中国上海に、庶民の原寸大の姿を捉えようと街の中を歩き回っている日本人フォトグラファーがいる。

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中国上海の8月はとにかく暑い。太陽が放つ光で街の景色は白みを増し、人はつい素の部分をさらけ出してしまう。ストリートフォトグラファー、中田博之は上海で人々のそんな姿を追い求め続ける日本人だ。

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彼が撮影の場所に選んだのは観光地として知られる豫園界隈。国内外から多くの観光客が訪れる場所だが、その周辺には近未来的なビル群とは対照的な古い家屋が立ち並んでいる。ここに漂っているのは庶民の生活の臭い。中田は原寸大の彼らを捉えようと立ち止まってカメラを向ける。その作品からは被写体の体温や息遣いまで感じ取れそうだが、中国では「どうしてこんな表情を撮ったんだ」と手厳しい意見もあるという。

路上に立って1日2000枚以上撮る―。これが「トラブルがある日の方がいい写真が撮れる」と語る彼が自身に課したノルマだ。(編集/野谷)

●中田博之
神奈川県出身。企業の駐在員として中国に赴任し、1999年から上海に滞在。90年代の終わりごろから、仕事や生活の記録としてカメラを使うようになり、2008 年から本格的に撮影を始めた。森山大道から多くのことを学び、彼のフィールドである「新宿」を、我が街である「上海」に置き換え、「1日の撮影で2000 枚以上」のノルマを自分に課し上海を記録している。