平塚らいてうはお汁粉エッセイを書きたい「とと姉ちゃん」110回

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連続テレビ小説「とと姉ちゃん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第19週「鞠子、平塚らいてうに会う」第110話 8月9日(火)放送より。 
脚本:西田征史 演出:大原拓 橋本万葉


有名作家・平塚らいてう(真野響子)に原稿をもらおう! ということになり、担当は、らいてうを敬愛する鞠子(相楽樹)に決まった。
でも、容易に原稿を受けてもらえる相手ではない。さあ、鞠子、いよいよ腕の見せどころだ!
さっそく担当編集の若松(モロ師岡)に会いに行く。けんもほろろに扱われても、めげずに毎日、会いに行く。
急ぎの原稿依頼のわりに猶予があるのはなぜだ・・・と思いながら観ていると、とうとう、ある日、雨の中で待っていた鞠子に心を動かした若松が話を伝えてくれることに。
太陽のまばゆいプリズムのカットが挿入されて、鞠子は平塚らいてう(真野響子)の家へーー。
そして感動の出会い!
らいてうは「あなたの暮し」を愛読していて、寄稿を快諾。
だが、アジテーションの原稿を期待した鞠子に、らいてうは、夏に食べたくなるお汁粉の作り方と随筆を書きたいと言う。

「女性の問題も大切だけれど、なによりも平和が一番」
「甘いおしるこで幸せになれるような平和な日常があってこそ女性が権利を主張できるのではないかしら」
「考えは変わるものなのよ。そうじゃなきゃ生きていけないわ。それにそれってとても良いことなのよ」

これらの言葉が鞠子を結婚に向かわせることは想像に難くない。
それから、長崎原爆の日に、戦後、平和運動に尽力した平塚らいてうを登場させて、平和について語らせたのも偶然ではないだろう。
モチーフになった「暮しの手帖」で平塚がはじめて執筆したのは第二号。依頼したのは、高校浪人中に平塚の著書と出会った花森安治。随筆のタイトルは「陰陽の調和」だった。陰陽のバランス良い食生活をすすめるもので、その中に玄米や胡麻じるこが登場。胡麻じるこへの読者の反響が高く、四号めでその作り方が掲載された(参考文献:馬場マコト「花森安治の青春」)。

「とと姉ちゃん」をつくるうえで多くの資料を読み、最適なエピソードを参考に、まとめながらドラマに再構築する作業がかなりざっくりしている印象を受けた。平塚らいてうの考え方の変化に関して「風が吹けば桶屋が儲かる」のように最初と最後だけ描いて過程を飛ばすのは、過程は賢明な視聴者がちゃんと理解するという信頼感と思いたいが、花山の編集方針のように、前知識のない人に台本(ドラマだとレシピね)を読ませる作業をしてみてもいいのでは。視聴者をかいかぶり過ぎているように思う。
あと、「女性の問題も大切だけれど、なによりも平和が一番」という台詞にももう少し配慮が欲しかった。以前「女なんか」と滝子に語らせたこともあるが、どうも深く考えずに男目線が出てしまっている気がしてならない。【黒とと】
ただ、劇団民藝出身の新劇俳優・真野響子の名演技が効いていて、眼鏡をとって戦争の話をはじめた平塚が、戦争というものにいかに疲弊したのか瞬時にわかった。【白とと】
また、平塚らいてうの住居が、緑豊かで風通しの良い端正な場所で、本もたくさんあって、こういうところで暮らしていける平和はいいなあと思わせた美術スタッフさんのお仕事にも拍手。【白とと】

なにごとも陰陽のバランスが大事ですね。
(木俣冬)