夏本番の今、猛暑日が続いている…とはいえ、常夏でも元気な国はある。私たちに必要なのは暑さを吹き飛ばすアジアの麺ではないかと思うのだ!



牛肉のフォー。具はスチームコンベクションで火を入れたローストビーフ。スープは美しく澄み、薬味はパクチーとスイートバジル。好みでライムを
自身のセンスを加味。洗練されたフォーの滋味深さ『スガハラ フォー』

松見坂/ベトナム料理


都内に専門店も多いフォーだが、これほど沁みる一杯はない。そう思わせるほどの美味しさがここにある。

「ワインを学ぶために渡ったオーストラリアでベトナム料理の魅力に開眼しました。当時、二日酔いのときは必ずフォーでした(笑)」とのこと。上品な鶏出汁のスープは、だから、夜、飲んで食べた後の〆にも相応しく、具の牛も鶏もしっとり柔らか。

「麺は女性でも食べやすい長さを選んでいます」。人柄も、きっと味の決め手になっている。



鶏肉のフォー。具の鶏胸肉も、やはりスチームコンベクションで低温調理。卓上には自家製チリオイルやニンニク酢のほか、ニョクマム、チリソースなども。「あくまでも、お好みですが、鶏肉にチリソースをつけて食べても美味しいですよ」と店主。



白を基調にしたナチュラルで居心地の良い店内。




炒めビーフンの丸麺で、具材は角煮。麺の太さを見よ! 中国の調味料を使ったピリ辛で、卵と一緒に炒めているため、その甘みもほのかに
都内唯一!? 湖南名物のもちもち麺を自家製で『李湘潭 湘菜館』

錦糸町/中国湖南料理


ビーフンだが、細くてヤワな麺を想像してもらっては困る。丸麺か幅広麺、麺はどちらかを選ぶが、ともに食感はもちもち。口当たりも良く、自家製であることを主張する。中国・湖南の郷土料理を紹介する都内でも数少ない専門店だ。

米で作るビーフンは現地では日常食。この店では調理法も汁、混ぜ、炒めと3つあり、さらに具材は8種あり好みで選択。つまり、楽しみ方は十人十色。一朝一夕では辿り着けないビーフンの奥深さを知るのだ。



汁ビーフン麺の幅広麺を選択。具材はトロトロの牛スジ。トッピングの具材はほかにササゲと豚肉の細切り炒め、鶏肉などもある。また、3種の調理法共通の無料トッピングは葱、小葱、パクチー、揚げピーナッツ、搾菜、高菜がある。



円卓とテーブルの店内。米と水のみの無添加ビーフンは2階の作業場で製麺している。




ラクサとチキンライス、ソフトドリンクのセット(M)は、麺のタイプと辛さを選べる。7種類あるトッピングの中で人気なのはタマゴ
シンガポールのローカル麺専門店が登場『シンガポール ホリック ラクサ』

原宿/シンガポール料理


シンガポールのソウルフードといっても過言ではないスープ麺が「ラクサ」。その味に魅せられて、現地人気店に学んだ女性2人が、オープンしたのがこちら。

シンガポール国内でも、エリアによってスープの出汁や使用するハーブに違いがあるが、こちらのものは最もポピュラーとされる「カトンラクサ」がベース。エビ粉で取った旨味たっぷりの出汁とココナッツミルクの濃厚な風味が特長のスープだ。



ショートタイプ(左)の麺は自家製!



原宿駅から1分。喧騒から一歩奥まったエリアにある。



店内の雰囲気は、シンガポールに古くから伝わるパステルカラーが特徴的な「プラナカン文化」をイメージしているそう。テラス席でシンガポールの夏に思いを馳せつつ味わうのも、また一興だ。


スタミナがつきつつも、スッと食べられる肉麺が登場!



ラグマン(L)。盛り付けた鉄鍋はカラヒィという道具で、このまま火にかけ、作る料理もある
麺のルーツ!? 大陸の「ラグマン」を手繰る『キャラヴァンサライ包』

東中野/アフガニスタン&パキスタン料理


ラグマン、ラグメン、ランメン。呪文でなく、これ、中央アジア各地に伝わる麺料理の名。アフガン、パキスタン周辺に暮らす遊牧民の郷土料理を供す、ここの麺はラグマン。北部アフガンの料理をベースに、セモリナ粉の自家製麺を使っている。

具は羊ミンチとトマト、シシトウ。特製の胡麻醤は羊のクセを和らげるための独自の工夫で、食べるとミートソースのようであり、担々麺のようであり。国境を超越して伝播した麺の歴史に、感慨を覚える。



羊ミンチ、シシトウ、ニンニクを炒めて角切りトマト、胡麻醤で調味。麺は川崎にある姉妹店で打つ生麺を使用しており、もっちり食感が楽しめる。



包=パオとは遊牧民が暮らす移動可能な住居。現地でバラし、空輸した骨組みが店内に見られる。




伝統雲南過橋米線。具材は豚ロース、鶏胸肉、イカ、雲南ハム、豆苗、筍、湯葉など。米線は丸くツルッとした口当たり。鶏ガラでとった出汁は濃厚
中越国境に面する雲南伝統の米麺&熱々スープ『過橋米線 秋葉原本店』

末広町/中国雲南料理


雲南省で100年以上の歴史を誇る名物が米線。文字通り、米で作る麺料理で具材もスープも別々に供すのが伝統的スタイル。生の肉や魚介は薄切りになっているから、鶏油の膜が張る熱々スープに投じればあっという間に火が通る次第。麺と野菜も入れて、いざ実食。

濃厚なスープはまるで水炊きのよう。麺はツルシコの食感で、不思議と日本人も懐かしく感じるのだ。「中華麺と違ってヘルシーな麺よ」と店主。なるほど、ストンと胃の腑に落ちるわけだ。



いつまでもスープが冷めない秘密は鶏油。



牛肉米線。一杯の丼で完結する米線も6種あり、これは激辛の牛バラ餡乗せ。「お客さんのリクエストでどんどん辛くなっちゃった」。伝統米線にもバリエーションはあり、多様な薬草がスープから香る薬膳過橋米線なども用意されている。



テーブル席のみの店内で、一角には個室になるスペースも。