ジョジョとゼニ


人と人とが本気でぶつかり合い、深い業をむき出しにしやすい永遠のテーマ……それはおカネ。長きに渡るシリーズの始まりである第一部で、ディオ・ブランドーがジョースター家を“侵略”したのも、動機はカネだった。


父ダリオが作ったコネを手がかりに、ちゃっかり貴族ジョースター家の養子に。一番の金持ちになれだと? ああ、なってやるとも! 父の「遺言」通りに財産乗っ取り、そのために跡取り息子ジョナサンの骨抜きを図ったが、どこをどう間違えたのか吸血鬼に。福本伸行マンガなら、血液を賭けた麻雀で富豪になれたかも!

その夢を叶えたのが、貧民街で強盗していたスピードワゴンだった。ジョナサンに襲いかかったものの返り討ち、「親を悲しませたくない」と手加減されたことで改心。ディオとの戦いをサポートしたあとはアメリカに渡り、石油を掘り当てて得た巨万の富で「SPW(スピードワゴン)財団」を設立。ジョナサンの孫ジョセフの成長から柱の男たちとの戦いを金銭面でも支えていた。

そして設立者の永眠後も、SPW財団はジョースター家を支援。ヘリや船の調達、花京院の目の治療など、世界の命運を賭けた戦いを手助け。年を取ったジョセフもニューヨークの不動産王になり、潜水艦をポンとお買い上げ。無茶な大道具を出すために、大金持ち設定は便利ですね荒木先生……としみじみ。

そんなカネに困らない伝統に革命を起こした男・小林玉美。罪悪感を覚えさせた相手に「錠前」をかけられるスタンドで荒稼ぎを企んだチンピラだ。路上に袋詰めのネコ(のおもちゃ)を仕掛けたり、狙った相手が高校生だったり、いちいちセコい。もっとも良心のない極悪人には効かないスタンドなので、DIOと戦えと言われても困るんでしょうけど。

しかし彼をきっかけに「悪人じゃないが私利私欲にスタンドを使うキャラ」がぞろぞろ出てきた。黄金の精神から俗っぽい隣のスタンド使いまで、ジョジョの人間ドラマの幅を広げたゲスさがグレートですよ!

第19話は、こんなお話


手に入れた500万円の当選宝くじを換金するため、ぶどうヶ丘銀行へやってきた仗助たち。しかし、そのくじが本当に自分たちで買ったものか、銀行員に怪しまれてしまう。あくまでシラを切る仗助だったが、宝くじの裏に別人の名前と電話番号が書いてあると気づかなかった。銀行員がその番号に電話をかけ始めたとき、仗助はある行動に出るのだった……。

敏腕銀行員と心理戦のガチバトル



高校生二人と中学生一人が拾った宝くじの分け前をめぐって揉めるお話。要約すると生臭い少年マンガ原作のアニメ、後編のスタート!

賞金500万円の当たりクジを換金しに、ぶどうヶ丘丘銀行にやってきた仗助たち3人。現実には口座振込か現金渡しかを選ぶことができ、共同購入の場合は代表者からメンバーに分配すると贈与税がかかったりするそうだが、「現金手形」じゃないと後半の争奪戦に繋がらないのでオッケー。

この銀行員のおじさんと仗助たちの、アツい心理戦の駆け引き。フツーの行員、一般人のガードマンが発するプレッシャーに震える3人のスタンド使いという図式が面白すぎる。

「この糞ガキどもが500万円当てただと?この敏腕銀行員の嗅覚が何かを感知してるわ」
自分で敏腕言っちゃったよ……。しかし、生半可なゾンビや吸血鬼より手強いことはたしか。背景のエフェクトも、完全に戦闘シーン!

どこの宝くじ売り場で買ったのか。S市内に行ったときかな……と切り抜けられると、すかさず宝くじの裏面に書いていた名前と電話番号を持ち出す銀行員。お名前は森下一郎……。

「裏にそんなことが書いてあったのか!」

正直すぎる重ちーを連れてきたのは誰だよ!

森下一郎さんに問い合わせて、宝くじをどこで買ったかピタリと覚えていれば今度は筆跡、場合によっては警察に届けるかも……。通報にビビるスタンド使いたち。「そもそも神様がこんなガキ共にあたりくじをお与えにあるはずがないのよお?」とオネエ言葉で罵ってる銀行員の内心もひどい。

そこで仗助はクレイジーダイヤモンドで筆跡を一部だけ書き換え、「森』を「木」にしてしまった。こう見ていると、すごい気の毒だな森下さん。

待ってなさいよおめーら……と本音が口に出ちゃった敏腕銀行員さん、スタンドパワーに敗北。仕方ないよね、スタンドが見えなきゃT・ダービーだってイカサマを見破れませんよ。

「やったー!オラの賞金だ!オラが当てた500万円だぞ!ししし」

なぜ重ちーに小切手を渡すのだ仗助……。半分こ(仗助と億泰はさらに半分の1/4)の約束を反故にされかけたが、さすがに7桁万円の額だけに引かず。

「ほい、これでいいだろあんた達は(2万円)」
「大したことしなかったんだから、友達としてのオラからの情けだ……」
「よこせスッタコが?!おめーは確かに半分って約束したんだから半分なんだよ!」

先輩をはした金(500万円と比べて)で見下す中坊、年下をカツアゲする高校生。ダメだこの子たち!

いきなり億泰が殴ったことを詫びた仗助は、トラブルはなしにしようと手形を3日後の換金まで預かることに。重ちーを小遣い稼ぎに利用しようと思ったことを反省……と言いながら、二人で250万円の嬉しさに、億泰とやったやったやった~と有頂天。第三部でもポルナレフと花京院がピシガシグッグッとやっていて、ジョジョの仲がいい描写はいつも「癒やし」だ。

それをハーヴェストで盗み聞きしていた重ちーは、やるもんかよ……と億泰の耳をこそげ取り、痛がったスキに500万円の手形を強奪。さり気なく耳を直してあげるクレイジーダイヤモンドが優しい。

ハーヴェストのような群体型スタンドは、敵に回せばやっかい極まりない。億泰のズボンの中に入り込んでかきむしり、2~3体を潰されたぐらいでは本体はダメージ無し。
重ちーじゃなく現金を追う仗助、ちゃっかり自分を先にいう億泰。どっちもひどい!

「逃すかよ500万ッ!」
「やつは完ぺき、この奥・仗助コンビを敵に回した…」

重ちーじゃなく現ナマを追う仗助、ちゃっかり自分の名前を先に言う億泰。お似合いの名コンビですね。

仗助・億泰コンビの頭脳プレイ



この太っちょが~と全速力で追いかけると、無様にコケる重ちー。しかし、背中の下にハーヴェストを敷き詰めて運ばせる!「戦車のキャタピラー」つーか「バケツリレー」つーかと例え話がうますぎる解説者・億泰さん。

高速移動するしげちー(街の人にどう見えてるんだろう)を追っかけるうち、品の良さそうなネコが……植物のように暮らして空気弾を出しそうな毛並みですね。

壁さえ登ってしまう重ちーに、仗助・億泰コンビは互いのスタンドを引っ張り上げてピルの屋上に。が、ハーヴェストは「集め取ってくる」のが得意、二人が足場にしていたパイプを支えるネジやボルトも……。しかし、仗助のクレイジーダイヤモンドも「直す」のが得意で、落下するパイプを「直し」てたちまち復活&ジョジョ立ち。

2~3発ぶん殴る程度で許す……つもりの重ちーが、なぜか分身!? 仗助と億泰が酔っ払っていたからだ。中高生の飲酒は禁止だが、ハーヴェストが盗んできた酒を血管から直接注射しただけなので問題なし。そういえばアルコールっつーのは薬学上、麻酔剤の仲間だって聞いたことがあるぞ!と仗助もムダ知識が豊かですね。

頭が悪いと舐めてかかっていたせいで、重ちーの「本能」に翻弄されっぱなし。億泰には眼球に直接パンチ!  仗助にはまぶたの皮を吹き飛ばす! 文字通り「痛い目」に遭う二人に、テレビの前の視聴者も痛い……。

ドツボにはまった中で、これで許してくれ!と有り金ぜんぶをチラつかせる億泰。仗助がやられたら誰が俺の目の傷を治すんだよ………。億泰が頭脳プレイをしてる!  レッド・ホット・チリ・ペッパー戦で成長したんだね。

「そうか億泰! 撒き餌でたぬきを誘い寄せてふんづかまえるみてーに野郎本体を」

億泰の意図を察するパートナー仗助、その例えヒドい!

そこまで重ちーも馬鹿じゃなかったが、億泰のザ・ハンドの射程に入ったことには気づいてなかった。空間をガオンと削り取って、500万円の手形を瞬間移動!

「この時点でおまえの勝ちはなくなった」

手形をビリビリ破く仗助。理解不能!理解不能!と騒ぐ重ちー本体と、一緒に慌てるハーヴェストが可愛すぎ。手形を直せるのはクレイジーダイヤモンドだけだから……。

「そして次の時点でおまえの負けが確定する」

細切れにした破片を風に吹き流す仗助。再び理解不能!理解不能!残らず拾ってこいハーヴェスト! その結果、重ちー本体は丸裸でノーガードだ。

「ここにいる二人の酔っぱらいから誰がお前自身を守るんだ?」

あ、理解「可」能。そこに億泰の見事なパンチがさく裂!

さあ、仗助先生のお勉強タイムだ。500万円をどうやって分けようか……。「今ここに3人関わってんの分かったろ!それなのに半分っておかしくねえか?」

先生、約束より取り分が多くなってますよ! そんな勉強のおかげで、「オラが間違ってた」ときれいな重ちーが誕生。恨みがないように平等に分けるど!  仗助たちも約束を破ってるんだけどね。

さて3日後の現金受け渡しの瞬間。スタンドの数を入れないと不平等だど!ハーヴェストの数を500ぐらいと考えると……とゴネ始めた重ちー。仗助もキレて「話が終わんねえじゃねぇかボケ!」と原作者と視聴者を代表した打ち切り発言! ひとり頭166万円以上で、「高校1年の分際でこんなに持ってるとはちょいと許せんが」とツッコミ入れる大川透さんのナレーションも最高なのです。
(多根清史)