運をねじ伏せるチカラの銅!卓球男子個人銅・水谷隼さんの「俺が」「俺のチカラで」「俺のために」勝つ強い意志の巻。
運・不運は思っているよりずっと遠くにある!

やった、やってくれた。かつて卓球部で白球を追った卓球界の一員として、心から喜びたい。日本卓球界の悲願、個人でのメダル獲得。やってくれたのは日本卓球界の絶対的エース・水谷隼。4年前のロンドンでの悔しさをバネに、本気を出した日本最高の選手が、個人種目では初となる銅メダル獲得です!

個人で卓球のメダルを獲るのは本当に難しいもの。何せ、そもそも論として中国が強い。卓球=人生という、日本では電気グルーヴ界隈でしか連想されない2つを、国全体でつなげている。生み出される才能、それを拾い上げて育成する国家。正直なところ、中国とそれ以外では横綱と平幕くらいの差がある。しかも、横綱ではない大関とか関脇がちょいちょいほかの国から出てくる。世界にバラまかれた中国卓球の芽が、世界中で育ってくる。陸上や競泳のような記録勝負で頂点に立つのに近い、本当の意味での世界の1・2・3位に入らないとメダルには届かない、激しい競争があります。

迎えた3位決定戦、瞬間的に「運」に見えたプレーがありました。ゲームカウント2-1でリードして迎えた第4ゲーム。一旦は大きくリードするも追いつかれ、さらに逆転され、終盤まで激しい競り合いがつづく展開。デュースとなり、2度ゲームポイントを握られ、再度逆転してゲームポイントを握った13-12の場面。粘りを見せる相手に押し込まれたラリーの攻防では、台から大きく下がってロビングで返球するばかり。どこかでカウンターの攻撃を仕掛けたいけれど、今はただ凌ぐしかないというラリーでした。

しかし、ここで大きなプレーが。何と返球したボールが、台の端に当たるエッジボールとなり、対戦相手のサムソノフはこれに反応できず。苦しい展開の中から、ゲームポイントを水谷さんが奪取したのです。これで王手。よーし、運がある。神様が勝てと言っている。そう思った。思ってしまった。どこかで「運」を喜んでしまうような気持ちになってしまった。

ただ、勝者はその先に立っていました。僕らが思うよりも、ずっと深いところまで自力で進み、最後の最後の最後の最後までそれにすがらない。獲れば銅メダルとなる第5ゲーム。まだゲームの流れが揺蕩っていた中盤戦でそれは起きます。サムソノフの放ったボールが、水谷さんの手元で台のエッジに当たり、角度を急激に変えながら跳ねたのです。

さっき、「運」だと思ったエッジボール。幸運で片づけたエッジボール。しかし、それを水谷さんは驚くような反応ですくい上げ、相手側に叩きつけた。「これに反応するのか!!」。思わず上がる声、驚き。これが世界の頂点に挑むチカラかと改めて唸ります。そう思えば、もしかしたらさっきのエッジボールも幸運のエッジボールなどではなく、チカラのエッジボールだったのかもしれない。打開点の見えない防戦のラリーの中で、「エッジにカス当たりすれば…」と考え、コントロールしたものだったかもしれない。

卓球ではエッジボール自体が推奨されないモノで、エッジに当たれば軽く謝るような文化ですから、もちろん狙ったりすることはないでしょう。ないでしょうが、そんな偶然や運・不運をそれで終わらせるのではなく、ねじ伏せていってこそ勝利はある。エッジボールを拾ったあとの水谷さんの攻撃、最後は諦めるようにチカラないブロックでアウトになった相手の表情に、心が折れる小さな音が聞こえました。いや、それも「心を折る音」だったか。

↓粘る相手をねじ伏せた!水谷隼、日本卓球界の歴史を変えるチカラの勝利!



吠えた!跳ねた!強かった!

歴史を作る大きな勝利!

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水谷さんと言えば、卓球界隈で有名なエピソードがあります。ラケットのラバーに塗り込むことで、ボールの回転などを増す「補助剤」と呼ばれるものの不正使用について、現役選手の立場でありながら告発し、厳しく糾弾したというものです。規程では禁止にあたる用具の「後加工」は、半ば公然の秘密であり、隠す気すらない選手もいるほどだとか。

いまだ検査方法の確立など解決策の見えない問題であり、ほかのスポーツでもよくある滑り止めのスプレー噴霧的なものだと考えれば「別にみんなで使えばいいんじゃない?」という話でもあり、その問題自体についてはここでは問いません。ただ、そうした告発に踏み切る心意気というか、「自分のチカラで勝つ」という強い意志のようなものが、水谷さんにはある。勝てばいいのではなく、自分のチカラで勝つんだという意志が。

「負けた言い訳」「用具のせいにするな」「使えば?」などの声もあったでしょう。しかし、それらをすべて乗り越えて、世界の3位になった。いろいろなものを自分のチカラでねじ伏せて、掛け値なしの世界の3位になった。そう思ったとき、「運」に見えたプレーすらも、チカラの結晶なのだろうなと思えてくるのです。掴み取った銅、チカラの銅。歴史を作るにふさわしい、価値ある銅でした!

↓死ななくて済んでよかった!こんなんで死なれてたらコッチも「ええっ…」てドン引きだから!
<試合後インタビュー動画>

http://www.gorin.jp/video/5080420300001.html

水谷:「僕が卓球始めたときからの夢だったので」
水谷:「叶えられて嬉しいです」
水谷:「(第4ゲームは)途中リードしてたんですけど」
水谷:「相手もオリンピックで」
水谷:「絶対諦めないぞっていう気持ちが伝わってきて」
水谷:「ただ、僕も絶対に諦めなかったので」
水谷:「最後、エッジでボールが入ってくれてよかったです」
水谷:「今日負けたら一生後悔すると思うし」
水谷:「本当に死にたくなると思うので」
水谷:「絶対負けたくないという気持ちで頑張りました」
水谷:「今までたくさんの方が五輪に出場してきて」
水谷:「まだ誰も個人でのメダルを獲得してなかったので」
水谷:「その人たちのぶんまで一生懸命頑張りました」
水谷:「今日、たくさんの人に支えられて自分の夢が叶ったので」
水谷:「団体戦でメダルを獲って」
水谷:「みなさんの夢を叶えたいです」

オイ!インタビュアー的には「昨日は女子で福原選手が負けていたので」とか「そのぶんまで僕がという気持ちで」とか言ってほしかったのに、その辺スルーしたな!

そして、これは自分の夢で、団体戦がみなさんの夢と言い切る謎設定!

「このメダルはあくまでも俺による俺のです」という清々しさ、それもまたよし!

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3位決定戦での負けがつづいた悔しさを払う、爽快な勝利をありがとう!