途中交代とはいえ、スウェーデン戦でも南野(18番)や浅野(手前)の動きには光るものがあった。それだけにグループリーグで終わってしまうのは残念だ。写真:JMPA/小倉直樹

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 日本のメダルへの挑戦が終わった。リオ五輪・グループリーグ第3戦のスウェーデン戦。日本は矢島のゴールで、1-0で勝利して勝点4に伸ばしたものの、コロンビアがナイジェリアに2-0で勝利したため、勝点1及ばなかった。ナイジェリア(勝点6)、コロンビア(勝点5)がベスト8へ進出した。
 
 宿敵・韓国が前回王者のメキシコを破るなど3戦負けなしで首位突破での決勝トーナメント行きを果たした一方、日本はスウェーデンに勝利したとはいえ、大会で残したインパクトという点では、韓国には到底およばない。メキシコを破ったミドルシュートは、チームに勢いを生むだけの力強さがあった。大会屈指のゴールのひとつとして挙げられるだろう。2大会連続のメダル獲得も十分にありえそうだ。アジア最終予選の決勝で、アジア王者の座を競い合った日本と韓国。本番のリオ五輪の舞台では、両者の明暗がくっきりと分かれた。
 
 さて、日本の第3戦・スウェーデン戦に関しては、比較的、日本らしいプレーができていたのではないだろうか。過去2戦、ナイジェリア戦とコロンビア戦の反省を踏まえて、安定した戦いができていた。
 
 実際、ピンチらしいピンチはほとんど見られなかった。初戦のナイジェリア戦から数えると、4失点→2失点→0失点と失点数が減ってきた。90分間を無失点で乗り切った、というのは、チームが一体感を持って戦えていたという証拠だろう。
 
 最終的に、大島のテクニカルな突破から矢島のスライディングシュート、という形でスウェーデンからゴールを奪うことに成功した。後半途中、ピッチに送り出された矢島が結果を残したことで、手倉森監督の采配も当たったことになる。これでグループリーグ突破を果たしていたら、次の試合に期待が持てる内容だっただけに、返すがえすもナイジェリア戦の敗戦が悔やまれる。
 
 さらに残念なのは、この大会で一気に評価を上げた選手が出てこなかったことだ。
 
 過去の大会を振り返っても、最低ひとりは急成長を遂げるもの。4年前のロンドン五輪では大津祐樹がヒーローとなったが、この大会で“ステージを上げた”という選手は見当たらない。
 
 強いてあげるならば、浅野と南野のふたりだろう。やはりこのふたりのプレーのクオリティは高かった。チームに勢いさえ生まれていたら、決勝トーナメントでもっとブレイクした可能性は十分にあった。そのほかでは、大島や遠藤も攻守に効いていたものの、ヒーローにはなれなかった。
 
 ロンドン五輪で日本がベスト4に残れたのは、プレッシャーのかかる初戦を制したのが大きかった。スペインを倒した勢いそのままに、一気にチームも選手もステージを駆け上がっていった。
 
 一方、リオ五輪では初戦のナイジェリアで立ち上がりからミスを連発。相手の戦いに合わせてしまい、引き締まった戦いができなかった。苦手な“撃ち合い”の展開へと持ち込まれて、勝点3を逃した。初戦のつまずきを修正しながらグループリーグを勝ち抜けるほどに、日本はまだ成熟していない。
 
 実際、初戦を落としたチームは、日本に限らず、グループリーグを突破することが難しい。28年ぶりの出場を果たした96年のアトランタ五輪から、日本は連続出場を果たしているものの、初戦を落とした大会はすべてグループリーグで敗退している。初戦に勝利したとしても、アトランタ五輪のように、決勝トーナメントに行けないケースもある。
 
「メダル獲得は初戦がすべて」と手倉森監督が口にしていたとおり、日本は初戦でつまずいた修正に追われて、勢いに乗れないままグループリーグを終えてしまった。
 
 初戦の失点はすべて自分たちのミスによるもの。選手たちがナイジェリアに対してナーバスになりすぎた。完全に自滅だった。プレッシャーのかかる試合になればなるほど、基本に忠実にプレーすること、当たり前のことを当たり前にできることが大事であると同時に、試合の入り方、大会の入り方の大切さをあらためて痛感させられた大会でもあった。