準々決勝進出を決めたナダル、吠える!

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 各ポイントが決まるたび、ショットが思い通りの軌道を描くたび、ラファエル・ナダル(スペイン)は大きなガッツポーズで吠えた。まるでパリの観客に、己の優位性を見せ付けるかのように。

 雨中断で2日間にまたがった4回戦グロジャン戦(フランス)は、なんとも奇妙な試合だった。なにしろナダルの敵は、目の前の相手だけではなかったのだ。

 奇妙な状況の発端となったのは中断前の7日目、第2セットのファーストゲーム。ナダルが長いラリーの果てにブレークを決めたその時、グロジャンがラリー中にラインアウトがあった事を審判に告げた。しかしこの遅すぎた申告に、主審にはなにもなす術がない。レッドクレー上に残る証拠の「球跡」も、数度打ち合った後にはもう確認のしようがないからである。しかしこの判定に対してグロジャンは執拗に粘り、そして観客たちはフランス最後の望みを支援するために大ブーイングの合唱を始めた。

 さらにブーイングの飛び火は、ナダルにまで降りかかった。10分間の大荒れを断ち切ろうとサービスを打つ体制に入ったナダルに、観客の怒号が容赦なく浴びせかけられる。

「あんなふうに10分も待たされるなんて、本当に我慢できないことだった。観客に静まるように言えば言うほど、状況はひどくなっていったんだ。でもガスケ戦があまりにも話題になりすすぎたから、観客にとってはガスケ戦を葬り去るいいチャンスになったのかもしれないね。」

 あの時の状況を語るナダルは、珍しく苛立ちを隠せない様子だった。おそらくこの強いフラストレーションこそが、再開後の猛攻とガッツポーズ連発の原動力となったに違いない。

 大本命として乗り込んできたローランギャロスも、頂点獲りまであと3勝。「どうなるかなぁ…」と優勝についてははぐらかしたナダルだが、本心としてはそろそろ優勝カップが見えてきた頃ではないだろうか。