廃墟ロマンたっぷり……ラピュタ城のモデル?「ベンメリア遺跡」へ

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カンボジア観光といえば、アンコールワットを真っ先に思い浮かべるが、周辺にも魅力あふれる遺跡群が点在している。「教えて!goo」にも「郊外のアンコール遺跡群について」という質問が寄せられていた。宮崎駿監督のアニメ映画『天空の城ラピュタ』に出てくるラピュタ城のモデルになったともいわれるベンメリア遺跡を訪ねた。

世界遺産のアンコールワット、アンコールトムなどシェムリアップの中心部にある遺跡群は、日の出から大勢の見物客であふれ返る。カンボジア観光の初日を静かにスタートしたかったので、北東へ車で1時間半ほど離れたベンメリア遺跡まで足を延ばすことにした。

「観光客がうるさいから。朝早くの方が絶対にいい」。現地ガイドが力説する。団体旅行客のやかましさが廃墟の散策にふさわしくないのは言うまでもない。早起きは苦手だが午前5時半のホテル出発に同意した。

紛争が長く続いたカンボジアの道路事情は悪い。バスが大きく揺れるたびに何度も起こされながら到着。眠い目をこすりながらバスを降りて参道を歩く。セミの鳴き声、鳥のさえずり、人っ子ひとりいない。魔除けの蛇神ナーガで装飾され、奥へと続く欄干の先に半壊した大型遺跡が見えてきた。

11世紀末〜12世紀初めに、スールヤヴァルマン2世のほか複数の王により建築されたヒンズー教寺院で、目的など謎が多い遺跡。朝の澄んだ空気もあいまって幻想的な雰囲気を醸している。

感慨に浸りたいところだが、遠くから陽気なクメール音楽が大音量で流れてきた。この音楽は何かとガイドに尋ねると「結婚式。カンボジアでは2日間飲んで騒いで踊る」。雰囲気ぶち壊しだが「仕方ないよ」とでも言いたげな表情を見せる。

場違いな音楽もご愛嬌と気を取り直して壁の中へ。1,000年以上の時を経て自然と一体化した石造の遺跡は、700年以上放置された空中都市のイメージにピタリと一致する。崩れて散乱した石材が巨神兵の顔に見えてくるから不思議だ。

巨大なカジュマルが壁や門に根を張り、寺院の中心となる祠堂(しどう)は形を失っている。宝があると思ったポルポト派の兵士が内側から掘り進んで崩壊させたそうだ。滅びの呪文を唱えたわけではないらしい。

現在は遊歩道などが整備されているが、内戦後しばらくは手付かずで自由に出入りできたという。バックパッカーたちが夜な夜な集まり、遺跡に腰掛けながら朝までドラッグパーティーを開くこともあったとか。その様子はさぞかし怪しく不気味だったことだろう。

ベンメリア遺跡を見学した後、近くにあるコーケー遺跡群を訪問。カジュマルの根が毛細血管のように張り付いた「プラサットプラン」をじっくり鑑賞し、高さ35mのピラミッド型寺院「プラサットトム」を登った。

傍若無人な団体客に会うこともなく、自然に取り込まれた廃墟ならではのロマンと哀愁をたっぷり味わうことができた。世界遺産に登録されていなくても素晴らしい遺跡がたくさん残るカンボジア。名だたるアンコール遺跡群もいいけれど、熱帯の人いきれに疲れたら早朝に郊外を訪れてほしい。

【カンボジアへのアクセス】
日本から直行する定期便はないものの、ベトナムのハノイ、ホーチミンで乗り換えれば7〜9時間でシェムリアップに到着できる。(取材協力:ベトナム航空)

教えて!goo スタッフ(Oshiete Staff)