大島は攻撃面で結果を残した。しかし指揮官に評価されているようには、あまり感じられなかった。 写真:JMPA/小倉直樹

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 U-23代表は一貫して、「相手に攻められること」を前提にチーム作りをしてきた。守りから試合に入って、リスクを最小限に抑えながら勝機を見出すという戦い方だ。そのスタンスとマインドを貫くことで、アジア最終予選を勝ち抜くことができた。
 
 この世代はU-20、U-17ワールドカップへの出場を逃し、アジアの壁を突破できずに苦しんできた。その高い壁を越えるためにも、全員一丸でその意識の統一を図ることで、リオ五輪への出場権を獲得した。
 
 選手たちに植え付けられたのは、「負けてはいけない」というマインドだ。その意識は良い意味でも、悪い意味でも、このリオ五輪のチームでも貫かれた。
 
 しかし、ナイジェリア戦では、初めて4-3-3の布陣が採用された。守備に重点が置かれ、アンカーとボランチ2枚を並べるという、あくまでも「受け身」であった。
 
 ただし、アジア最終予選や今回のスウェーデン戦で見せたような、4-4-2や4-2-3-1でこそ発揮された連動した攻守の切り替えが見られなかった。アジア予選の時から絶妙かつ上手く保たれていた選手間の距離感がバラバラになってしまったためだ。
 
 一人ひとりは決して手を抜いていないものの、実際、バランスが悪いまま、失点を与えていった。選手たちもこれまでと異なる「景色」に戸惑っているようだった。
 
 それだけに悔やまれるのが一旦前半のうちに2-2に追い付いたあとだった。
 
 悪いやりに同点として、明らかにコンディションの悪いナイジェリアを畳み掛ける絶好のチャンスが訪れたのだ。にもかかわらず、やはり、ここでも日本は「やられてはいけない」とディフェンスに回ってしまった。
 
「今がチャンス」だと、攻撃にマインドを切り替える発想がなかったように感じた。結局、ナイジェリアに休む時間を与えてしまい、息を吹き返させてしまい、まさの5失点を喫した。
 
 振り返れば、この3試合、同じような「受け身」のメンタルが続いた。
 
 誰もが言うようにチームのバランスは大切で、決して、常に攻めろと言っているわけではない。ただ、そのバランスとは、90分のなかで、拮抗した時間や耐える時間もあり、そして仕掛けるべき時がある。
 
 そのなかで限られた「勝負どころ」をいかに見逃さず、スイッチを入れるかが大切なはずだ。ただし、手倉森監督はあくまでも「受ける」という思考が前提にあり、選手たちの発想を限定させてしまっていた感じを受けた。
 
 コロンビア戦も2-2に追い付くことができたものの、そこで満足してしまい勝ち切れなかった。最終のスウェーデン戦も、トドメを刺し切れなかった。
 
 日本がグループリーグを突破するチャンスは十分にあったと思う。ただし、勝機を感じ取った時に、一気に畳み掛ける――そのように指揮官が発想を転換できなかったことが残念で仕方ない。これでは、勝ち切れない。
 
 監督や選手たちは自信を持って戦っていたと口にしているが、今回の戦い方からは、むしろ自信のなさが感じられた。しかも、23歳以下という育成年代の最後であり、選手たちに慎重に戦わせるだけでなく、この大舞台だからこそ野心を持たせないといけなかったのではないだろうか。だから、何も残せなかったかもしれない、と思うのだ。
 
「負けない采配」だったけど、「勝てない采配」だったと言えた。グループリーグ敗退は、監督の采配ミスだったのではないかと思っている。
 
 ロンドン五輪代表指揮官であり前千葉監督の関塚隆氏、U-17日本代表を率いたことのあり前FC東京の城福浩監督と、育成年代で実績を残した指導者がJリーグでは思うように成績を残せず、伸び悩んでいる。