仕事、恋愛、人間関係……30代となり、いろいろな方面で決断を迫られ「なんとかしなきゃ」と思いながら、悶々と日々を過ごしているウートピ世代のみなさん。その数かぎりない煩悩に浄土宗僧侶の掬池友絢(きくち・ゆうけん)さん答えてくれる「この身今生一度きり、釈迦で解決!」。今回のお悩みは「メールの返信ができない」です。

相談:仕事でもプライベートでも、連絡をすぐに返せません。つい返事を先送りにしてしまい、LINEの未読アイコンも溜まりっぱなしです。なんだかんだ気になって仕事の効率下がるし、「抜け」や「漏れ」が多いし、つらい……。

釈迦の回答

--最近は企業によっては、チャットのようなツールでひっきりなしに業務の話をされて、自分の仕事に集中することができないということもあるそうですよ。四六時中、細切れに誰かからの連絡を受けるというのが常態化している、というのはありますよね。

掬池友絢さん(以下、掬池):今の時代はメールなどのツールが発達して便利になりましたが、本来、仕事を円滑にするための道具のせいで、仕事が進まなくなるのは本末転倒ですし、困りますよね。

そこで大事なのは優先順位をつけること。余計な情報にも振り回されてしまうのではなく、これは必要で、これは必要でないと見きわめ、何に向き合うべきかを正しく捉えるのが大切です。

--悟りを開いたり、修行をするというのは自分と集中して向き合うことが必要ですよね。お釈迦様は障害や邪魔をするものにどう向き合っていったのでしょうか。

お釈迦さまの悟りを阻んだ“煩悩のプッシュ通知”

掬池:お釈迦さまは悟りを得るために、菩提樹の下で「悟るまでここを動かない」と座禅を組みました。しかし、それを妨害するために悪魔マーラがやってきて、若く美しい娘を差し向け、誘惑させるなど、あの手この手を使って煩悩をかき乱そうとしたのです。

--まさにLINEのプッシュ通知地獄と同じ状態ですね。

掬池:しかし、お釈迦さまはそれに屈さず、49日間、静かに瞑想を続けました。そして、ついにある夜明け、金星の光が輝くと同時に「悟り」を開くことができました。悟りとは、迷いが解けて真理を得た状態です。惑わされない精神を持つことで仏陀(ブッタ)となりました。仏陀とはサンスクリット語で「真理に目覚めた人」を意味します。

--お釈迦様も同じような状況を経験して悟りを開いたんですね!

掬池:まわりの状況がどうであろうと心を静かに落ち着け、自分の邪魔をしてくるものの影響を受けず、今やるべきことをやっていく。「悟り」にはそれが必要でした。

周囲の言うことに耳を貸さないという意味ではないのです。「悪魔がいる!」とそっちに自分の意識が行ってしまうと、気持ちが煩雑になります。悪魔がいようがいまいが、自分の心が静かであれば、周囲に振り回されることはない。

そのためにも、今必要なことは何か、優先すべきことは何か、を見きわめていきましょう。お釈迦さまの場合は、「悟り」を得ることでしたが、あなたの場合は仕事を完遂すること。そのために必要なものは何なのか? 道筋が見えてさえいれば、雑音は気にならなくなります。落ち着いて、襲いくる情報の波を迎え撃ちましょう。

今回の教え:お釈迦様も悪魔からのプッシュ通知レベルの誘惑を乗り越えて悟りを開いた。必要なのは心の平静。ノイズに惑わされずに、まずは自分が何をするべきかを見きわめよう。

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(真貝友香)