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こんにちは。鍼灸師の片山愛子です。熱戦が続くリオデジャネイロ夏季五輪。深夜から早朝にかけてのテレビ観戦は生活のリズムを崩しがち。疲れや不眠が慢性化する前に、「夏の疲れ&不眠に悩んでいるときにお勧めのツボ」を刺激してセルフケアしてくださいね。

さて、競泳のマイケル・フェルプス選手(31)が21個目の金メダルを獲得し、五輪金メダルの最多記録を自ら塗り替えたことは記憶に新しいでしょう。その見事な泳ぎもさることながら、上半身に付いた「丸い跡」が気になった方も多いのではないでしょうか。

これは、「カッピング」という世界各地で古くからおこなわれていた伝統療法によるものの跡です。カッピングという呼び方以外に「吸角(きゅうかく)」「抜缶(ばっかん)」「火缶(ひかん)」「吸い玉(すいだま)」などさまざまあり、使用方法も多岐にわたります。ここでは名称をカッピングとして紹介いたします。

○カッピングとは

東洋医学の経絡(けいらく)の流れに沿った場所やツボ、痛みのある箇所の皮膚に竹・陶器、ガラスなどの容器を吸着させ、火や機械を使って真空に近い状態にし、陰圧を利用して吸引することにより刺激を与えるものです。古代においては動物の角を用いて行われていたと言われています。

フェルプス選手の上半身にあったような丸い跡は、容器が吸着した場所にできることがあるもので、血の滞りがあるほど濃い跡が出ると考えられています。東洋医学では、その色や濃さ、吸着していた場所から内蔵の状態を把握し、病気の診断をすることが可能とされています。

跡の色も濃さにも個人差がありますが、跡は徐々に薄くなり3日〜10日ほどで消えます。回を重ねるごとに、施術直後の跡の色が薄くなることもあります。

○効果

吸引と吸引後の刺激により毛細血管が拡張し、結果として血行を促進することから「血の滞り(血行不良)」「筋肉・関節周辺組織の疲労「老廃物の滞り」を改善してデトックス効果が得られます。

また、背中の皮膚近くには交感神経が走行しているため、皮膚から刺激することで「自律神経失調」「免疫低下」「ストレス」「代謝低下」に効果があるとされています。こりを「押す」のではなく「吸う」という刺激が、「マッサージ・リラクゼーション」効果をより高めてくれるのです。

カッピングを行っている鍼灸治療院では、多くが東洋医学的な診断の後、経絡の流れやツボ、筋肉、リンパの流れにある場所などに鍼灸と合わせて治療をしています。鍼の刺激が苦手な方への施術として、カッピングを利用している治療院もあります。

○副作用は?

カッピングに慣れていない方には、施術直後に重だるさなどの症状が出る場合があります。しかし、これは人の体がもつ自然治癒能力により回復しますので心配ありません。吸引した場所は、血行促進効果から若干のかゆみが出ることもありますが、通常は「容器が吸着した箇所に跡が付く」ということ以外に大きなマイナス作用がみられることはないようです。

○どんな人にお勧め?

今回、注目を集めているフェルプス選手だけでなく、以前にはハンマー投げの室伏広治選手が疲労回復法として行っていたことが知られています。このように、カッピングは体や精神を極限まで追い込んで酷使するアスリート、格闘家、スポーツ愛好家の方々に人気があるようです。そしてもちろん、日常的に心身をケアしていただきたい現代社会人の方々にもぜひお勧めします。

○セルフケア

最近ではプラスチックやシリコン製の吸引器具が普及しており、インターネットの通販サイトなどで自宅でもカッピング療法が手軽にできる商品が販売されています。すでにお持ちの方も、また今回の件でご興味が沸いた方もいらっしゃるかと思います。

もし、ご自身でカッピングをする場合は、筋肉の気になるこっている部分だけでなく、これまで「連載 ツボで 速効! 虎の巻」でご紹介した症状のツボに使用することができます。

ただし、目や耳、頸動脈や喉といったデリケートな場所は避けてください。また、吸引する力が強すぎたり、時間が長すぎたりしても効果が上がるわけではありません。皮膚にダメージを与えてしまうこともありますので、心地よいと感じる程度の強さで、吸引時間は10分以内とし、主にリラクゼーションを目的として使用することをお勧めします。

連日で使用するのではなく、2週間程度の期間を置いてから次のカッピングをすると効果的です。なお、「抗凝固剤を服用」「出血傾向の疾患」「妊娠中」「極度に体力が落ちている」「虚弱体質」「貧血」「発熱」などの症状がある方は、使用をお控えください。

※写真と本文は関係ありません

○記事監修: 片山愛子(かたやま あいこ)

鍼灸師。人間総合科学大学鍼灸医療専門学校東洋医療鍼灸学科(旧早稲田医療)卒業。同校臨床実習施設にて卒後研修修了。医学博士町田雅秀先生に師事。メディコ八千代院長。あおぞら鍼灸治療室勤務。メディコ新宿勤務。在学中より現在まで東京医科大学にて年数回の解剖実習、中国での中医学研修、薬膳研修修了。予防医学・介護予防運動・美容健康などについて研修。疾病治療と予防医学を東西医学の両面からアプローチした治療を実践。

(片山愛子)