげでウォーキングが習慣になった」という人も相次いでいる。

だが、物事には何でも陽と陰がある。ポケストップやジムに指定されたことで、感情を害してしまうという出来事も起こっているようだ。

慰霊の場が指定される

広島の原爆慰霊碑のポケストップ指定は、ゲームの日本上陸以前から懸念されていた。そしてその懸念が現実になってしまった。

ポケモンGOは、地方部でもランドマークの多い地域はポケストップに恵まれやすい。ここで言う「ランドマーク」とは、主に史跡だ。だから戦国時代の城があった公園などは、ゲームをするに適している。

だが、同じ史跡でも「死者を偲ぶ場所」が存在する。海外ではアウシュビッツ強制収容所がそれだ。ここは慰霊と同時に、ファシズムがもたらした罪を確認する史跡。ゲームをするべきフィールドではない。

こうした倫理上の区別を、ポケモンGOはしていなかった。さらに一例を挙げれば、御巣鷹の尾根にある慰霊の園もポケストップになっている。

1985年に発生した、日航機123便墜落事故。520人もの命が犠牲になった、航空史上稀に見る大惨事だ。慰霊の園のポケストップ指定は遺族の感情を傷つけるだけではなく、「悲惨な事故を繰り返さない」という我が国の航空関係者の信念にも悪影響を与えてしまう可能性がある。

駅構内のポケモン

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Photo credit: Dakiny via Visual hunt / CC BY-NC-ND

それ以外にも、原子力発電所内や皇居、さらには刑務所までもがポケストップまたはジムになっているという報道もある。

また、鉄道駅構内でのポケモン出現も議論を呼んでいる。我が国日本の鉄道は世界的に見ても長い歴史を持つが、転落防止用ホームドアの設置に関しては他国の後塵を拝している。これはなぜかと言えば「日本の長い鉄道史」のせいなのだが、そのあたりは主題から外れるので割愛する。

車両や運行システムは最新なのに、ホームの構造は何十年も変わっていない。そんな場所でのゲームプレイは、確かに危険が伴う。

開発元のナイアンティック社は、そうした「ゲームに適さない場所」の報告を受け付けている。すなわちポケストップの削除申請だ。開発元は、決して無策のままで甘んじているわけではない。

自治体が新設要請

だからこそ、ユーザー側が配信者側に声を上げる必要性が出てくる。

それも「ここをポケストップ指定から外してくれ」というだけではなく、逆に「ここをポケストップかジムにしてくれ」と要望しなければならない。つまり、ゲームをより使い勝手良くするための意見投書だ。

現に自治体レベルで、そうしたことが行われている。岐阜県岐阜市の細江茂光市長は、記者会見でナイアンティック社に対しポケストップ新設を要請したと発表した。

もちろんこれは、自治体にとってより好ましい施設をゲームの場にするためのアクションだ。鳥取県が鳥取砂丘でのポケモンGOプレイを推奨しているように、「ゲームをするにふさわしい場所」を用意することも自治体の仕事である。

また、そうしたフィールドを発見し、提案するのは一般市民の役目ではないか。ポケモンGOはその機能不足が指摘されているが、要は「ユーザーとともに作り上げるゲーム」と見なすべきだろう。

このゲームの知られざる可能性は、まだまだ充分にある。