現地の人もTVの人も、知っておきたい「ジカ熱」の基礎知識

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執筆:南部 洋子(看護師)


「ジカ熱」という病気は、ブラジルから有名になりました。今回のリオオリンピックでもこの病気を心配して、出場を見合わせた選手がでています。日本からオリンピック観戦のために渡航される方が病気にかからないためにはどうしたらよいのか、みていきましょう。

ジカ熱ってどんな病気なの?

2015年にブラジルを含む南アメリカ大陸のほとんどの国で流行し、有名になった「ジカ熱」。
元々は、ウガンダのジカ森林のアカゲザルから見つかった「ジカウィルス」によって引き起こされる「ジカウィルス感染症」です。

おもに蚊が媒介となって広まりますが、症状が出る人は2割程度で、ほとんどが軽症です。それでは、なぜここまで話題になったのでしょうか?

問題になったのは、「妊婦が感染すると、生まれてくる子どもが小頭症になることがある」と言われたためです。また感染すると、急速に症状が進む「ギラン・バレー症候群」の原因にもあげられています。

以下で、原因や症状、妊婦感染やギラン・バレー症候群について、詳しく見ていきましょう。

ジカ熱の原因と感染拡大

「ヤブカ属ヒトスジシマカ」や「ネッタイシマカ」などの蚊によってウイルスが媒介され感染が広まります。日本では、ネッタイシマカは生息していませんが、ヒトスジシマカは確認されています。

ジカウィルスを持った人の血を蚊が吸って、その蚊に刺されることによって感染します。その感染者が別の蚊に刺されると、その蚊は、ジカウィルスを持つことになり、その蚊がほかの人を刺していくことで、どんどん広がります。

日本国内では、感染例は確認されていないのですが、海外で感染した日本人が帰国後、国内でジカ熱と診断されたケースは、10例ほどあります。

リオオリンピックでは、日本人が南米を行き来することになるので、検疫体制の整備や検査体制、診療ガイドラインなどを作成して対策を行っています。

ジカ熱にかかったらどんな症状が現れるの?

感染してから発症するまでの潜伏期間は、2日〜12日位ですが、約8割は症状が出ません。残りの約2割の人に現れる症状は、発疹、結膜炎、発熱、関節痛、頭痛、だるさなどです。

有効な治療薬は現在ないのですが、症状が軽いので、2〜7日位の間に自然に回復します。
似ている病気にデング熱がありますが、デング熱のほうが症状は重いです。

ジカ熱の危険性(1)妊婦感染

妊婦が感染すると、小頭症の子どもが生まれてくる可能性があります。

小頭症とは、赤ちゃんの頭が極端に小さく、成長するについて、てんかんや難聴、視覚障害、学習障害、脳性麻痺などを起こす可能性があるものです。小頭症の治療法は見つかっていません。

原因は、不明なことが多いのですが、「妊婦が何らかの感染症に罹ったら発症する」と言われていて、WHO(世界保健機関)スが小頭症の原因になることがある」と結論づけています。

ジカ熱の危険性(2)ギラン・バレー症候群

手足に力に入らなくなり、しびれが出て、筋力低下していき全身にそれが広がります。急速に進むことが特徴で、発症してから1日〜2週間ほどで、全身の筋力低下がおき、人工呼吸器が必要になることもあります。

症状が軽ければ、自然に回復していく場合もありますが、多くの場合は、入院して治療します。

原因は不明ですが、WHOはギラン・バレー症候群についても、「ジカウィルスにより発症することがある」と言っています。

オリンピック観戦しない人も知っておきたい!予防法と対策

ジカ熱を予防するワクチンや治療薬は、現在ありません。ですから、蚊に刺されないようにすることが一番の対策となります。とくに妊婦は、十分注意してください。

ヒトスジシマカは、日の出前後の明け方、夕暮れに活発になり、やぶや木陰にいます。

蚊が多く発生している地域や場所では、出かけるときは、長袖、長ズボンを着用し、サンダルや素足は、避けましょう。また、蚊は色の濃いものに近づきやすいという特徴があります。そのため、服装は白色や薄い色のものの方がいいでしょう。

虫よけスプレーや虫よけグッズを活用するのもおすすめです。

また、蚊を発生させないためには、屋外に水が溜まるような空き缶やペットボトルなどを置かないようにします。家の周りを点検して、蚊の発生を防ぎ、感染が拡大しないようにしましょう。


※国立感染症研究所からの注意事項
感染した男性の精液にジカウィルスが潜んでいる可能性があるので、流行地域に滞在した場合、8週間は性行為を控えるかコンドームを使用するように、との注意が出されています。


<執筆者プロフィール>
南部洋子(なんぶようこ)
助産師・看護師・タッチケア公認講師 株式会社 とらうべ 社長。国立大学病院産婦人科での経験後、とらうべ社を設立。
タッチケアシニアトレーナー