ふれあい重視の「マザアスホームだんらん流山」

写真拡大

「最高の老人ホーム」を決める大会が今年も始まった。老人ホーム業界を取りまとめる「高齢者住宅経営者連絡協議会(高経協)」が主催する『リビング・オブ・ザ・イヤー2016』は、その年の優れた高齢者住宅を決めるコンテストだ。主に認知症の入居者を受け入れる「グループホーム」の「マザアスホームだんらん流山」(千葉・流山市)も〈入居者の活動と参加〉部門で1次選考を通過した施設のひとつだ。いわば、若者に人気の「テラスハウス」型ともいえよう。

 延べ床面積257平方メートルの2階建て施設に、最大入居者数が9人という贅沢な住環境。壁には入居者参加の遠足や、町内会での楽しげな様子を収めた写真が所狭しと貼り出されていた。

 入居者と家族から支持される理由は、施設内におけるコミュニケーションの充実だという。施設長の星野悦次氏が語る。

「認知症の方は、自分の置かれている状況を理解できない事態が起こるとパニックになります。次に何をするのかわかるように説明して、納得してもらってから行動することが重要。そのためには職員と入居者という関係にとどまらず、入居者同士も家族のような濃密な関係性を築く必要があると思っています。普段から施設全体を通してコミュニケーションを深める努力をしています」

 居室は個室だが、入居者は日中、リビングに集まっていることが多い。会話をしながらおやつを食べたりテレビを観たり、時に歌を歌ったりと、大家族が日常生活を送っているような感覚だという。

「入居者の方々には本当の我が家だと思ってもらいたい。そのために意識していることは色々ありますが、わかりやすいところで言えば、“部屋の匂い”に配慮しています。

 介護施設特有の医薬品や消毒液の匂いがしないよう、一般家庭のような“生活臭”を大切にしています。施設全体に調理中の匂いが行き渡るような設計にしているので、時間が分からなくても、匂いで食事だとわかるんです。月に一度は入居者の家族を招いて一緒に料理を作ってもらうのですが、“実家へ里帰りに来たみたい”との感想をいただきます」(同前)

 1年半前に親族がこの施設で看取られたという女性が話す。

「叔母はこの施設がとても気に入っていて、最期も“みんながいるリビングから離れたくない”と居室に戻ることを拒否し、ついにリビング脇の和室で息を引き取りました。親族の付き添い宿泊も快く受け入れてくれたので、最期まで一緒にいることができました。

 今でも入居されている方が私の家族のように思えるので、週に1度は遊びに来てお手伝いさせてもらっています」

 小規模のグループ施設ならではの温かさだ。

※週刊ポスト2016年8月19・26日号