「Delahaye 135 C」は約80年前、1937年式の非常にレアな1台

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クラシックカー・ラリーレース「RALLY YOKOHAMA 2016」出展車をレポート!創業時はトラックメーカー、そこから高級車、レーシングカー開発へと移行するという、異色の経歴を持ったフランスのレアなメーカー“ドライエ”。その代表車ともいえる「Delahaye 135 C」がRALLY YOKOHAMA 2016に参戦!めったにお目にかかることのない激レアクラシックカーを前に、会場のボルテージも上がりっぱなしだ!

【写真を見る】曲線を多用したデザインがエロティック!クラシックカーなのに近未来的な「Delahaye 135 C」

■ 幻の“フランス代表車”を発見!

おお、こいつはスゴい。ちょっとあの車を見てごらん。

――これまた、見たことのない形のクルマですね。えーとなになに、デ、デラ…デラホーヤ?

ボクサーでしょ、それ。“Delahaye”と書いて“ドライエ”と読むんだ。これは1894年創業のフランスの自動車メーカーで、第2次世界大戦の時期には高級車、レーシングカーを製造していた、知る人ぞ知るメーカーなんだ。

――なるほど、フランスのメーカーだから、英語読みじゃ読めないんですね。正直、初めて聞くメーカー名です。

まあ、知らないのも無理はないよ。というのも、このメーカーの全盛期は第2次世界大戦が勃発する直前の1930年代。戦後間もなく経営不振に陥り、フランスメーカーに吸収されて、現在は残っていないんだ。

――へぇ〜。ということは、この「Delahaye 135 C」が造られたのは、その全盛期のころになるんですか?

その通り。『RALLY YOKOHAMA 2016』には、第二次世界大戦前に造られた激レアカーが計11台も参加しているけど、このクルマもその一つ。1937年式になるんだ。

――というと、約80年前のクルマですか!でも、もう存在しないメーカーということは、あまり人気がなかったんでしょうか。

いや、そんなことはないよ。そもそも“ドライエ”はトラックを造るメーカーだったんだけど、後に高級車メーカーに転身するという異色の経歴を持っているんだ。しかも、レーシングカーの開発、いわゆるグランプリ路線にも乗り出していて、フランス勢代表としてドイツ勢としのぎを削っていたんだよ。

――そのころのドイツ勢というと……?

アウディにベンツ。どっちもパトロンはドイツ政府だったから、強かったんだ。そんな中でもドライエは、性能的にはトップクラスとまではいえなかったけど、ル・マン24時間耐久レースで優勝も成し遂げているし、多くのレースで活躍したんだ。当然ながらファンも多かったし、特に貴族階級やお金持ちに絶大な人気を誇ったんだ。

――なるほど。実力も人気もあったのに、今は無きメーカーとは残念ですね。

人気の秘密は、車体の高級感やデザインもさることながら、頑丈で信頼度の高いトラック用エンジンを積んでいたこと。とにかくハイパワーで故障も少なかったってのが人気の理由かな。『135 C』に積まれているエンジンも、トラック用エンジンを流用した直列6気筒、3.2Lエンジンだよ。

――見た目は高級車、中身はトラックだったんですね。この『135 C』も、タイヤ上部をカバーしているフェンダーの丸みもかわいいし、高級感も感じるデザインです。

デザイナーが航空力学の専門家だった関係で、航空機のようなフォルムになったといわれているよ。この『135 C』はグランプリマシンだからそこまででもないけど、市販された高級モデルは手塚治虫先生のマンガに出てくるような、近未来的といってもいいほど曲線を多用したデザインになっているんだ。

――そんな歴史を持つクラシックカー、ぜひオーナーさんにもお話を聞いてみましょう!

■ 運転の難しさも醍醐味の一つ!

――すみません、お話を聞かせてください!

はい、いいですよ。(オーナーのSUZUKIさん)

――1937年式の非常にレアな1台ですね。お気に入りのポイントは?

約80年前のクルマになります。気に入っているところは、もう全部!カラー、デザイン、中のエンジンに至るまで……でも、強いて言うなら、車体の形かな。他にはない独特なデザインでしょ?

――確かに、今のクルマでは見られませんよね!実際に運転してみた感じはいかがですか?

正直、扱いが難しいクルマっていうのが第一印象ですね。とにかくハンドルが重たい重たい(笑)。それにMT車のシフトチェンジをスムーズに行うシンクロ機構なんてない時代のクルマですから、シフトをつなぐだけでも難しかったですね。

――なるほど、今のクルマとは感覚がまったく違うんですね。

でも、そういうクルマだからこそ、運転するのが楽しいんですよ(笑)。

――そんなご自慢の1台ですが、クラシックカーイベントにはよく参加されるんでしょうか。

年に3〜4回ほど参加しています。この“RALLY YOKOHAMA 2016”は今年で4回目の開催ですけど、実は第1回から全て参加しています。

――おお、ではこのイベントへの参加はもう毎年恒例ということですね。

そうですね。ここで知り合ったクラシックカーのオーナーさんも多いですし、皆さん顔なじみという感じです。ちなみに、第1回では優勝しているんですよ。

――扱いの難しいクルマにもかかわらず、それはすごい!ドライビングテクニックもお持ちなんですね。「RALLY YOKOHAMA 2016」はレースイベントでもありますから、競技結果も大事です。ところで、レース中はみなさんどんな様子なんでしょうか。レースといいつつドライブ感覚の、のんびりした感じなのかな、と思ったんですけど?

まさにその通りですよ。半分ドライブで、競技のポイントでは集中して。スピード重視のタイムレースではありませんし、ゲームとしてはそのくらいの方が楽しめると思います。

――なるほど。しかし、かなり年式の古いクルマですから、維持も大変なのでは?

そうなんです、部品が全然ないんですよ(笑)。なにせ80年前のクルマですから。

――でも壊れたパーツは、なんとかしなきゃいけないワケですねよね?やっぱり探しまくって海外から取り寄せたりしているんでしょうか?

取り寄せるよりも、もうイチから作っちゃうしかないですね。部品すら手に入らないんです。なにせ、メーカー自体が大昔に無くなっていて、残っていないですから。

――イチから作っちゃうんですか!?その情熱、スゴすぎですね。実は、お恥ずかしながら、私“ドライエ”というメーカー、今日まで知りませんでした……。

ははは。でも、皆さん同じだと思いますよ。有名なメーカーではないですから。

――ちなみに、優勝した第1回もこのクルマで参加されたんですか?

いえ、その時はアルファロメオです。これも戦前に造られたクラシックカーですね。他にブガッティも持っていますが、去年と今年はこの“ドライエ”で参加しています。

――3台も所有しているんですか!?根っからのクラシックカーマニアなんですね。それでは、2回目の優勝を目指して頑張ってください!

■ 実は幻の“セレブ向け高級メーカー”だった!

――オーナーさんの話にもありましたけど、やっぱり“メーカーが無くなっている”のがメンテナンス面でもネックになっているようですね。

クラシックカーには全般的にいえるんだけど、パーツの問題はみんな苦労しているみたいだね。でも他のメーカーは残っているところが多いから、そういう意味でいえばドライエのオーナーさんは特に大変だと思うよ。

――さっきの話だと人気もあったメーカーだったようですけど、なんで無くなっちゃったんでしょうか?

これは戦争とも関わってくるんだけど、ドライエは大衆車じゃなく高級車路線だったことがネックになったんだ。フランスは戦後の復興期に、高級車には特に重く税を課したんだけど、それもあって破綻しちゃったそうだよ。

――高級車を乗り回すような状況でもないでしょうしね。確かに、そりゃ厳しい。

独特のデザインは評価されていたから、もし今も残っていたら、ポルシェやフェラーリのように超高級なスーパーカーとして愛される存在になっていたかもしれないね。フランスのセレブご愛用のメーカーとして人気だったかも。

――つまりフランス産ロールス・ロイスやキャディラック、リンカーンになっていたかもしれない、と。今回はクルマの深い歴史を勉強したって感じでしたね。

そういう意味では、次のクルマも長い歴史と数奇な運命をたどったメーカーになるかな。

――えっ、他にもドライエのように珍しいメーカーがあるんですか?

知名度は高いメーカーだよ。でも、意外とみんなが知らない歴史も持っているメーカーになるかな?

――ううん、何だろう。気になりますね、では次回も楽しみにしています!

【週刊ジョージア】