ブラジルのアンドレ・コヘーア駐日大使が記者会見。リオデジャネイロ五輪と1964年の東京オリンピックとの共通点について「開催都市が生まれ変わり、見違えるように様相を変えたことだ」と指摘した。写真は会見する同大使。

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2016年8月、リオデジャネイロ・オリンピック・パラリンピックで世界中が沸いている。開催国ブラジルのアンドレ・コヘーア大使が日本記者クラブで会見した。リオ五輪と1964年の東京オリンピックとの共通点について「開催都市が生まれ変わり、見違えるように様相を変えたことだ」と指摘した。64年東京五輪では新幹線、首都高速道路などが開通し、東京の大変革につながった。ブラジル経済について、資源価格下落や中国向け輸出の減少、インフレ再燃などに直面しているとしながらも、「絶対的な貧困は撲滅され、中間層も増大している」と強調した。

ブラジル大使の発言要旨は次の通り。

官民の400億ドルのうち80%が民間からの拠出であり、総額はロンドン五輪(英国)、ソチ冬季五輪(韓国)に比べ大幅に少ない。しかもその大半が地下鉄、市電など都市交通に向けられた。

リオ五輪と1964年の東京オリンピックとの共通点は、開催都市が生まれ変わり、見違えるように様相を変えたこと。オリンピックが公共投資を誘発、都市が再開発された。競技場の多くは仮設型で五輪後に、学校など公立施設に転用され、無用な箱モノは多くない。

ブラジル経済は、資源価格下落や中国向け輸出の減少、インフレ再燃などに直面している。しかし私の若いころの「インフレ年率1000%」の時代とはまったく状況は違う。貧富の格差は存在するが、絶対的な貧困は撲滅された。中間層も増大している。

庶民からみればオリンピックに大金を使う一方で、失業の増加など課題も多い。五輪はワールドカップと違い集中して1カ所で行われる催しなので(恩恵は)開催地リオに集中する。遠い地方には関係ないと見る人もいると思うが、改善効果は全国に波及され、五輪開催はブラジルにとって分水嶺となる。五輪が成功だったと認められる歴史的な評価となれば、ブラジル人の士気は上がり、全体としてプラスになる。

大統領弾劾裁判が進行中で、8月25日から本番が始まる。賛成派反対派双方のデモが行われている。オリンピック経費への抗議デモも起きている。世界から多くのジャーナリストや要人が来訪しているので、アピールするには絶好の機会となるからだ。しかし、意見を表明できるのは透明性に富んでいるからで、健全な民主主義の表れだ。多くの課題が山積するのは事実だが、それが原理主義や過激主義には結びついておらず、暴力に頼る大規模なテロも起きていない。強盗事件も、リオの状況は以前に比べ劇的に改善されている。(八牧浩行)