専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第67回

 ゴルフをしていて何が一番嫌かって、いきなり逆光のコースが現れたときです。

 特に朝や夕方、日差しがモロ斜めに差し込んでいるときはたまりません。打ったボールがまったく見えないというか、まともに当たっているかさえわからないですから。さすがに空振りはしませんが、メンタルが弱い自分としては、ろくなショットにならないので困ったものです。

 それでも、プレー中に逆光のコースに遭遇するのは仕方がないと思って諦めますが、驚くのは朝の練習場が逆光というゴルフ場です。いったい、あれは何なんでしょう?

 練習場ですから、場所は固定されています。しかも、多くの方はラウンド前の朝方に練習します。なのに、逆光の練習場を作りますか? 建設途中にそれに気づけば、打席の角度を変えるとか、庇(ひさし)を設けるとか、なんぼでも改革案があるでしょうに......。

 これは、あえて逆光の練習場を作って、プレーヤーを鍛える"親心"と理解しておきますか。そんな練習場があるゴルフ場は、往々にしてコースも逆光な場合が多いですから。その注意喚起をしているのかもしれません。ほんと、余計なお世話ですけどね。

 さて、逆光コースが多数存在しているのですから、我々はその対処法を考えないといけません。

 とりわけ、ビジターでラウンドしている場合、逆光コースはいきなり現れます。常にスポーツ用のサングラスをかけている人なら苦にならないと思いますが、アマチュアレベルではそういう人はまだまだ少ないですからね。

 いい対処法としては、逆光コースが現れたら、まず帽子を深くかぶります。帽子のツバでなるったけ、太陽光を避けるのです。そして、コースのレイアウトを見て、どこが安全か、どこが広いかを確認し、とりあえず無難なポジションに狙いを定めます。

 そのうえで、打つときは同伴プレーヤーに、「逆光なので、ボール(の行方)を見ていてください」と頼みます。これはお互いさまなので、同伴プレーヤーも快く引き受けてくれるでしょう。もちろん代わりに、他のメンバーが打つときはそのボールの行方を追うこともお忘れなく。

 ボールの行き先を見てくれるとわかったら、思い切りショットするのがよろしいでしょう。

 逆光だと、打ったボールの行方は追えないわけです。そこは逆転の発想として、むしろヘッドアップをしないで済むんだ、と理解しましょう。

 普段、練習場で顔を上げずに打って、ボールの行き先を見ないようにするのもいいかもしれません。レッドソックスの上原浩治投手並みに、ボールの進行方向を見ないやり方で打ってみるのです。そういう練習をしておくと、逆光に対しては効果的です。

 テレビでプロのトーナメントを見ていると、逆光の中、果敢に打っている選手が結構たくさんいます。プロだから当然ですが、むしろ有名な試合でも「逆光コースがあるんだ」と、そっちに驚いてしまいますね。

 なんでそんな話をするのかというと、なんと有名設計家の井上誠一設計のコースには「逆光コースがない」と言われているからです。その話を聞いて、かつてメンバーだった同氏設計の鶴舞カントリー倶楽部(千葉県)では、「そういえば、逆光コースに会ったことがないなぁ」と。

 これは案外本当かも、と思っていろいろと調べてみたら、井上先生は札幌ゴルフ倶楽部設計(1958年開場)の頃から、逆光コースをナシにしているとか。太陽の向きを通年で調べ、クラブハウスを北側に配置し、コースは東南の温暖な傾斜地に置くのを理想としたとか。

 逆光になるのは朝日から夕日まであって、しかもコースはアウトとインがありますから、それをナシにするなんて、かなり難しいことだと思います。しかし、いかに逆光にならないようなレイアウトを組むか、井上先生はきちんと計算していたそうです。

 もちろん、例外はありますよ。「あそこは逆光じゃん!」とか突っ込んだらキリがないですから。

 井上誠一設計のコースでも、何十年も経てば、木を切ったり、伸ばしたりと景観が変わります。他、アウトとインを入れ替えたり、改造したりもあるので、全部が全部、逆光がないというわけではありません。そこは悪しからず。

 何はともあれ、井上先生の設計理念は素晴らしいじゃないですか。

 ただ問題なのは、井上誠一設計のコースに行くと、逆光のないことの素晴らしさに気づかないんです。逆行がなくて、当たり前と思ってしまいますから。それには一度、逆光の激しいコースに行ってから、井上誠一設計のコースに行くのがよろしいかと思います。そうすれば、そのありがたさがしみじみわかるかもしれません。

 まあ、そんなわけで、我々アマチュアゴルファーが肝に銘じておくべきは、逆光コースが突然現れても慌てないこと。そして逆光コースこそ、ヘッドアップしないで打てる、理想のスイングができる場所だと、逆転の発想で臨みましょう。

 逆光でプレーするのが不安な方は、とにかく優秀なキャディーさんをつけましょう。同伴メンバーにボールの行方を見てくれと頼んでも、「どうだった?」と聞くや、「逆光でボールがよく見えなかった」って言いますからね。

「逆光だから、ボールを見ておけって言っただろっ!」
「だからぁ〜、逆光だからボールが見えないんだ!」

 などとベタベタな関西漫才みたいな、不毛な会話を続けるのだけは、勘弁願いたいものですしね。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

木村和久●文 text by Kimura Kazuhisa