五輪ムードが盛り上がるリオ市内 (c)朝日新聞社

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 いよいよ開幕したリオデジャネイロ五輪。22日の閉会式まで日本代表の活躍はもちろん、一堂に会した最高峰のアスリートたちの競演を楽しめるとあって、睡眠不足の日々が続きそうだ。そこで本誌からの提案は、ご当地ブラジルの料理やアルコールを味わいながらの観戦だ。

 ブラジル食材の輸入卸イマイ(東京都新宿区)に勤める村山ロベルトさん(58)が「国民的なカクテルがあるよ」と言って教えてくれたのは「カイピリーニャ」というお酒だ。サトウキビの蒸留酒をもとに、潰したライムやレモン、砂糖、氷をあわせて作るという。

「結構飲みますよ。ブラジル人なら誰でも飲んでる。日本でいうと、身近な焼酎みたいなものかな」と村山さん。ベースになる蒸留酒として多く使われる「カシャッサ」という商品は、大手の酒類量販店などで手に入るという。

 ビールはどうか。『おいしいブラジル』(スペースシャワーネットワーク)の著者で、ブラジルの食事情について詳しいジャーナリスト、麻生雅人さんによると、ブラジルで定番のビールといえば、「アンタルチカ」「スコール」「ブラーマ」などがある。確かに記者が滞在中の五輪会場周辺でも「スコール」の缶ビールが店頭に並んでいた。ブラジルはいま真冬なのだが、五輪関係者がバンバン買っていく。

「一般的なブラジルのビールは日本人にとっては少し軽く感じられると思います。米国のビールのようなイメージです。それをブラジル人はキンキンに冷やしてから飲むのが好きなんです」(麻生さん)

 一方で、最近はブラジル人のビールの好みにちょっとした変化も起きているという。その理由はなんでも「所得」にあるとか。

 ここのところ続く原油安で、ブラジル経済はビール以上に冷え込んでいるのだが、それでもこれまで続いた経済成長で中産階級が増えた。それもあって値が高めなクラフトビールが台頭しているという。

 よく飲まれている銘柄は「アマゾンビール」や「インヴィクタ」など。実際に記者も飲んでみたが、日本のビールメーカーが最近力を入れているクラフトビール商品と同じく、味は濃いめで、個性が際立っていた。

 さてアルコールの話はここまでとして、次はレストランで料理を選ぶうえで参考になる話はないか。

 麻生さんによると、まず味付け全般で言えるのはシンプルだということ。使う調味料なども塩やニンニクが基本で、特別に辛いものなども主流ではないため、日本人の口にはよく合うという。

 料理には脂身の少ない赤身牛が多用される傾向があるが、例えば日本でも有名な肉の串焼き「シュラスコ」は地域によって好まれる部位が異なる。北東部の海岸沿いならば海の幸、北部のアマゾン川流域ならば川魚や森の幸、熱帯フルーツが特徴的など、地域によって料理に違いがある。

 シュラスコは、どこの家でも人が集まれば石段を組んで網を置き、肉を焼いて楽しむといい、共同住宅にも専用設備があるとか。ただ日本のレストランで見られるシュラスコは「エンターテインメント性、演出をつけたレストラン用のサービス」(麻生さん)という。

 料理では、ほかに魚介をココナツミルクで煮込んだ「ムケッカ」や、牛カツにトマトソースとチーズをのせた「パルメジアーナ」、豆の煮込みに牛や豚が入った「フェイジョアーダ」などもブラジル人のおなじみだ。

 各地に麻生さんおすすめの店やスポットもある。レストランでは、首都圏ならば川崎市川崎区にある「ボテコ コパカバーナ」、中部地方では名古屋市中区の「サプカイ」、関西ならば大阪市中心部に2店舗ある「バルバッコア」などなど。

 もっとディープに家庭料理を楽しみたいならば、日系ブラジル人が多く住む地域を訪ねるのもいい。栃木県真岡市や群馬県大泉町、横浜市鶴見区、浜松市、愛知県岡崎市や豊橋市、広島県府中町周辺といった地域に日系ブラジル人が多く住んでいる。

「日本各地にブラジル人のコミュニティーが存在します。そこに行けば家庭料理を楽しめる店がありますよ」(麻生さん)

 リオ五輪の期間中にブラジルレストランや国内の“リトルブラジル”で観戦すれば、ひと味違った五輪の夏になるかも。

週刊朝日  2016年8月19日号