台湾発・都市交通を変える「スマートスクーター」がベルリンに上陸

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2015年のCESで話題になり、台湾で実験されてきたGogoro社のスマートスクーターが、ドイツに上陸。「使いやすさ」が重視されたそのスクーターは、都市における移動を、そしていずれはエネルギーのあり方を変えようとしている。

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都市での移動と、電気の蓄積・管理のあり方を変える、という高い目標を掲げた電動スクーターが、ヨーロッパに上陸した。台湾のGogoro社(ゴゴロ)が8月3日(現地時間)、ベルリンで200台のスクーターをローンチしたのだ。

運転免許証をもつ大人なら、このスクーターに乗って、ドイツの首都をガソリンを1滴も燃焼することなく走り回ることができる。

大きな話題になり多額の資金を調達したゴゴロは、2015年1月のCESで4,000ドルの電動スクーター「Smartscooter」を発表。魅力的なボディのSmartscooterは、時速30マイル(時速約48km)への加速が4.2秒ででき、最高スピードは時速60マイル(時速約97km)だ。

約9kgのバッテリー2つの充電量の残りが少なくなったら、充電ステーション「Go Station」で新しいものに交換できる。ステーションはATMサイズで、バッテリーが8個入っている。

注目を集めてから最初の18カ月間におけるゴゴロの進展は見事だ。2015年夏に台湾でローンチ(日本語版記事)して1万台を販売し、充電ステーション225カ所のネットワークを構築している。

バッテリーの「パワー」

再生可能エネルギーをどう貯蔵するかは、化石燃料を止める鍵となるものだ。石炭や石油に代えて太陽光や風力による電気を使えるようにしたければ、こうした貯蔵が欠かせない。

現在の電力網は電気を貯蔵しない。電力会社は各瞬間の需要をちょうど満たすだけの電気をつくり、発電した電気をすぐに送電している。石炭なら必要なだけシャベルで炉に入れればいいが、太陽光や風ではそうした融通が利かない。

イーロン・マスクが、発電・蓄電・輸送に至る持続可能エネルギーのワンストップショップになることを目指している(日本語版記事)のはそのためだ。ゴゴロも、バッテリーの世界的なネットワークをつくることができれば、「スクーターへの電力供給」以上のことができると考えている。

ドイツでの戦略

しかし、それは先の話だ。ゴゴロはいまのところ、自社の電動スクーターを実際に走らせることに注力している。ヨーロッパ進出にあたって、ゴゴロは新しい方針を打ち出した。ベルリン住民の一人ひとりに電動スクーターを売って市の全域に充電ステーションのネットワークを構築するのではなく、同日にローンチしたボッシュ傘下のCoup社(クープ)にスクーターを販売したのだ。

クープが始めるスクーターシェアリングサーヴィスは、30分3ユーロ(約340円)、1日20ユーロ(約2,300円)という料金設定。ゴゴロはSmartscooterのスピードを時速28マイル(時速約45km)に制限し、運転免許証のある21歳以上なら誰もが利用できるようにした。

こうしたサーヴィスに聞き覚えがあるという人はおそらく、サンフランシスコのScoot社(スクート:日本語版記事)のことを聞いたことがあるのだろう。サンフランシスコのすてきな丘を、歩いて登るのにもケーブルカーを待つのにも関心がないという人を対象に、400台の電動スクーターを提供している企業だ。スクートのビジネスモデルは、価格設定や、使えるスクーターを見つけてレンタルできるスマートフォンアプリに至るまで、クープととてもよく似ている。

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クールであること、シンプルであること

ただし、スクートとゴゴロが異なるのはデザインだ。

ゴゴロの高価でハイテク、かつスタイリッシュなスクーターは、一見この種のサーヴィスには合わないように思える。バイクシェアリングのバイクは普通、オシャレな機能を重視せず、耐久性重視でつくられている。守ってくれる所有者がおらず、路上で放置される日々を送るからだ。

スクートのスクーターは、インドのマヒンドラ・グループ傘下のGenZe社が製造しており、見るからに実用的で飾り気がない。街なかで目立たないよう、光沢のない赤の塗装を選んだとスクートのマイケル・キーティングCEOは言う。「小売り向けの製品ではないので、最も重要なのは乗り物そのものに注力することだと常に考えてきました」

これに対しクープは、ゴゴロの車両スタイルやパーソナライズできるライト、LED画面を気に入っている。人々に電動スクーターに乗ってもらうにはクールな車両を提供するのがいちばんだと、クープのゼネラルマネージャーであるウルス・ラーネは語る。

また、ゴゴロのシステムはシェアリングに向いている。衝突や電力不足が生じたらすぐにゴゴロのチームが把握できるようになっているほか、人々は物理的な鍵を必要とせずスクーターを利用することができる。スマートフォンで解錠・作動が可能だ。

サーヴィスを可能な限り面倒のないものにする、というのがクープの重要な目標だ。顧客はスクーターを決まった場所に返す必要がなく、歩道に停車して立ち去ることができる。バッテリーの交換も必要ない。クープの従業員がトラックでベルリンを巡回し、必要なスクーターに新しいバッテリーを放り込むからだ。そしてその場でスクーターの中に入っているヘルメットを掃除し、車体の調子を確認する。

このシェアリングプログラムは、ベルリン中心部の4つの地区で始まった。順調なら市のほかの地区や市外に拡大される予定だ。