結婚相談所は長居する場所じゃないと思うの。

こんにちは。リオ オリンピックが盛り上がっていますね。体操男子団体の優勝は12年ぶりだそうで、本当におめでとうございます。今日は競泳の決勝。すでに男子800mリレーが52年ぶりのメダル獲得との快挙がニュースになっていますが、代表選手のみなさまにおかれましては、ご自身の実力が存分に発揮できますように。

それはそうと、今回のもやもやは、Suits-womanの人気連載・【36歳女の婚活奮闘記】のまゆ子さんです。「いつかは結婚するつもり」な独身OLのみなさんに、自分と同じ轍を踏ませないようにと自らの経験を赤裸々に語るまゆ子さん。ついに3社目となる結婚相談所に新規登録し、この夏こそキメる! と意気込んでいますが、う〜んどうでしょう。

婚活を始めて6年。結婚相談所を介して出会った男性は120人以上、お見合い回数は70回超えという現状で、そろそろ気づいたほうがいいんじゃないかと思うんです。まゆ子さんが上がるリングがそこではないことを。

20代にそこそこ「モテ」の手ごたえを感じていたというまゆ子さんが、30歳になったと同時にそろそろ結婚したいなーと、これまで自分が住んでいた世界では出会えなかった「自分に最もふさわしい相手」を求めて、自ら結婚相談所に登録したことはすばらしいことと思います。誰かいないかなーと漫然とした気持ちでくすぶっているよりも、実際に行動に移しただけ立派です。

でも、意気揚々と会いに行ったひとり目から、もはや約束を取り付けて会うことだけが義務化してしまっている最近に至るまで、一度も「この人となら」と思える人に出会えなかったということは、もう、相手と自分、挑んでいる競技そのものが違うのだと思った方がいいんではないでしょうか。

まゆ子さんは33歳ころから相手からのお見合いリクエスト回数が激減したことを、年齢が上がったことにより、自分の結婚市場価値が下がったせいだと分析していますが、その市場価値というのは自身が登録している結婚相談所内だけ、ということだって大いにありえます。なのに、まゆ子さんは結婚相談所、しかも大手有名どころの老舗結婚相談所に強い信頼と寄せており、新規登録したところも、これまでの2社と同クラスなんだとか。

もちろん、人によっては本人のプロフィールだけでなく、親兄弟の身元もはっきり担保され、サポート力の高い結婚相談所を結婚までの最短ルートにできる人もいましょう。でも、それは、まゆ子さんが今週の【36歳女の婚活奮闘記】で紹介している、婚活アドバイサー直伝の「好感度の高い婚活履歴書」が本来の自分とかい離することなく作れる人だけで、まゆ子さんは違うと思うのです。

履歴書に添える写真は「女子力の高いモテ写真」で、必要なのはナチュラルメイクとハーフアップの黒髪ストレートヘアでつくる清潔感。好まれる服装は、ベージュやパステルカラーの甘めスーツやワンピース。自己PR項目では好奇心旺盛で快活な面もありつつ、実は家庭的で穏やかという面を具体的なエピソードを交えて紹介。

この、万人受け用、逆に言えばターゲットの定まらない履歴書を、まゆ子さんのライバルとなる20代女子も当然最初の武器にするわけです。要素が同じなら若い方がいいに決まっているわけで、この時点でまゆ子さんの勝算は限りなく低いのですが、そもそも、まゆ子さんは「そんな人」じゃないんです。

この「結婚相談所婚活市場」仕様に自分を最適化するために、大好きなダイアン・フォンステンバーグの柄ワンピをマナー講師が講義で着用するようなエレガントスーツに着替え、いつものオレンジの濃いめチークをピンクに変え、つまらない話を延々と続ける男性には、銀座ママの「さしすせそ(さすが、知らなかった、すごいですね、センスありますね、その通り」でニコニコと話を聞いていますが、それはまゆ子さんの仮の姿です。仮の姿だから、そんな自分を好きなった相手にどうしても好感が持てないし、納得できない発言をされると思わず反発、時には反撃してしまう。

真面目な男性と会えば、地味でつまらない、もっと自分に刺激を与えてくれる趣味がある人がいいと断り、1か月山ごもりするほどスノボに没頭する強烈趣味をもつ男性に会えば、付き合いきれないと断り、デート割り勘男はケチ、趣味にお金をかける男を結婚生活が不安、すぐに子どもがほしいという人には、ふたりだけの生活を楽しみたいと憤り、子どもは当分ほしくないという人に出会えば、私にはタイムリミットがあるのに、と嘆く。これ、すべて、「私のことを大切にしてくれていない」という、「愛情クレクレ」欲の言い換えだと思うのです。もし、本当に私のことが好きだったら、絶対そんなことはしないはず! という気持ちが奥底にあるから、いちいち相手の行動を否定的に見てしまう。

つまり、まゆ子さんは、単に結婚したいだけではなく、「愛されて」結婚したいわけです。胸がドキドキとトキメいた恋愛をした相手との、結果としての結婚。でも、まゆ子さんが登録している結婚相談所でトキメくのは、そうとう難しいと思います。
なぜ結婚相談所が第1回のお見合いを「城ケ崎海岸のつり橋を2人で渡ってこい」とはせず、カフェなどで1時間過ごせと設定しているかといえば、トキメキよりもすばやい決断を優先しているからです。お相手以前に、そのシステムそのものがまゆ子さんの本心とマッチしていないといえましょう。

お見合い50人目頃から、「世の中にはあっさり結婚できる人がいっぱいいるのに、どうして私だけうまくいかないんだろう」と自己肯定力がダダ下がりのまゆ子さんですが、自分を嫌いになる前に、一刻も早く自分が立つべきリングに移動するのが得策じゃないかと思います。とり急ぎ、「怪しいから」と毛嫌いせずに、WEBのマッチングサービスにも登録してみるのはどうでしょう。系統が同じ陣地を広げたところで、さまようばかり。おためし感覚で別の河岸に移動してみるというのがいいと思います。バッサリ切る勇気がでない場合には、今いる場所に片足をつっこんだままでもいいですから。

まゆ子が結婚できないのはまゆ子が悪いからじゃないよ! 既婚アラサー&アラフォーが本気で語ったあずき総研主催のダメ出し座談会はその2で紹介。

■プロフィール

 白玉あずき

東京都出身。清泉女子大学卒。学生時代より活字メディアに携わり、四半世紀にわたり女性のおしゃれと恋愛とダイエットについて考察、記事にする。現在は雑誌や単行本の編集、制作に加え、女性コンテンツのプロデュースやディレクションなど多分野で活動。最近の生きるテーマは社会貢献と女性支援。