「ヤッさん〜築地発!おいしい事件簿〜」(テレビ東京系)第3話が放送された。大勢いる警察官のうち、スギちゃんだけヘルメットを被っていなかったのは、視聴者がスギちゃんだとわからなくなってしまうからだと思う。


グルメ物は少しコントっぽくなると面白い。料理人の方には失礼になってしまうかもしれないが「食べ物のためにそこまでする!?」っていう所まで行くのが良い。今回は“もしも、料理人が立て籠もり事件を起こし、それを説得するのも料理人だったら”という話

なんだこのデミ!!


人形町にあるカキフライが売りの洋食店「東雲軒」の店主・中尾(宮川一朗太)が、系列店の「SHINONOME」に人質を取り立て籠もった。

中尾の兼ねてからの知り合いであるヤッさんとタカオ(柄本佑)は、籠城先の「SHINONOME」に潜入する事に。コック服を着込み、東雲軒の従業員だと警察を騙してレストランに入っていく様は何とも滑稽だ。大勢に見守られながら、真剣な顔をして歩くヤッさん。おどおどするタカオ。

人質にされていたのは悪徳外食グループ・シマショーの社員(東根作寿英)。立て籠もりをした理由は先代から譲り受けた大事な「東雲軒」の経営権を騙し取られてしまったから。中尾は同情を乞おうとするが、ヤッさんはお得意の決めゼリフで「ありきたりな身の上話はそれだけか!」と一括する。

ヤッさんの怒りは騙したシマショーよりも、ビジネスにかまけて「東雲軒」の味を守れなかった中尾に向いていた。置きっ放しになっている皿のソースを舐めると「なんだこのデミ!」。

デミグラスソースをちょっと舐めただけでしっかりと仕事をしていなかった事を見抜くヤッさん。それだけで全てがバレてしまったと悟る中尾。料理をわかっているもの同士の感じが良い。

スギちゃん登場は「これはコントですよ〜」というメッセージか?


そしてここからコント感に拍車がかかる。タカオは店の外に出ると、取り囲んでいる警察の一人(スギちゃん)に呼んで来て欲しい人がいると伝える。呼ばれて登場したのは、中尾のライバル洋食くにまつの店主・国松(俵木藤汰)だ。

「こいつは料理人じゃねぇ。ビジネスマンだからな」ヤッさんと一緒に中尾の料理人魂をくすぐる。本来緊迫するはずの立て籠もり中なのに、中尾はなぜか料理をすることに。そしてタカオはまた店の外へ。

次に呼ばれたのは、卸売業者の篠塚(林和義)。新鮮な魚介を運び込む為だ。テレビカメラも回る大規模の立て籠もり事件に人が出入りしまくる。全てはカキフライを揚げる為に。
真っ白いテーブルクロスが敷かれた大きなテーブルの真ん中には花が一輪。ヤッさん、タカオ、洋食くにまつの店主・国松、卸売業者の篠塚、人質の男、そして最後に入ってきた中尾の妻・正江の6人分のカキフライが綺麗に並べられた。もし、警察がこの瞬間に踏み込んできたら、この光景は犯人がマシンガンを持っているよりも狼狽するだろう。

「こんな美味いカキフライは食べたことがない」タカオも人質も意見は一緒だった。しかし、中尾のカキフライを食べた事がある4人の表情は浮かない。「あなたのカキフライはこんなもんじゃない」正江とヤッさんの言葉に、中尾は笑顔で投降を決意し、一人店を出ていく。

勧善懲悪はカキフライで


今回ヤッさんは仲間を改心させる事に成功したが、悪の根源シマショーグループには手を出さなかった。しかし、この事件の記者会見に人質にされていた男が乱入し、シマショーグループの悪事を暴く。あの人質にされた男は、中尾のカキフライで改心したのだ。美味いカキフライを悪い商売人に利用され、そのカキフライを作る職人の人生はブレてしまった。しかし、悪人を懲らしめたのもその職人が作るカキフライだった。

やってることはシリアスなのに動機が全てカキフライなのが良い。そしてカキフライが動機だからどうしてもシリアスになりきれない。だが、なぜか最後はしっかりと感動させる。今、こういう感じを出せるのはテレ東のこの枠だけだろう。他がやると、良くも悪くももう少しスタイリッシュになってしまう。

今回一番気になったのは、ミサキが異常な力強さでスマホをタップしたところ。普通のスマホの扱い方とは明らかに違う。これはきっと、スマホに慣れてない世代に対して分かりやすく演出しているのだろう。こういうところが一番感動したりする。
(沢野奈津夫)