リオ五輪サッカー日本代表のグループリーグ敗退が決定した。ロンドン五輪に続く2大会連続の決勝トーナメント進出を目指したが、あと一歩及ばなかった。

 MF矢島慎也は、スウェーデン戦で決勝ゴールを記録するなど今大会でも奮闘したが、世界で勝つことの難しさを改めて感じたという。

「世界の、このレベルになると、やはり簡単には勝たせてくれないな、と思いました。決勝トーナメントに進出するには、初戦が大事だという意識でいました。だから当然、勝ちにいきましたけど、自分たちのミスで失点して、自滅した感があった。そこで(勝ち点を)失って、改めて初戦の重みを感じさせられた。結局、あの敗戦で勢いに乗れなかったわけですから。

 第2戦のコロンビア戦では、ナイジェリア戦敗戦のショックからチームも立ち直って、いい試合ができたと思います。でも、勝てた試合を、現実には勝ち切れなかった。あれだけチャンスを作ったし、自分も『入った』と思ったシュートがあったけど、GKに止められたりして決め切れなかった。一方で、自分たちが主導権を握っていたにもかかわらず、コロンビアはワンチャンスをしっかりと決めてきた。

 そうしたことはトゥーロン国際大会でも経験しましたけど、経験しただけで終わってしまっているのが、日本が世界大会でうまく結果を出せないところなのかな、と思います。また逆に、まだまだそうした国際経験が少ないことが、(今回の結果に)影響したのかな、とも思っています」

 トゥーロン国際大会でも世界の強さを知った。それゆえ、ナイジェリアのフィジカルを生かしたプレーや、コロンビアの抜け目ないプレーも想定はしていた。だが、真剣勝負の国際舞台において、それらは想定以上のものだった。

「ナイジェリアは、自分たちが組織的な守備で、意図的にハメていってボールを奪おうとしても、フィジカルの強さで(守備ブロックを)はがしてくる。簡単にキープされていたし、そこからの展開でやられることも多かった。"球際"と言うとありきたりですけど、日本はその球際でどうやって体を入れていくのかとか、そういう部分をもっと考えていかないといけない。そういう面も含めて、大事な試合で結果を出す力がなかったと思います。

 あと、世界で上位にいくチームには隙がない。アジア最終予選でも自分たちは多くのピンチがあったけれども、相手のミスで助けられていた。でも世界では、ナイジェリアも、コロンビアもそうだけど、アジアでは外してくれるところを決めてくる。しかも(こちらが)ミスした隙は必ず突いてくる。その差をすごく感じました」

 決めるべきところを決め切れるかどうか。上に行くチームと日本とでは、確かにその差はあった。ナイジェリア戦でも、コロンビア戦でも、日本はかなりの決定機を得ながら、それを逃すことが多かった。

「五輪という大会を経験して改めて感じていることは、結果を求められている選手はしっかりと結果を出しているということ。チャンスに顔を出すのもうまい。そこで何回か外すことはあっても、大事なところではきちんと決めている。日本の選手と比べると、点を取る意識という点で大きな差があるのかもしれない。自分は2列目なのでつなぎの部分とかも考えないといけないんですけど、そうしたポジションの選手であっても、点を狙っていく貪欲さが外国人選手のほうが強いなって思いましたね」

 ナイジェリアにしろ、コロンビアにしろ、選手個々の質は、日本の選手とは確かに違った。しかし、すべての面において、ナイジェリアやコロンビアの選手が上回っていたわけではない。日本の選手のほうが優れている部分はあったし、日本というチームのよさもあったはずだ。

「もちろん、日本にもうまい選手はたくさんいる。チームとしても、テンポとかパススピードとか、テグさん(手倉森誠監督)に求められていたものが出せていたと思う。それに、アジア予選ではなかなか見せることができなかったパスをつないでの崩しを、この世界の舞台で出せたのはよかった。だからこそ、勝ちたかったけど......。日本は点を取るところまではいいけど、勝てない。やっぱり、いくらいい攻撃ができても、勝てないと意味がない」

 2014年、チーム立ち上げのときからメンバーに招集されていた矢島。その分、このチームへの愛着は強い。目標とする決勝トーナメント進出、メダル獲得には届かなかったが、この2年間で得られたものは多く、このチームにいたからこそ、成長した部分もあったのではないだろうか。

「19歳のときから年代別の代表に呼ばれるようになったけど、それまではずっと負け続けてきた。でも、五輪代表では最終予選でアジアの頂点に立った。自分がその一員だったということは、自分のサッカー人生の中でも一番の出来事だと思う。このチームは、すごくまとまりのあるチームで、もっと勝ち続けて上まで行きたかった。そういう意味では、本当に残念です。

 Jリーグではなかなかこういう経験はできない。ここで経験したことは忘れないようにしたい。五輪に出たということだけじゃなく、(五輪代表での経験を)自分の財産にして、これからさらに這い上がっていきたい」

 コロンビア戦で先発を果たし、ナイジェリア戦、スウェーデン戦でも途中からピッチに立って、3試合すべてに出場した矢島。世界を驚かすまでには至らなかったが、小さな爪あとぐらいは残せたのではないか。矢島も、そして他の選手も、この経験を無駄にすることなく、今後のさらなる飛躍につなげていくことを期待したい。

佐藤 俊●文 text by Sato Shun