8月8日から11日にかけて行なわれた、リオデジャネイロ五輪での男子7人制ラグビー(セブンズ)。日本は予選プール初戦でニュージーランドに勝利(14−12)して勢いに乗り、2勝1敗で決勝トーナメントに駒を進めた。さらに準々決勝でもフランスを下し(12−7)、準決勝へと進出。そして最終日となった11日、日本は目標としてきたメダル獲得のかかる戦いに身を投じた。

 勝利すれば銀メダル以上が確定する準決勝の相手は、昨年度のワールドシリーズ(F1のように世界で戦うサーキット大会)王者で、「セブンズ王国」と称されるフィジー。個々の身体能力が高く、オフロードパス(※)を得意とする変幻自在なチームである。

※オフロードパス=タックルを受ける前に投げる通常のパスに対し、タックルを受けてから投げるパスのこと。

 日本は今大会で見せてきた粘りのディフェンスを武器に、「相手のトライを2〜3つに抑えて僅差で勝つ」というゲームプランで挑んだ。だが、フィジーにマイボールのキックオフをキープされ、そのままボールをつながれて開始早々に先制を許してしまう。

 日本は相手のシンビン(※)から後藤輝也がチャンスメイクし、最後はレメキ ロマノ ラヴァがトライを挙げて、5−5の同点に追いつく。しかし、すぐにふたたびトライを許してしまい、5−10で前半を折り返した。

※シンビン=危険なプレーなどにより、一時的に試合から退出させられる制度。

 後半開始早々、日本はフィジーのつなぐプレーを止められず、5−15まで点差が開く。さらにレメキがハイタックルでシンビンとなり、この日4つ目のトライを献上。結果、5−20でノーサイドを迎えた。

 試合後、桑水流(くわずる)裕策キャプテンは、「キックオフのボールが取れなかった。(相手の)オフロードパスはわかっていたが、対応できなかった」とコメント。瀬川智広ヘッドコーチ(HC)は、「日本のアタック時間が短かった。どこかで相手を止めたかったが、できなかった」と肩を落とした。

 だが、日本にはまだメダル獲得のチャンスが残されている。現地時間の18時30分から行なわれた3位決定戦で、昨年度のワールドシリーズ2位の「ブリッツボッカ」こと南アフリカと激突。スピードのある選手が揃うチームに、どれだけしっかりと組織としてディフェンスできるかがカギとなった。

 ヘッドコーチも、選手も、「必ずメダルを持って帰る」という決意で臨んだブロンズメダルマッチ。だが、予想は悪い方向に当たってしまった。

 大会6試合目だったため、疲れもあっただろう。日本のアタックやタックルの精度はやや落ち、相手のスピードランナーに走られ、開始3分で0−14とリードされてしまう。9分に相手の反則からトゥキリ ロテ、桑水流とつないで7−14としたが、前半最後のプレーでまたもトライを許し、7−21で前半を折り返す。

 後半、日本も意地を見せる。福岡堅樹が相手をかわしてチャンスメイクすると、合谷(ごうや)和弘が50mを走りきってトライして14−21。ふたたび、1トライ・1ゴール差まで追い上げた。しかし、その後は焦りも重なって攻撃が単調になると、接点でプレッシャーを受けてターンオーバーする悪い流れとなって5トライを献上。結果、14−54でノーサイドとなった。「やっぱり負けて悔しい。アタックでも、ディフェンスでも相手のスピードが上回り、それに対応できなかった」(瀬川HC)。

 日本は惜しくもメダルに届かず、初のオリンピックを4位で終えた。だが、日本ラグビー史上に残るニュージーランド戦の勝利、さらに、セブンズだけではなく15人制も含め、国際大会では初となる「ベスト4」という快挙も成し遂げた。

 7人制ラグビー初のオリンピックで日本が結果を残せたのは、「初戦のニュージーランド戦に勝利して波に乗りました。それが大きな分岐点となった」(瀬川HC)のは間違いないだろう。桑水流キャプテンも、「初戦で先制トライすることができて、そこからみんなの表情も変わりましたし、この大会でここまで来られる要因となった」と語っている。

 また、「体力的にも、フィジカル的にも、走り勝つことで補えた」(桑水流)、「ペースを遅くしたり、セットプレーを活用したりして、うまくいっていた部分もあった」(瀬川HC)と振り返るように、準備を徹底したうえで戦略的に戦うことができたことも、リオ五輪で成功を収めた要因と言える。

 ただ、初代オリンピック王者となったフィジーや、3位決定戦の南アフリカとの試合では、まだまだ差があることも実感した。個々のフィジカルやスピードは、引き続き強化していかなくてはならない。

 2020年の東京オリンピックでは、メダルの期待もより大きくなるだろう。瀬川HCは、「目先のトーナメントにこだわらず、15人制と7人制で区分けをしながら強化していかないといけない」と提言しつつ、「ラグビーの素晴らしさを多くのみなさんに知ってもらうことは、ラグビーに関わる人間としては誇らしい」と胸を張った。

 また、キャプテンとしてチームを率いた桑水流も、「ニュージーランド戦に勝利して、今までやったことが間違っていなかったと思いました。一戦一戦、チームとしての力、ひとりひとりのプレーの力強さが増した大会だった」と述べ、日本ラグビーの成長を振り返る。

 銅メダルこそ獲得できなかったが、準決勝進出は期待以上の成績だ。選手たちには、堂々と帰国してほしい。初の正式種目となった今大会は、ほとんど勝ったことのない強豪国に勝利し、日本のセブンズの進化を証明してみせたオリンピックとなった。

斉藤健仁●取材・文 text by Saito Kenji