お腹まわりより頭の心配も

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肥満が健康によくないことは多くの研究から明らかになっているが、新たに脳の老化まで進めることが、英ケンブリッジ大学の研究でわかった。

40歳の時点で肥満の人はやせている人に比べ、脳の老化が10年進んでいるという。米加齢医学専門誌「Neurobiology of Aging」の2016年8月4日号に発表された。

脳の情報を伝達する部分が一気に縮小する

研究グループは20歳から87歳までの男女約500人の協力を得て、脳の画像など多くの健康データを分析した。そして、肥満の人と標準体重以下の人のグループに分けて比較した。その結果、肥満の人の脳では大脳白質と呼ばれる部位が、やせている人に比べ、著しく小さくなっていることがわかった。

大脳の表面には灰白質と白質と呼ばれる部位がある。灰白質には神経細胞が密集しており情報を処理する。一方、白質は灰白質の裏側にあり、神経細胞はないが、それらの連絡通路になっており情報伝達の役目を果たしている。

研究グループによると、肥満の人とやせている人との間で、中年になるまでは白質密度の差は現れないが、中年を過ぎると急に肥満の人の白質の減量が目立つようになる。40歳の時点で肥満の人の脳は、やせている人に比べ、老化が10年進んでいると考えられる。そして、この10年の差は生涯残り続ける。

「健康に重大な影響を与える発見」

なぜ、肥満になると、脳の老化が進むのか。研究チームのリサ・ローナン博士らは、AFP通信の取材に対し、こう語っている。

「脳の大きさは、加齢とともに小さくなりますが、肥満の人々は白質の減少量が大きい。肥満が原因で脳の変化が起こるのか、それとも白質の減少が肥満を引き起こしているのか、まだわかりません。健康に重大な影響を与える発見なので、体重や食事、運動なども含めて肥満と脳の老化のメカニズムの解明に努めます」

ちなみに、今回の研究では認知能力や知能指数(IQ)のテストも行なわれたが、肥満の人とやせている人との間で差はなかった。